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第15話 異世界人と大河の悪意
俺には一つ心配事があった。
それは水晶による能力測定が再度行われる事だ。
もし、再度行われれば大樹からジョブやスキルが無くなった事が解かる。
全く同じでは無いが大樹からジョブやスキルが無くなり俺が『無能』で無くなったら疑う者が出て来ても可笑しくない。
だから、それとなく遠回しに情報を集めてみる事にした。
「あははっ、確かに理人からしたらもう一度調べ直して欲しいよな! だけど、あれは態々教会から貴重な水晶を持ってきて貰って、更に教会認定の鑑定のプロに行って貰っているんだ。城での再チェックは無いな。もし調べたいなら、此処を出た後に簡易的な物なら冒険者ギルド、同じ位細かく調べたいなら教会に行けば可能だ。だが結構高いからそう頻繁に出来る物じゃないな」
「そうそう、騎士だから自分を知る為にやるべきだけど、安月給だから1年に1回これが限界だな」
これでひとまず安心だ。
恐らく、此処を出るまで再度のチェックが行われる事は無さそうだ。
ただ『大樹』の状態が可笑しいから、万が一はあるかも知れない。
一応は警戒しておいた方が良いだろう。
◆◆◆
大樹はあれから理屈をつけて訓練をさぼっている。
まぁ、あの状態じゃ訓練なんて出来る訳ないか。
テラスちゃんが傍に居てくれるのは残り数日間。
直接じゃないが、何時彼奴らが仕掛けてくるか解らない。
手は早めに打った方が良いだろう。
大河、塔子、聖人…
今の所、魔術関係は座学しかやっていない。
物理的な行動に適しているのは『剣聖』の大河だ
そろそろ何か仕掛けてくるとしたら『大河』だろう。
◆◆◆
リチャードの言っていたことは本当だった。
同級生はメキメキとその実力を伸ばしてきて、騎士相手に善戦する者が現れた。
そして、その中でも余裕で騎士を制圧している者が居た。
それは剣聖の大河だった。
◆◆◆大河SIDE◆◆◆
「なんだ、此奴ら!1週間は様子を見るつもりだったが、2日で充分だったな!最早こいつ等雑魚じゃん!」
大樹の奴は様子が可笑しくなった。 あんなのは大樹じゃねー
聖人は理人が怖いらしく行動を起こすのに積極的じゃねぇ。
塔子は何故か理人ばかり、ぼーっと見ているしムカつく。
一体どうなっているんだよ!此奴ら!
俺の親友の大樹はどうなってしまったんだよ…
『俺より狡猾で』『俺より残酷で』そして『俺達にだけ優しい悪のカリスマの様な奴』それが大樹だった。
俺が唯一親友と認める男だ。
彼奴となら、何でも出来ると思える『唯一の同類』それが大樹だった。
だが、俺の大樹が何処にもいねーんだ。
今の彼奴は『大樹』の皮を被った、ただのクズにしか見えねー。
早く元に戻ってくれよ!
さもないと『俺は孤独』で寂しいんだよ。
本当に詰まらねーよ。
まぁ良いや…お前が本調子じゃねーなら!
『俺が理人を潰す!』
そうすりゃお前等も目を覚ますだろう。
◆◆◆
理人の奴の能力は、リチャードとか言う隊長と互角。
いや『リチャード』の方が、今は少し上だったと塔子が言っていた。
なら此奴を俺が楽に倒せれば…理人は敵じゃねー事になる。
良い試金石になるぜ!
まぁ、今の俺の前じゃ騎士なんか、おもちゃだからな…倒すのは簡単だが…念には念を入れておく。
もし負けそうになれば『俺はギブアップ』すれば良い。
此奴らは訓練だと思っているから、そこからの攻撃はねー。
『勝てる様なら』その時は、此奴を潰しておくのも良いかも知れねーな。
腕でも斬り落とすか? 足でも斬るか?
随分と理人は仲が良いようだから、此奴らを潰して置けば、あのすました顔した理人も…案外泣くかもしれねーな。
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