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初恋の相手が...

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パーティハウス、まぁほぼ小城を4人で見に来た。

此処からなら冒険者ギルドまで歩いて20分位、警備隊の詰め所迄10分。

悪くない。

まぁ貴族街も近いから、商人は敬遠するだろうな..

まぁ俺には良い場所だ。

先程、ハレス伯爵夫人が馬車で通った時に態々、馬車から降りて挨拶してくれた。

「英雄様が、近くに住んで頂けると心強いです」

そう言っていたから、貴族達からの嫌がらせは無いと思って良いな。

「しかし、凄いなこれ」

「お城ですわね」

「お城ね」

「これなら充分です」

一応はお城じゃない。

見た目がお城に見える凄い屋敷だ。

まぁ、こんな所に本物のお城を建てたら国王に文句を言われる。

これでも反感を買う可能性もあるかも知れない、だから売れなかったのか。

そんな感じだろうか?

カギを貰ったので中に入る、部屋数は12部屋に倉庫が3つ。

そのうちの1番大きな倉庫はそのまま外に繋がっていて馬車置き場を兼ねるようだ。

「好きな部屋をまずは1つずつ選んで良いよ」

「セレスは何処にするの?」

「何処にするのです!」


「あっ、俺は、女ばかりで危ないから1回の入り口に近い部屋にするつもりだ、皆は女性なんだから可能なら2階から選んでくれ」

「そうなんですの」

「そうなんだ」

「そうだね」

なんで3人とも顔が赤くなるんだ。

まぁ良いや。

「マリちゃんは部屋より倉庫の方が気になります」

「そうだな、一緒に見に行くか」

「はい」

マリと一緒に倉庫を見に行った。

「う~ん、これよ、これ、こう言うのが欲しかったの」

「良かったな」

「それでお願いなんですが、部屋は要りませんから、小さい倉庫をラボ兼自室に、大きい倉庫を開発室としてくれないかな?」

なんだか、マリと話していると此処が異世界なのを忘れてSF漫画の博士と話している気がしてくる。

「そうだな、マリえもんの好きにして良いよ?」

「まりえもん?」

「あはははっ忘れて、ちょっと頭から出てきただけだから」

危うく神よりも怖い存在を怒らせる所だった。


一通り、部屋を見て回ったが、家具はしっかりとありベッドも6つあった。

これなら、清掃をして貰って、寝具や食器、魔石を買えば生活が出来る。

清掃は冒険者ギルドがしっかりしてくれるから必要な物だけ買えば良いだろう。


◆◆◆

「しかし、本当に全部俺任せで良かったのか?」

「すみません、わたくしは王妃だったのでこういうのは解らないのですわ」

「私はほら外に出なかったから…解らないわ」

「マリちゃんも同じ」

確かにそうだけどさぁ。

寝具から食器…挙句は服に下着まで全部俺が選ぶとは思わなかった。

流石に下着を買うときは、少し恥ずかしいぞ。

まぁ、我がパーティは『家事が全滅なので』俺が下着まで洗っているんだが…

この世界の寝具はオーダーメードだから、完成まで2週間かかる。

うん、メード? メイド。

俺は馬鹿なのか? メイドを買うか雇えば良いじゃ無いか?

流石に宿屋ならまだしも『屋敷で女物の下着を洗う』のはカッコ悪すぎる。

「先に宿に帰っていてくれる? 俺はメイドの手配をしてくる」

「そう、また買うのね」

「家事ができないのですから仕方ありませんわね」

「家事は少し宛がありますから、1人で大丈夫ですよ」

二人の寒い視線とマリのなんだか自信がありそうなどや顔を見ながら俺は1人奴隷商に向った。

「セレス様、今日もまた奴隷の購入ですか?」

うん、本当に儲からない客なのに笑顔で迎えてくれるマイクさんが素晴らしい。

「儲からなくて申し訳ないが『家事奴隷』が欲しい」

「はいはい、また少し歳が上めが良いんですよね、心得ていますよ」

まぁ儲からないからか、もしかしてマイクさんを俺専用にしたのか主は顔を出してこない。

「その通りです」

「丁度、昨日他の奴隷商から購入した家事奴隷が数人いますから見て見ますか?」

「宜しくお願い致します」

何時見ても汚い奥のカーテンから先にお目当ての家事奴隷がいる。

高く売れる性処理奴隷は手前の部屋に格子がついた場所に居るのに対し、この辺りは臭く、衛生も良くない。

「此処に居るのが家事奴隷です、まぁ女性としては25歳以上で終わっています、経産婦が殆どで、村娘のジョブとかですから上級メイドにはなれないですね、掃除や洗濯にはもってこいですが、食事も田舎臭い物しか作れません」

まぁそれで充分だな。

「それで幾らですか?」

「訳ありでは無いので金貨3枚、あっ奥に蹲って座っているのは31歳なので金貨1枚で良いですよ、流石にセレス様でも…」

嘘だろう、なんで此処にいるんだよ。

「奥の奴隷を買う、買う買う買う…金貨1枚じゃ悪いから金貨2枚、いや3枚で買う、だから部屋を少し借りたい」

「どうしたのですか急に…あははっ私もプロだから金額以上では売れません1枚で結構、それじゃ、金貨1枚は高級奴隷様のお披露目服と清掃、奴隷紋代に使われては如何ですか? サロンはどんな奴隷を購入した人でも使えますから、無料です」

心臓が飛び出るかと思った。

なんでこんな場所に居るんだよ。

◆◆◆

「あのぉ、本当に私が売れたのですか? それになんでシャワーまで浴びれるのでしょうか?」

「あんたついているな、あんたが奥で顔見世もしないで蹲っていた時に、気に入られて買われたんだ、しかも余分にお金を出してオプションまでつけられた、まるで十代の性処理奴隷みたいな感じでだ」

「それでこれなのですね、新品の服を貰えるのは嬉しいですが、これ私みたいなオバサンに似合いますか」

「お前みたいなババアに似合う訳ないだろう? だけど服は高級奴隷のオーナー以外買わないからこういう服以外、無いんだからしゃーねだろう」

「そうですね...こんなオバサンにこんなの着せてどうしたいのかしら?」

「それはご主人様に聞く事だな」

「そうですね~」


◆◆◆

「さっきは驚いていたようですが、何かご事情でも」

「多分知り合い、そして恩人の可能性があったんだ」

「左様ですか、良かったですね」

「本当にそう思うよ…ありがとう…マイクさんには本当に世話になりっぱなしだよ」

「私は、お仕事をしているだけです…おや目当ての方が連れられてきたようです、私は席を一旦外させて頂きます」

そう言うとマイクさんは出て行った。

ドアが開いて『彼女』が入ってきた。

忘れる事は無い。

此の世界での俺の初恋の相手…マリベルさん。

「マリベルさん?」

「嘘、私を買ったのってセレ坊だったの?」

驚いた顔で目を見開いていた。

ジミナ村のマリベルさん、俺の初恋の相手、そして『勇者リヒト』の母親だ。




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