【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

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第31話 月夜の晩に!




俺が部屋に戻ると元からあったベッドが無くなっており、ダブルサイズの大きなベッドに変わっていた。


「平城さん、もしかしてベッドの交換を手配したの?」


結構大胆だな。


この部屋なら少し狭くなるけど、部屋からベッドを持ってきても置けるのに。


「何もしてないよ! ベッドを大きくしたら、くっつけないし...」


平城さんは顔を真っ赤にして手をブンブンしている。


どうやら違ったようだ。


「あっ届いている、届いている」


塔子がそう言いながら、部屋に入ってきた。


「もしかしてこれ頼んだの!塔子?」


「そうよ、流石にあのベッドで三人はきついでしょう?」


「ちょっと待って塔子ちゃん、もしかして私達と一緒に寝る気なの?」


「当たり前じゃない! これから先三人で旅をしますのよ? まさか私だけ仲間外れにしたりしませんよね?」


平城さんの首がまるで機械人形の様にこちらを向いた。


気のせいか目が笑ってない気がする。


『断れ』という無言の圧力が半端ない。


だが、断る事は無理だ。


『心を奪ってしまった以上』はもうどうする事も出来ないだろう。


俺が断らないと様子から解かると平城さんが睨みながら俺に聞いて来た。


「あのさぁ!理人君に聞きたい事があるの!なんで私は『平城さん』なのに塔子ちゃんは『塔子』なのかな? なにか理由があるのかな?」



「それは、私と理人様が遠い昔から深い絆で結ばれているからですわ!」


今俺に『様』をつけていなかったか?


それに話し方が少し変わったような気がする。


「塔子ちゃん、調子に乗り過ぎ!」


俺はどうして塔子だけ、呼びつけで呼んでいたんだろうか?


解らない。


言われて見れば、女の子で呼びつけにしているのは『塔子』だけだし、更に言うなら苗字でなく下の名前で呼ぶ人間は殆どいない。


まさか俺は、心の奥底で此奴が『トーコ』だと昔から気が付いていたのかも知れない。


そうとしか考えられない。


「幼馴染だからかな?」


平城さんと塔子が驚いたような顔でこちらを見た。



「あの、理人様…知っていたのですか?」


「確信は無かったけど薄々そうじゃないかと思っていたんだ。トーコだよな?」


「そんな、気づいていたのですか! あの時は本当にごめんなさいですわ!」



しかし『様』『ですわ』...


