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序章 過去
第7話 陽子 解決篇
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流石にもう梅川先生も居ないだろう。
俺は美津子のお見舞いの後に陽子の家に寄ってみた。
もう、既に美津子の話で答えは解っている。
だが、どうしても、もう一人の当事者である陽子に話が聞きたい。
そう思ったからだ。
何時ものようにインターフォンを鳴らす。
おばさんの何時もの声が聞こえてきた。
「はい、あらっ司ちゃんじゃない? もしかして陽子を心配して来てくれたの? 部屋に閉じこもっているけど? 行ってみたら?」
「行ってみます」
陽子の家とは家族ぐるみの付き合いだから、こう言う時は凄く融通がきく。
普通なら、こう言う場合は門前払いだよな。
そのまま階段を上がって2階、此処が陽子の部屋だ。
ノックしても無駄だな。
ノブをまわしてみたが、鍵がかかっていて開かない。
「陽子、ちょっと良いかな?」
「つ、司?…良いから放って置いてよ!」
「ちょっと話がしたいんだけど?」
「私は話なんてしたくない…」
陽子は大人しそうで頑固だからな。
簡単にはドアを開けてくれないだろう。
「そうか…それじゃ、勝手に話すな。先に美津子の所に行ってきたんだ! 美津子から陽子に『ゴメンなさい』だってさぁ」
まぁ謝ってたと伝えてくれ…そういう要望だから、これで良い筈だよな。
「美津子ちゃんが?」
「ああっそうだよ! 大体の事情は聴いたけど、確かに美津子は背中をバシバシ叩いて痛いよな? 避けたらそのまま階段から美津子が落ちたんだろう?」
「そうね…だから私は悪くないわ」
「いや、確かに美津子も悪いけど、結果的に美津子は階段から落ちて怪我したんだから陽子だって謝るべきだろう?跡は残らないらしいけど、手術して縫うような怪我をしたんだからな」
「確かにそれは悪いと思っているわ! だけど美津子ちゃんは私を叩いたのは今回だけじゃないよ…叩かれた回数はもう何十回を超えて百単位なんだから…百回以上叩かれて1回やり返しただけで、悪人扱いされるのが納得いかないのよ」
だけど、あれは美津子のコミュニケーションみたいな物だ。
陽子だけを叩いていたなら兎も角、美津子は誰の背中も普通に叩く。
俺も叩かれてムカついた事がある。
「確かにそうだけど、あれは美津子の癖みたいな物だから仕方が無いんじゃないか? それにもう叩かないって約束してくれたよ」
「そう…それじゃ入ってくれるかな?」
「解った」
カギが開いた音を聴いた俺はドアを開けた。
「なっ、なにしているんだよ?!」
陽子は上半身裸の状態で立っていた。
「別に赤くなる必要ないでしょう? 数年前は一緒にお風呂に入っていたんだから…」
「いや、もう子供じゃ無いんだから」
「小学生はまだ子供だと思うけど?」
確かにそうだが、もうお互いに全くの子供じゃない。
陽子の体は何となく丸みを帯びていて女の子の体になった気がする。
陽子はくるっと回って背中を見せた。
結構な数の痣が見えた。
「それ…」
「これを見れば解かるでしょう?司や他の子を叩いている時と私を叩いている時で力が違うんだよ!」
見れば見る程、痛々しく見える。
かなり酷い痣が沢山あった。
よく見ると鬱血しているのもある。
「どう言う事なんだ?」
「余り、話したくは無いけど、司も当事者だから話すね」
そう言うと陽子はポツリポツリと話し始めた。
簡単に言うと、美津子は俺の事が好きらしく、そのせいで、俺と仲の良い幼馴染の陽子は嫌がらせにあっていたそうだ。
その嫌がらせが背中を叩く時に『強く叩く』そういう陰湿な物だった。
普段からボーイッシュで背中を叩く癖がある美津子が背中を叩いても、慣れているから誰も咎めない。
だが、俺や他の人間を叩く時は、まぁちょっと痛い程度。
陽子にだけは、恐らく思いっきり叩いていたみたいだ。
嘘だと思いたいが、陽子の背中の痣の数々が真実だと語っている。
「そうだったんだ、気がつかなくてゴメン…」
「良いよ! 美津子ちゃんの気持ちも解らなくないからね…司みたいな綺麗な目をしている男の子は他にいないし、幼馴染ながらカッコ良いと思うから」
困ったな。
これじゃ、真相が解っても、どうしようも無いんじゃないかな?
