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第78話 人として扱う必要は無い
テラスのペンダントの効果は思ったより早く現れた。
このペンダントをしているだけで魔物や魔族が襲って来ない。
その効果は絶大で、沢山の人間がこれを求め入信してきた。
魔族や魔物を恐れ、それから身を守る事が大変な世界。
当たり前だ。
今では、帝国だけではなく近隣諸国からも入信したいという人間が沢山訪れて来るようになった。
だが、問題なのは『テラス教徒意外と付き合えない』此処で少し躊躇している人々が居るようだ。
遠く離れた親類や知り合いや恩人に、女神を信仰する人が居たら流石に躊躇位するだろう。また過去に女神の恩恵にあった人はおいそれとは、しがらみを捨てられないだろうな。
それに何より聖教国イシュタリカが存在する以上、最終的に『信仰で上回らなければ引き込めない』
その為に、今は二つの作戦を念頭に置き行動している。
その一つは『女神イシュタス』こそが諸悪の根源である。
世界をそういう風に変えていく事だ。
だが、これを行うと『異世界転移者』である同級生たちが困る事になる。
しかしこれは避けては通れない壁なのだから仕方が無い。
同級生と揉める事があれな都度話し合いが必要だ。
◆◆◆
俺はマドラを呼んだ。
今、彼女は帝国にある教会の仮の責任者にしている。
「お呼びでございますか、理人様」
「いつも本当にご苦労さん、テラス様も貴方の素晴らしき信仰に何時も感謝しています」
これは嘘だ。
だけど、宗教者である彼女達には一番うれしい言葉だろう。
「そんな、私はテラス様の素晴らしさを伝えているだけです」
なんだかんだ言っても彼女達は本物の宗教者だ。
しかも、今迄と違って本当に人が救われていく姿を見ているからこそ、より熱心に信者を増やしていく。
「これからいう事は『この世の真実』に関わる事なので真剣に聞いて欲しい。これは貴方を全面的に信頼しているからこそ伝えるのです。是非あなたの口から信心深い他のシスターや聖職者にも伝えて欲しい」
「解りました、宜しくお願い致します」
俺は話した。
今迄皆が善だと信じていた『女神イシュタス』こそが、邪神であると言う事をまず伝えた。
そして邪神と言われている、魔族の神こそが実は善神なのだと。
「そんな、元から逆だったのですか」
既に彼女の中でイシュタスの存在は地に落ちているから素直に聞いて貰えた。
「よく考えてみれば気がつかないか? 勇者は魔族の国に攻めて行くけど、魔王は城から動かない。どちらの方が本来は善なのかは普通に考えれば解るだろう。争いを好まず、城から出ない魔王の方がより戦争を望まない人格者だとは思わないか?」
「曇った目で見なければ真実が見えてくるのですね。確かにそうだと思います」
物は良いようだが『攻める方が悪い』そう考えるのは不自然ではない。
「だろう? 他にも強い魔族は魔国から滅多に出て来ない。逆に人間側からは常に魔物や魔族に攻撃をして戦争を仕掛けている。これも女神イシュタスの影響を強く受けた、聖教国の影響だ」
「確かにそうだと思います。私も教皇は悪人だと最近認識した所です」
「本来は魔族の神である邪神は温和な方らしいのだ。だが人間側から攻撃を仕掛けられるから防御手段として攻撃していた。それが真実だ」
「すると人間側から攻撃さえしなければ魔族側からの攻撃は無い。そういう事でしょうか?」
「その通りだ。実際に作ったテラスのペンダントは、実はご利益はない。ただ『こちらは攻撃しませんよ、だからそちらも攻撃はしないでね』そういった意思表示を示しているに過ぎない。それだけで魔族の大半は攻撃してこない。実に紳士的な対応じゃないかな」
「確かに、そうだと思います」
「だからこそ本当の姿を知って貰いたい。 魔国は友好国であり『聖教国イシュタリカ』こそが、敵対国であり、教皇こそが魔王みたいな存在なのだと」
「我々の本当の敵は『聖教国イシュタリカ』であり女神いや、邪神イシュタスこそが悪の権化なのですね」
「そうだ、そこで、その事を念頭に入れてこれから布教をして欲しい。女神を信仰する教徒は魔族や魔物みたいな存在なのだと認識して構わない。特に貴方達が説明しても入信しない存在は最早『人として扱う必要は無い』そう思うのですが如何でしょうか?」
「その通りだと思います」
「『テラス教信者以外は人間ではない』それもこれからは布教にあたってお伝えください。勿論、目案として、そうですね10回以上入信を断るレベルの人間には『人権を認めない』そこ迄厳しくして良いかと思います」
「はい直ちにその様に致します」
「頼みましたよ、マドラ」
「はい」
今現在、帝国の奴隷はほぼいない
更に娼婦も少ない。
この状況だと、多分そのうち問題が起きる。
『身代わりになる人間が必要だ』
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