友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん

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襲撃

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奴隷商人は競りで20人近く競り落としていた。

気になった奴隷はほぼ全部競り落とせたらしくご機嫌だった。

俺が落札したアイシャも見てくれると言うので見て貰った。

「マイクお前がついていながら、こんな者を落札させたのか?」

「私は反対したのですが、セレス様がどうしてもとおっしゃりますので」

マイクさんが困った顔をしてこちらを見ている。

「私からどうしてもと入札したのです、怒らないであげて下さい」

「そういう事なら」

まぁ、アイシャは見た目凄く悪い。

奴隷商の主としての面子もあるのだろう。

「アイシャ」

「あーあーうー」

「もしかして喋れないのか?」

「あーあーあうあうあうあーーーっ」

まぁ良いや、意思の疎通が出来るなら、治す事は難しくないだろう。


「それじゃ、セレス様、此方へ」

嫌な予感がする。


誰かがこちらを見ているな。

「気のせいかも知れませんが、何か視線を感じます、俺は奴隷が乗っている馬車の方に乗ります」

「そうですか、助かります、宜しくお願い致します」

馬車に乗り街から出た場所。

そこに違和感を感じた。

絶対に何者かがこちらを伺っているのが解る。

何処だ、上か下か、人数は何人だ。

ようやく相手の所在が分かった、敵は木の上、1人だ。

但し、相手はかなりの凄腕だ。

勇者パーティでも、俺とリヒト、ケイトじゃ無ければ先手を奪われる。

まぁ、それだけだが『それが出来る技術を持つ者』は少ない。

来た。

「….」

無言でこの馬車に乗り込んできた。

奴隷はまだ気が付いていない。

そこ迄気配が消せる、プロだ此奴は。

狙っているのはアイシャだ。

俺はブラックウイングのブローチに手を掛けた。

そしてナイフを抜き斬りかかった。

何か訳ありだ、理由を聞きださなくてはならないから『殺せない』

だから、俺はナイフを腕のつけねを狙い刺した。

「うがぁぁぁぁぁぁーーーっ」

此奴は一流かもしれないが、俺は悪いが超一流だ。

俺の方が速い。

「貴様、何者だっ..あっ」

「お前は、蝙蝠」

「お前は『英雄セレス』か? もしかしてこの女を買ったのはお前なのか?」

「そうだ」

「チクショウ、お前が買ったのならこの依頼は失敗だ俺は降りる」

「そうか、なら背後関係を話せ」

「俺はこれでもプロだ、依頼主の事は話せない」

「そうか? それならば良い、お前は『蝙蝠のソルガ』裏社会で有名だ。だがな、俺は勇者パーティなんだぜ、これでも、そしてこの女は奴隷『俺の持ち物』だ。勇者保護法で裁かせるぞ」

【勇者保護法 第八条 勇者パーティの持ち物に手を出した者は、一族郎党皆殺しと処す】

少し大げさかも知れないが、勇者パーティの持ち物に【聖剣】【祝福の杖】【煉獄の杖】【アイスブレード】等二つと無い物がある。
大昔の勇者から【賢者の石】を盗んだ盗賊が居た。

その結果、勇者は魔王に敗北、それから5年間暗黒の時代が続いた。

そこから出来た法律である。

これは裏社会も含む。

世界が滅ぶような事態に裏も表も無い。

この法律は表だけでなく、裏社会にも通用する。

「セレス、そこ迄するのか? 解った、この黒幕は ルードル公爵だ」


ソルガは一流だ、本来なら死んでも口を割らない。

だが、家族や知り合い全部に罰が行くとなると別。

そして【勇者保護法】絡みのみ暗黒街において口を割っても良いというルールがある。

もしこの法律に逆らえば、その犯罪者のみならず、所属する組織も滅ぼされるからだ。

ソルガは話し始めた。

本来なら王家にのみ『姫騎士』のジョブは現れる。
だが、ルードル公爵の家に『姫騎士』のジョブを持つアイシャが産まれた。
そして肝心の王女には『姫騎士』のジョブが現れなかった。
ルードル公爵家は王家の遠縁であるから『姫騎士』のジョブを持つ者が生まれても可笑しくない。
だが、問題は王女には無かったと言う事だ。

その事が大きな問題になると思った先のルードル公爵はこっそり、アイシャを殺そうとしたが娘を手にかける事が出来なかった為、幽閉して育てる事にした。

だが、代替わりした兄、現ルードル公爵はアイシャを邪魔になり殺そうと考えたが
『姫騎士』というジョブは勇者や聖女程ではないが『魔法戦士』と同じ様に女神から祝福されたジョブ。

それゆえ直に手を掛ける事を恐れ、魔法によりジョブや能力を隠蔽して犯罪奴隷に混ぜて奴隷市場に売った。

本来なら、あの年齢であの容姿、誰も買うわけが無い。

そのまま購入されずに廃棄処刑される筈だった。

「それを俺が買ってしまったから、見届け役のお前が襲ってきた、そういう事か?」

「そういう事だ、これで全部だ」

「蝙蝠のソルガ、今暫くは何処かに身を隠してくれ、俺はお前が嫌いじゃない、この件は俺が預かる」

「そうか、解った『お前に気に入られた』その幸せに感謝する事にしよう」

奴隷たちは端で塊、怯えていた。

アイシャは流石は『姫騎士』こちらを普通に見ていた。

俺は再びブローチに手を掛け周りを見渡した。

気が付くと他の護衛や奴隷商にマイクがこちらを見ていた。







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