「もう昔の事だし『心配してくれていたみたいだからもう良いよ』」


「ありがとう理人様、私、私、一生かけて罪を償いますわ!」


泣きながら塔子が俺に抱き着いてきた。


「あのさぁ!理人く.ん.これは一体どういう事なのかな?わ.た.しに解るように教えてくれないかな?」


平城さんの可愛らしい顔に般若が宿った様に見えるのは気のせいだよな。


俺は過去に塔子との間にあった事を包み隠さず平城さんに話した。


「ふ~ん。その話の何処が、幼馴染の思い出なのかな? 私の耳が可笑しいのかな? 虐め加害者と虐め被害者じゃないかな?」


「ふん、平城ごときに『私と理人様の絆』が解かる筈ないですわ! そうですわね理人様!」


未だに塔子は俺に抱き着いたままだ。


更にいま強く抱きしめられて密着した気がする。


「理人くんから離れて塔子ちゃん!」


「なんでです? 別に良いじゃないですか? 理人様は平城の物にいつなりましたの? 私知りませんわ!」


『私(わたくし)』? 塔子の話し方がやはり可笑しく感じる。


「ううっ...いいから離れなさいよ!」


この場にいたたまれなくなり逃げ出そうとしたが、塔子にガッチリ抱き着かれていて、逃げられない。


振りほどこうにも、凄い力で抱き着かれ離せない。


仕方なく俺は傍観者に徹した。


『俺は石だ』


暫くしてどうにか、折り合いがついたようだ。


「理人君、これからは平城さんでなく、綾子って呼んで下さいね!」


「そうね、私の方が付き合いは早いのですが、一応、平城も告白して付き合始めたようですし...これからは三人で付き合う事に決まりましたわ」


「違うでしょう!」


「あっゴメン! 綾子、綾子って呼ぶ約束でしたわ。綾子も告白して付き合ったていたんじゃ仕方ないのですわ…だからこれからは三人で付き合うって事になりましたの」


「と言う事に決まりましたから、理人くん…宜しくお願い致しますね」


「私も宜しくお願い致しますわ」


『癒しの能力を持つ聖女の塔子』『魔法の最大攻撃の能力を持つ大魔道の綾子』そのどちらも俺に必要と言う事で、2人で話し合いこうなった。


俺が間に入ったらこじれた可能性が高い。


情けない話だが…これで良かったのかも知れない。


二人はベッドにそそくさと潜り込むとポンポンと中央を叩いた。

「ほうら理人くん寝ようか?」


「さぁ理人様寝ましょう...ですわ」


不味いな...これ。


逃げ場がない。


今迄は逃げるように綾子に背を向けて寝ていた。


だけど今日からは『そちら側に塔子』が居る。


俺はどちらも向かず天井を見ながら眠るしか無い。


こんなの眠れるかよ!




◆◆◆

「綾子、起きている?」


「ええっ理人くんがいるから、つい見ちゃうから眠らない」



「私も同じですわ、それでね、少し夜風にあたりにでませんか?」


「何で? 私は寝息を立てて寝ている理人くんをずうっと見ていたんだけど」


「それは私も同じですわ! これから、私がやる事は理人様の為なのですが…来ないなら良いですわ。1人でやりますわ」


「それ『北条の娘』だからやる事なのかな? 理人くんの為なんだよね!」


「そうですわ」


「なら、付き合うわ…」

「それじゃ行きましょう」


私は塔子ちゃんに連れられ部屋を後にした。




◆◆◆

ハァハァ、心臓が苦しい…


一体僕達に何が起きているんだ。


大樹は可笑しくなり、半引き籠り状態になった。


大河は『無能』の筈の理人におしゃかにされスクラップになった。


塔子は理人に完全に惚れている様に見える。


そして、僕は…体調が可笑しい。

もしかして、大樹も同じ状態なのかも知れない。

心臓が苦しくて仕方ない。

体も物凄く熱い。

ヒーラーに相談してポーションを貰ったけど全然効かない。


余りにも可笑しすぎる。


まるで理人の思うように事が進んでいる様な気がする。


どうすれば良いんだ…


あはははっ僕たちが悪い事をしていたのが『女神にバレて』呪われたのか?


それとも理人がなにかしているのか?


馬鹿な、無能の彼奴になにか出来るわけが無い。


『水、水が欲しい』


心臓の苦しさがマシ、喉も乾いてきた。


水差しに...水は無い。


日本なら水道がある。

だが、この世界には無い。


使用人のメイドもこの時間じゃ寝ていて、起こすのも面倒だ。


仕方ない。


井戸に行くしか無いな…

僕はふらふらしながら…井戸に水を汲みに出た。



◆◆◆


「こんな井戸の傍にまで来てどうしたの?」


「ねぇ、綾子、貴方は『平城家』の人間ですわね! 私の勘違いでなければ、確か総理大臣でも逆らえば人生を終わらせる事が出来ると言われた『昭和の妖怪』と言われた政治家の一族で間違いないですわね」