「そうか…」
「深刻そうな顔をしなくても良いよ!もう親同士で話は終わっているから…」
陽子は梅川先生に背中を見せたそうだ。
そして、今俺に話した事を話した。
梅川先生も美津子が陽子の背中を叩いている所は何回も見ているから、この痣を見て驚いていたそうだ。
梅川先生を中心に話をして『お互いに悪かった』そう言う事で話をおさめる事に親同士の中で決まったそうだ。
俺が美津子のお見舞いから、陽子の家に向かった時に何処かですれ違ったのかも知れない。
梅川先生が、陽子の背中の写真を美津子の家に持っていき、向こうの親に見せ、折り返し電話が掛ってきて、親が話し合った結果、そういう方向で決まったとの事だ。
「それで、明日から大丈夫なのか?」
「明日のホームルームで話をするみたいだよ?それでお互いが謝って形上はおしまい…」
そうは言っても此処まで揉めたら、もう友達じゃいられないだろう。
いや、今も昔も友達じゃなかったのかも知れない。
◆◆◆
次の日のホームルームで梅川先生が事情を皆に話して、二人がお互いに謝って一応の解決となった。
だけど、その日以降、二人が一緒に話をする事は無くなった。
俺は美津子のお見舞いの後に陽子の家に寄ってみた。
もう、既に美津子の話で答えは解っている。
だが、どうしても、もう一人の当事者である陽子に話が聞きたい。
そう思ったからだ。
何時ものようにインターフォンを鳴らす。
おばさんの何時もの声が聞こえてきた。
「はい、あらっ司ちゃんじゃない? もしかして陽子を心配して来てくれたの? 部屋に閉じこもっているけど? 行ってみたら?」
「行ってみます」
陽子の家とは家族ぐるみの付き合いだから、こう言う時は凄く融通がきく。
普通なら、こう言う場合は門前払いだよな。
そのまま階段を上がって2階、此処が陽子の部屋だ。
ノックしても無駄だな。
ノブをまわしてみたが、鍵がかかっていて開かない。
「陽子、ちょっと良いかな?」
「つ、司?…良いから放って置いてよ!」
「ちょっと話がしたいんだけど?」
「私は話なんてしたくない…」
陽子は大人しそうで頑固だからな。
簡単にはドアを開けてくれないだろう。
「そうか…それじゃ、勝手に話すな。先に美津子の所に行ってきたんだ! 美津子から陽子に『ゴメンなさい』だってさぁ」
まぁ謝ってたと伝えてくれ…そういう要望だから、これで良い筈だよな。
「美津子ちゃんが?」
「ああっそうだよ! 大体の事情は聴いたけど、確かに美津子は背中をバシバシ叩いて痛いよな? 避けたらそのまま階段から美津子が落ちたんだろう?」
「そうね…だから私は悪くないわ」
「いや、確かに美津子も悪いけど、結果的に美津子は階段から落ちて怪我したんだから陽子だって謝るべきだろう?跡は残らないらしいけど、手術して縫うような怪我をしたんだからな」
「確かにそれは悪いと思っているわ! だけど美津子ちゃんは私を叩いたのは今回だけじゃないよ…叩かれた回数はもう何十回を超えて百単位なんだから…百回以上叩かれて1回やり返しただけで、悪人扱いされるのが納得いかないのよ」
だけど、あれは美津子のコミュニケーションみたいな物だ。
陽子だけを叩いていたなら兎も角、美津子は誰の背中も普通に叩く。
俺も叩かれてムカついた事がある。
「確かにそうだけど、あれは美津子の癖みたいな物だから仕方が無いんじゃないか? それにもう叩かないって約束してくれたよ」
「そう…それじゃ入ってくれるかな?」
「解った」
カギが開いた音を聴いた俺はドアを開けた。
「なっ、なにしているんだよ?!」
陽子は上半身裸の状態で立っていた。
「別に赤くなる必要ないでしょう? 数年前は一緒にお風呂に入っていたんだから…」
「いや、もう子供じゃ無いんだから」
「小学生はまだ子供だと思うけど?」
確かにそうだが、もうお互いに全くの子供じゃない。
陽子の体は何となく丸みを帯びていて女の子の体になった気がする。
陽子はくるっと回って背中を見せた。
結構な数の痣が見えた。
「それ…」
「これを見れば解かるでしょう?司や他の子を叩いている時と私を叩いている時で力が違うんだよ!」
見れば見る程、痛々しく見える。
かなり酷い痣が沢山あった。
よく見ると鬱血しているのもある。
「どう言う事なんだ?」
「余り、話したくは無いけど、司も当事者だから話すね」
そう言うと陽子はポツリポツリと話し始めた。
簡単に言うと、美津子は俺の事が好きらしく、そのせいで、俺と仲の良い幼馴染の陽子は嫌がらせにあっていたそうだ。
その嫌がらせが背中を叩く時に『強く叩く』そういう陰湿な物だった。
普段からボーイッシュで背中を叩く癖がある美津子が背中を叩いても、慣れているから誰も咎めない。
だが、俺や他の人間を叩く時は、まぁちょっと痛い程度。
陽子にだけは、恐らく思いっきり叩いていたみたいだ。
嘘だと思いたいが、陽子の背中の痣の数々が真実だと語っている。
「そうだったんだ、気がつかなくてゴメン…」
「良いよ! 美津子ちゃんの気持ちも解らなくないからね…司みたいな綺麗な目をしている男の子は他にいないし、幼馴染ながらカッコ良いと思うから」
困ったな。
これじゃ、真相が解っても、どうしようも無いんじゃないかな?
「そうか…」
「深刻そうな顔をしなくても良いよ!もう親同士で話は終わっているから…」
陽子は梅川先生に背中を見せたそうだ。
そして、今俺に話した事を話した。
梅川先生も美津子が陽子の背中を叩いている所は何回も見ているから、この痣を見て驚いていたそうだ。
梅川先生を中心に話をして『お互いに悪かった』そう言う事で話をおさめる事に親同士の中で決まったそうだ。
俺が美津子のお見舞いから、陽子の家に向かった時に何処かですれ違ったのかも知れない。
梅川先生が、陽子の背中の写真を美津子の家に持っていき、向こうの親に見せ、折り返し電話が掛ってきて、親が話し合った結果、そういう方向で決まったとの事だ。
「それで、明日から大丈夫なのか?」
「明日のホームルームで話をするみたいだよ?それでお互いが謝って形上はおしまい…」
そうは言っても此処まで揉めたら、もう友達じゃいられないだろう。
いや、今も昔も友達じゃなかったのかも知れない。
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