友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん

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機工師 マリ

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「また一人仲間に加えようと思う」

「セレスも男の子ですね、やはり若い子が良いのですわね」

「あんた、散々私みたいな年上が好きなんて言っていた癖にそれなの」

マリアの目が生暖かい目で俺を見ている。

逆にアイシャの目は冷たい。

「最初に言っておくけど、新しい仲間は2人より年上だ、それと俺は年上が好みで、アイシャやマリアは…俺から見たら美人で好みだ」

アイシャはやれやれという様な顔をしていたが、マリアは目を丸くしている。

「セレス、それは私が、その恋愛対象で好きなタイプそういう事ですの?」

「マリア、貴方だけでなく私もよ!」

「そんな事今は関係ないですわ、アイシャから聞いてはおりましたのよ、ですがまさか本当だなんて…そういう事なら今夜から」

「マリア、今何をいおうとしているの?」

「いや、まぁ良いですわ、セレス様、また今度続きの話をいたしますわ」

冗談でもこういう事を言われるとつい本気にしてしまう。

まぁ多分揶揄っているんだろう。

「それで話は戻すけど、俺は魔法剣士 アイシャが姫騎士 マリアが元聖女、そう考えたらあと一人賢者に相当する仲間が居れば、パーティとして固まるから、話を聞いて仲間にしようと思ったんだ」

「そういう事だったんだ」
「それでどんな方ですの?」

「まだ会った事が無いけど、2人と同じだよ」

「それはどういう意味?」

「どういう意味ですの?」

「犯罪奴隷で名前はマリ、黒髪黒毛で『勇者を殺せるような武器』を作ろうとしたらしい」

「他にはないの」

「他には情報はありませんの?」

「それだけだな」

「それで本当に大丈夫?」

「大丈夫なのですか?」

「あとは思い出したけど、賢者の子孫らしい、まぁ、俺は凄く運が良いから大丈夫でしょう?」 

「どうして?」

「どうしてそう思うのですか?」

「だってこんなに素晴らしい仲間が簡単に出きたからな」

「「うっ」」


◆◆◆

ようやく今日三人目の仲間がこの街に来る日だ。

午後に奴隷商に伺う約束をしていた。

いきなり三人で行くのもなんなので俺一人で行った。

マイクさんに挨拶をすると部屋に案内された。

俺が部屋に入ると彼女は席を立ち俺に挨拶してきた。

「初めまして、マリちゃんです。武器を作っていただけで殺されかけていました。助けてくれてありがとう….本当に作っていただけ、なんです。信じて下さい」

何処からどう見ても日本人にしか見えないな、黒髪、黒目だし。

髪の毛はしっとりヘアーの姫カット。

俗に言うカラス髪で凄く艶があって綺麗だ。

背が凄く小さく140㎝もないと思う。

そして28歳なのに童顔だ。

うーん一番近いのは秋葉系のアイドルで小柄で20代後半でもチェックのミニスカ穿いて若く見えて、童顔のアイドルって感じ。

アイシャやマリアと違って日本人ぽいからリアル感がある。

それで…なんで黒いゴスロリ風の服を着ているんだ。

『マリちゃん』と自分にちゃんとつけている事と関係があるのかな。

「ご丁寧に有難うございます、俺の名前はセレス、宜しくお願いいしますね!」

「知っています、勇者パーティの『英雄様』ですよね、本当に驚いた~ なんで引き取って貰えるのか、解らないんだもん…どうしてですか?」

「俺のパーティーは魔法剣士の俺、姫騎士のアイシャ、元聖女のマリアで構成されている、だから賢者の様な魔法のエキスパートが欲しかったんだ」

あれ、何だか顔が曇った様な気がする。

「私は嘘は言いたくないから、本当の事言うね。魔法は使えるけど、少しだけだよ…もしかして…要らないのかな?」

俺はマイクさんの方を見ると気まずそうな顔をしていた。

まぁマリは恐らく日本人だから、そんな事では見捨てたりしないが…それなら彼女は一体何が得意なんだろう。

「そんな事は無いけど、それじゃ一体マリちゃんのジョブは何かな?」

「私のジョブは『機工師(きこうし)凄く珍しいジョブなのよ』

「「機工師」」

俺は聞いた事が無い、多分驚いているからマイクさんも知らないジョブなのだろう。

「そう機工師! 道具を作ったりするのに優れたジョブよ!」

「それでどんな物を作ろうとしていたんだ」

「それがね、ご先祖様が残してくれた本の武器を再現しようとしてたの」

「見せて貰っても良いかな、その本」

「見たいの? 見せてあげるよ」

収納袋から本を取り出している。

だけど、良いのか、その本には『ブレーブキラー』の設計図があったりするんじゃないのか?

本を見せて貰った。

なんだこれ、飛行機や戦車、マシンガンじゃないか?

そして『ブレーブキラー』は強化服、しかも半分ロボットみたいな、何処ぞの宇宙刑事が着てそうな感じだ。

これ本当に出来るのか?

『著者 平賀源内』

本物じゃないだろう。

だが、こんなアホな名前を名乗るのは、転移者か転生者に間違いない。

「あのマリさん、いやマリちゃん、これ作れるの?」

「セレス様、流石に全部は作れないよ、これ多分冗談も沢山入っていると思う」

いや冗談じゃない、これは俺の前世で実際にあった物だ。

だが、やはり実現できないだろう。

「そりゃそうだよな、残念だな」

「だけど、ブレーブキラーの剣の部分は作れたよ?」

えーと、『高周波ブレード』って書いてある。

「なぁ、マリちゃん! プロフェッサーマリと呼ばれるのと博士と呼ばれるのどちらが良い?」

「えー教授か博士…凄く評価は嬉しいけど、私の事は『マリちゃん』と呼んで下さいね」

「それじゃ、マリちゃん、解った」

何だか凄く嬉しそうだな。


◆◆◆

「本当に申し訳ございません、魔法使いと間違えていました、今なら返品も受け付けます」

マイクさんが泣きそうな顔で謝ってきた。

「気にしないで下さい、多分彼女はうちに必要な人間です、寧ろ有難うございます」

「そうですか、そう言って貰えると助かります、それでは手違いがあったので奴隷紋はサービス致します、それで今回の奴隷契約ですが、かなり重い契約になります」

そんな、出来る事なら軽い方が良い。

「何とか軽い契約になりませんか」

「それは無理です、危ないと国が考えての事です」

「私構わないよ! 構わない、構わない」

「マリが言うなら、それで」

「解りました」

◆◆◆

本当に、あの本に書いてある物をマリが作れるなら。

大変な事になるかも知れない。





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