「流石は『北条の怪物王女』ですね…間違いないですよ…まぁ、本家ではなく、傍流ですけど、これは理人くんに黙ってて貰えますよね!」


「お互い叩けばほこりがでる身です。解りましたわ。それで『北条の怪物王女』ってなんですの?」


「あきれた!知らないの?塔子のあだ名ですよ。我儘で平気で人を潰す貴方のあだ名よ」


やはりこの子も私と同類ですわね。


平気で人なんか傷つけられて手段の為なら殺せる人間ですわ。


流石『平城』の苗字を持つ者ですわ。


この子なら『一緒に居ても良い…人間ですわね』


私が睨んでもたじろがない。


なかなかですわ。


「そんなあだ名がついていましたの! まぁそれは良いですわ! それで貴方の理人様への想いは本物ですの?」



「本気ですよ! 最初は『北条の怪物王女』の男をとったら面白いなぁと思ったんですけどね。傍で見ていたら本当に好きになってしまいましたよ。 異世界に来るまではパートナーとして、将来の伴侶に位に思っていました。ですが、今はそれ以上不思議と自分の命より大切に思えますね」


私と同じですわね。


「それは『私が理人様を好きだから取り上げたかった』そういう事ですわね? いい性格していますわね。ですが人を食い物にしてのし上がるのが好きな『平城』が逆に虜になる。流石は理人様ですわ」


「わたしは、理人くんの前では『清純で可愛いい平城さん』でこれからもいるつもりですよ? 好きなんだから当たり前ですね!その邪魔はしないで下さいね」


「まぁ良いですわ、約束しますわ…それでですね、理人様の為に排除したい人間がいるのですわ」


「解っているよ。聖人よね?」


「そうですわ。私、実は毒を盛ったのですわ! 心臓が苦しくなって体が熱くなる毒で、喉が渇いて水が欲しくなりますのよ。足がつかない毒なのですが、悲しい事に遅効性なのですわ」


「それで?幾ら私でも今は『毒』なんてもっていませんよ?」


「水差しの水を減らしておきましたわ。恐らく我慢できなくなり、井戸に水を汲みにくると思いますの。 具合が悪ければそのまま落ちても可笑しくない、そう思いませんか?」


井戸に落ちて死んでしまえば理人様が戦う必要もありませんわ。


「それで大丈夫な訳? 理人くんが戦って勝たないと困った事にならないかな?」


「それなら大丈夫ですわ、私が交渉してどうとでも出来ますから」


「そうね、塔子ちゃんなら大丈夫か…それなら、水の呪文で溺れさせて井戸に落とせば、ただ溺れたように見えるよね! 科学捜査も無いこんな世界ならいけるんじゃないかな?」


「そうね…それをお願いできますか?」


「しないわよ」


「えっしないのですか?」


「私は理人くんを信じているもの、あの程度の人間じゃ理人くんを傷つける事なんて出来ないよ」


「本当にそう思いますか?」


「うん、私は理人くんを傍で見ていたし、凄く強かったよ! 流石『神代』だって思った」


「貴方からみて負ける要素は無いって事で間違いありませんか?」


「そうね、99パーセント無いかな、だけど残り1パーセントは塔子ちゃんが潰したから絶対に無いよ」


「それなら安心ですわ」


「うん、もし理人くんが負ける確率があるなら…あはははははははっ塔子ちゃんが行動起こす前に私が消すもん」


「そうですわね」


月明りで井戸から水をくむ聖人を見て、私は綾子がいう事が間違いない無いと確信しました。


辛そうに歩いていますわね。


「それで塔子ちゃん、聞いても良いかな?」


「なにが聞きたいのですか?」


「最近、始めた、その気持ち悪い『令嬢モドキ』の話かた、なにか意味があるの? 急に理人くんに『様』なんてつけてどういう事なのかな?」


「理人様が王族や貴族の令嬢の会話に加われなく、寂しそうに見えましたので、変えて見ましたの? それに私は北条の娘ですのでモドキじゃなく『本物の令嬢』ですわ」


「そうだったの?まぁ良いわ...塔子も良くやるわね」


「塔子? 猫さんが1匹落ちましたわね...猫を10匹以上かぶっている綾子に言われたくありませんわ」



「もう部屋に帰ろう...寒いよ」


「そうですわね、理人様との時間が減るなんて勿体ないですわ」



しかし、理人様の前で、猫を被り続けられる綾子が羨ましいですわ。











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