97 / 104
第97話 マリン王女辞めるってよ
私が手紙あけると共に王国の空に神代理人の顔が映し出された。
それは王宮の窓からも見える。
私はテラスに走り、直接理人を見た。
その顔は物凄く大きく、この国の何処からでも絶対に見えるでしょう。
「なっなにこれ、理人は殺した筈よ…」
「自分から暴露してどうすんだ? 今のお前の声は全国民に聞こえてしまったぞ…」
「えっ」
「今更遅いな…マリン王女、この会話はこの国中に聞こえている。お前が俺を殺そうとした事は全国民に知られてしまったな。ついでに言うと、俺を殺そうとした人間は吉川を含む異世界人だ。賢明なアレフロードの国民の諸君、もはや女神イシュタスはこの世に居ない。この世界に居る神は三人、私と魔族側の神である邪神、そして私より上位の神テラス様だ。この事は既に聖教国も認めた」
よりにもよって神を名乗るなんて、不届きすぎます。
「偽りの神を名乗る不届き者、この国はイシュタス様により勇者を召喚する事を」
「忌まわしき悪しき風習を行う等、言語道断である。 雷よあれ!」
「そんな馬鹿な…ああっ…ああああっ」
空に映し出された理人が手をおろした瞬間に雷が落ちた。
しかも、落ちた先には『異世界人召喚の魔法陣』があった。
この魔法陣は古の時代に我が国が女神イシュタス様から貰ったもの人の手で作る事は出来ない。
さらに言うなら魔王ですら破壊する事は叶わない。絶対不破の物の筈。
それを簡単に破壊するなんて。
それなら、あの理人は…本物の神という事になる。
「これでも解らないのか、それならこれなら解かるか?」
そう言うと理人は剣を抜くと振り下ろした。
目でその先を追うと…嘘でしょう。
あのエルド山の上の部分が吹き飛んでいる。
「あああっ、待って、待って下さい」
嘘、私の声が届いていない。
「アレフロードの国の者よ。最早此処は安住の地では無い。さっさと立ち去るが良い。帝国でも聖教国でも好きな国へ行くのだ。どちらの国へ行ってもイシュタスを捨てテラス様を信仰するならば、救いの手が差し伸べられる。さぁ、今直ぐ逃げるのだ、私が罰をこの国に与える前に…」
そんな、そんな貴族迄もがこの国を捨てて逃げ出すと言うの…
とはいえ、当たり前よね…ただ手を振るだけで雷を落とし…剣の一振りで山を砕く存在。
魔王でも無理だわ。
そんな存在、神しか居ない。
一斉に門から飛び出すように国民が…飛び出していく。
終わりだ…もうこの国は終わるわ。
空にあった顔が消え、人の大きさの理人が私の元に現れた。
「お久しぶりです、マリン姫」
「理人ど…いえ理人様…この度は私が…いえ、全て私が悪いのです、どうかこの身一つでお許し下さい」
死ぬしかないわ。
こうなったら私が死んで、その命で償うしかない。
自決用のナイフで首を描き切った。
これで死ねる。
責任者の私が死ねば、温情もあるかもしれない。
指がなる音がした。
やはり、神代理人は神だったんだわ。
だって死んだ筈の私が生きているんだから…
「そんな自決も許されないなんて…私はどうやって償えば良いのでしょうか?」
なんで困った顔をするの…解らない。
「あの、マリン王女は何か悪い事をしたのですか?」
何を言いたいの…
「私は貴方を殺そうとしました…謝っても許される事ではありません」
「それは別に大した事じゃ無いから良いよ。許してあげる。逆に此処まで追い詰めてすまなかったな」
「あの…どう言う意味でしょうか?」
「いや、俺はアンタに余り酷い目にあわされて無いんだよ。勇者や剣聖の話は女神の使い扱いだから、マリンにはどうする事も出来ない。今回の件だってここ迄国が酷くなればその現況を恨みたくなるのは当たり前だ」
何を言い出すの…
まさか、温情をくれるっていうのでしょうか?
「それでは理人様は私をどうしたいのでしょうか?」
「もうマリン王女じゃこの国を回せないだろう? だから、上級国民として我が国に迎え入れようと思う」
「えーとそれはどう言う事でしょうか?」
「もう頑張らなくて良いよ。簡単に言うとかなり上の身分、まぁ元帝王と同じ地位と一生遊んで暮らせるお金をマリン王女と王様に上げるから、王女なんて辞めて、楽しく暮らせばという提案だよ」
やはり神なのね、全て見透かされているわけね。
「神様相手に嘘ついても駄目ですね。私はもう疲れました。神、理人様のご自由にどうぞ、父も文句は言わない筈です。その有難うございます」
「もう、王女なんて苦労は終わりです。これからは1人の女としての幸せを考えても良いでしょう」
「そうさせて頂きます。この城は出て行かないといけませんか?」
「そうですね。帝国にもっと住み心地の良い部屋を用意します。あと宝物庫の宝や財宝は持っていけるなら持っていって自分の財産にしても良いですよ。あとは、そうですね自由は約束しますが、フルールが是非片腕に欲しいそうです」
え~と…フルール。
「フルールが(汗)」
「ええっ、何でも王女の体から『漆黒に輝く薔薇を一輪作って差し上げますわ』だそうです」
「冗談ですよね…神、理人様は自由を下さると言いましたよね」
まさか…
「そんなに慌てることですか」
「あの…フルールが黒薔薇に私をすると言ったのですよ…」
「はい?」
「自由なんてありませんよ。薔薇じゃ無くて黒薔薇にしたいなんて地獄です」
「マリン王女、私は神ですから、死んでも生き返らせますから安心して下さい」
「ああっ、神様でも黒薔薇からは守って下さらないのですね」
「すみません…多分無理です」
「受け入れます….よ」
私は王女なんて重圧に耐えられなかった…神は何もかもお解りなのですね。
これからは…まぁ今は考えるのはやめましょう。
◆◆◆
マリン王女は本当に行動が素早いな。
さっさと王と一緒に帝国に来て、王族の権利を手放した。
それと同時に、今回の実行犯の吉川をはじめとする緑川さんを含めて18名が集められた。
しかも、しっかりと手錠をされている。
「よう、緑川さんに吉川達久しぶり」
「神代君…生きていたのか?」
「そんな神代が生きていたんて…俺は」
顔が皆、青くなっている。
まぁ殺そうとした相手が生きていた。
当然だな。
「そんなに慌てないで良いよ、それでね君達には二つの道がある。君達が選んだ方に、塔子や綾子、木崎君に三端さん以外は従って貰うからね、ちゃんと決めてくれよ。一つはこのまま異世界で暮らす。最もこの場合は俺を襲った事がバレているから、世界中から非難されるし、命の危険もある。もう一つは日本に帰る事、此方を選んだ場合は日本に帰れる事を保証する。どうだ?」
「ちょっと待ってくれ、日本に帰れるのか?」
「ああっ帰れるよ、但し全員残るか、全員帰るかだ。僕だけ、私だけは駄目だから話し合いで決めて欲しい」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「解かった(わ)」」」」」」」」」」」」」」」」」」
結局、話し合いの末…皆は日本に帰る事を選択した。
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。