友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん

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幸せな日常と平和な未来へ

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「セレス、お客様が来ましたよ」

「う~ん、もう少し」

「全く、もう何時までも寝てないで、こう言う所は案外昔のままだね」

マリベルさんに布団を剥がされてしまった。

俺の体は一つなんだから仕方ないと思う。

昨日久々に戻ってきたから『色々と盛り上がってしまった』

少しアルコールが入ったあと、色々と話が進み、初めて会ったのだからと『夜の権利』は宝石姉妹になった。

この世の者とは思えない二人に興奮しやる事をやって、2人も満足して、眠っていたんだが…そこに4人が乱入してきた。

マリアやアイシャ曰く『先は譲ったけど、今日一日貸し切りでは無いのですわ』と言う事で明け方まで頑張っていた。

凄いな、宝石姉妹にマリアのマリベルさんはもうしっかり起きて服をきて寛いでいる。

アイシャはまだ寝ているし、マリは着替えながらニマニマしている。

マリのニマニマの意味は解る。

『あれれーっセレスはブレイブキラーなのに疲れる訳ないじゃん』そういう意味でのニマニマだ。

今の俺の体は『疲れない』恐らくは1年以上一切の睡眠をとらなくても戦い続けられそうだ。

だからと言って嗜好は捨てたくない。

こう言う嗜好を捨てていった先には『人でない何か』が待っている気がするからな。

しかし、俺にお客? 誰だ。

慌ててシャワーを浴びて着替えて応接室に向った。

そこで待っていたのは…嘘だろう『竜王ドラムキング』だった。

なんでこの場所を知っているんだ。

◆◆◆

「久しいのう、セレス、息災でなによりじゃ」

なんで此処に居るのか解らない。

折角ゆっくりしようと思っていたのに。

「皆は部屋で休んでいて、ちょっと政治的な話があるから」

「その話は、恐らく私にも関係がありそうですから同席しますわ」

他の人間が去っていくなかマリアだけが残っていた。

「そうだ、セレス」

マリは慌てて戻ってくると親指を立てて笑って去っていた。

マリアとマリだけが老人が『ドラムキング』だと気が付いたようだ。

さてとどうするか?

まずは話を聞いてみよう。

「久しぶりですね竜王ドラムキング、それで今日はどういったご用件でしょうか?」

「硬いのう。死力を尽くして戦ったのだ、強敵(ともだち)じゃないか?」

「そうだな!」

まぁ今の俺なら、ドラムキング相手でも10分あれば倒せそうな気がする。

「まぁ良い! 今回お主と心いくまで戦ったからのう、四天王を引退する事にしたのじゃ、それでな、引退する理由を魔王や他の四天王に伝えたら、凄く怯えおって『向こう300年の休戦協定』を結びたいと言い出しおって、それでこうして儂が出向いてきたのじゃ、誰か人間側の地位のある人物を紹介してくれないかのぅ」

四天王、その中でも最弱と言われるドラムキング、そんな者と互角に戦った位で大袈裟だ。

何か罠があるんじゃないか。

「お主には本当の事を伝えよう、魔王軍最強は儂じゃよ、他の四天王なら分単位、魔王が相手でも時間は掛かるが倒せる」

「また、そんな…」

「はっきり言うとな、魔王ならセレスお主でも倒せるよ」

話しを聞くとかなり前に魔王と戦い僅差で勝ったそうだ。

だが、竜と言う種族は歳をとる程強くなり『死に掛けの今が一番ドラムキングは強い』らしい。

その証拠に幾多の勇者を倒したと聞いた。

矛盾が多い気もする。

ドラムキングは弱い勇者は見逃し、強い勇者はその戦いを称え殺していない。

『名誉等があり死を望む者』『弱すぎて手加減しても死んでしまった者』以外は殺して無いそうだ。

では、勇者が死んだ後…5年後に新たな勇者が現れる。

その話が可笑しくなる。

『始まりの勇者』とも戦ったのなら800年も前から戦っていた事になる。

そこから導かれる答えは…『死ななくても四職のジョブは失われ、他者に移動する事がある』『伝説に名を遺した勇者の中にはドラムキングに負けて、その事を隠して『魔王』を討伐した者が多い』そういう事だ。

近年は勝てない筈だ『魔王より強い四天王』と最初に戦うのだからな…

「そんな難しい顔をするな、取り敢えず、今の魔王も四天王もお前とは分が悪いから先送りにした。本来なら人間は歳をとるから100年で良いが、それだと『お前から逃げた』と解るから300年にした、そんな所だ、、実際にはデュランもハービアもスカル、そして魔王も『お前を怖がり戦いたくない』それが真実だ…口外するなよ」

ドラムキング…言わなくて良かったのか?

古代竜として歳をとり過ぎて耄碌しているの。

「ドラムキング…俺はお前から肝を貰ったから不老不死に近い位、生きるんじゃないか?」

「あっ! すっかり忘れておったわい…まぁこの仕事を最後に、もう魔王達に会う事も無いから問題はなかろう! 文句言ってきても『儂は知らん』で通せば良い…」

「そうか、ならば俺はこれから先『ドラムキングの肝を食べた事実』は忘れよう(マリと、今話を聞いているマリアしか知らないからな)」

「そうか、助かる…それでは人間側の責任者に会わせてくれ」

「解った」


◆◆◆


「セレスは凄いですわね」

急にマリアが話し出した。

ドラムキングから凄まじい気が流れ出ていて、喋る事も出来なかったそうだ。

「お主もなかなかの、たまじゃな。この場所に最後まで座っていたのだからな」

「流石は元聖女だな」

「元聖女だと! 成程良い目をしている、それでは、暫しセレスを借りるぞ」

「はい」

俺は教皇に対し『魔族側からの和平』の申し出がある旨の手紙を送った。


◆◆◆

【魔王の手紙】


人間の勇者よ、四天王の1人『竜王 ドラムキング』と互角に戦うとは誠に素晴らしい。

人類という弱き存在が竜の王と互角の戦いをした事に対して余は褒美を取らす事にした。

向こう300年、人類が敵対しない限り魔族からは攻撃を仕掛けない。

平和に過ごすのも偶には良いでは無いか。

これは余にとって『死期が近い古き友人ドラムキングの強き者と戦いたい』という夢を叶えた『勇者セレス』への余からの礼である。

300年の平和…それを望まぬのであれば、その時は残りの3人の四天王と余自らが戦うと言う栄誉を与えよう。




◆◆◆

ドラムキングには高級宿屋に俺の客として部屋をとった。

俺のパーティハウスでは…マリアがきっと眠る事が出来ない。

マリも何かしでかしかねないからな。

ロマーニ教皇はゼルド王を伴い、僅か3日間で此処まできた。

最初ロマーニはドラムキングを見て驚いていたが…そこは流石に教皇、和平の話になると、驚きも怯えもなく、淡々と話し続けた。

ゼルド王は…ただ頷くだけで使い者にならないな。

最終的には、この話を人類側も受け、これより300年…平和な時間が約束された。
















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