【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

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第60話 時と場所



報告をしてからフルールの顔が曇った。

雰囲気からして落胆した。

そんな様子が伺える。

「甘いのですわ、理人様私も参ります!今直ぐ殺しにいきま…」

その必要は無い、俺はそう考えた。

「待て、俺に考えがある。だから今日はこのまま帰ろう」

「本当に大丈夫なのですわね? 甘い考えでないのですわね」

「まぁな」

あの場はああするしか無かった。

何しろ『あの二人』が居たのだからな。

汚される前なら『助ける』そういう選択もあった。

あの場で俺が助けても何も救いにならない。

ジャミルに連れ去られた事は周りも知っている。

顔も知らない彼女達に俺が出来る事は少ないだろう。

だからこそ彼女達にはお金が必要なんだ。

『家族が納得する』『人生をやり直す』『遠い場所に引っ越す』それが可能な莫大な金が。

だから、あの場は引いた。

『引くのはあの時だけだ』

「まぁ理人様が言うなら仕方ないですわね」

なんだかフルールが冷たい様な気がする。

今迄と雰囲気が違う。

◆◆◆

「行ってきます」

いつもの様に朝食を作り4人で食べて出掛けていく。

勿論、今日もワイバーンを狩る為だ。

「「いってらっしゃい」」

「いってらっしゃい…ですわ」

あの日を境にフルールは俺への興味を無くしたように見えた。

今日で3日間…夜もフルールは1人だけ別のベッドで寝ている。

もしかしたら俺に愛想をつかしたのかも知れない。

まぁ良いや…

俺はフルールに目配せをした。

◆◆◆

街の入り口でフルールを待った。

「何か御用でしょうか?」

いつもと違う事務的な話し方。

『ですわ』がない。

目がまるで死んだように曇っている。

まぁ、何となく解かる。

フルールからしたら『俺が甘い事をしたのが許せない』そんな所だろうな。

「まぁフルール、今日は俺に付き合え」

「まぁ奴隷ですから付き合いますよ」

困ったな。

俺はこの日を待っていた。

ジャミル男爵の屋敷を見張り、2人が解放されるのを待った。

ジャミルは『期日の約束は守る』

フルールの情報からして今日がその1か月だ。

変装しながら、屋敷の使用人から情報を集め、2人に慰謝料が払われたのも解かった。

そして…今日『狩りにジャミル男爵が出る』その情報を掴んだ。

この世界では鑑定は滅多にしない。

屋敷から出ないで暮らすジャミル男爵は恐らく自分が弱体化した事に気がついていないのだろう。

弱体化したとは言えジャミルのステータスは

ジャミル
LV 18
HP1200
MP900
ジョブ 異世界人
スキル:翻訳

普通の騎士並みの力はある。

攻撃魔法やアイテム収納でも使わなければまずバレない。

恐らくジャミルは気がついていない。

俺はフルールを連れてワイバーンの岩場にむかった。

◆◆◆

「ここはワイバーンの岩場ですか…まさかワイバーンを狩れる所を見せてご機嫌をとろうとでも?」

不機嫌な顔はまだ続いている。

「いや違う、まぁ暫く様子を見ていろよ」

「ハンッ…まぁ見ろというなら見させてもらいますよ。奴隷ですからね」

暫く様子を見る事数刻…ジャミルが来た。

来ると思った。

しかも一人でな。

此奴のステータスは凄く高かった。

それこそ、勇者の大樹すら上回る程に...俺がこんな『反則技』がつかえなければ間違いなく強者だ。

恐らく金に困ったら『狩れば金が手に入る』そう思っている事だろう。

そして、この辺りで大物と言えば『ワイバーン』だ、だから此処に居れば来ると思った。

俺はジャミルに近づいた。

フルールは動きもしない。

「貴方はジャミル男爵様ですか?」

「そうだが、その顔は私と同じ『異世界人』だな、綺麗な女を連れているようだが…同胞からは奪わない。安心して良い。」

「有難うございます」

なんだか様子が可笑しい。

「それで…その様子じゃこちらに来たばかりか? うちの屋敷にくるか?」

案外、良い面もあるのか…

「それはどういう事ですか?」

「まぁ解らないかもしれんが5職以外の異世界人の中には先の異世界人に仕える存在も多い…まぁ俺に仕えるなら、金と女はやるぞ…平民で良かれば犯し放題にしても許される方法も教えてやる」

「そうですか? 有難うございます」

やはりクズだった。

これなら『躊躇なく殺せる』

俺は話しをしながら、フルールから貰ったナイフをジャミル男爵の心臓に無言で突き刺した。

「貴様、何故?…うぐわぁぁぁゲホッ」

ジャミル男爵はあっけなく死んだ。

散々能力を奪った後だから騎士程度。

簡単だな。

何だかまた力が増した気がする。

その死体をそのまま、ワイバーンの岩場の方に放り投げた。

ワイバーンは予期せぬおやつに飛びつくようにジャミル男爵を食べ始めた。

「終わったな」

「これはどういう事ですの?」

良かった『ですの』に口調が戻っている。

「最初からこうするつもりだった…あそこで殺してしまえば二人の女性に金が払われない。生かすつもりはなかったが、時と場所が悪かった…それだけだ。そして今は時と場所が良い。この場所に他の人間は居ない…そしてワイバーンが食べてしまったら、もう証拠は残らない…完璧だろう!黒薔薇的にはどうかな!」

「流石は理人様ですわ…私の予想以上ですわ…すみません私とした事が」

「気にする必要は無いよ。裏仕事をしてきたフルールからしたら俺は相当甘く見えるのだろうな」

「敵には厳しく、それ以外には優しい…それは問題ありません。寧ろ理想的ですわ」

「そうか?それなら良かった。それじゃ帰るか」

「ええっ」

フルールが腕を絡めてきた。

機嫌が直って本当に良かった。










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