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第11話 大人だったんだ......
しおりを挟む「ちゃんと、前見ないと転んじゃうぞ……だけど本当に良かったのか?」
「転んでも良いです! はい……アリスは本当に幸せです! 本当にありがとうございます! ご主人様!」
アリスは嬉しそうに首輪と右肩の刺青を見ながら歩いている。
この刺青は只の刺青じゃないし、首輪も只の首輪じゃない。
『奴隷紋』の刺青と獣人奴隷の首輪だ。
時は少し遡る。
アリスが俺に言ってきた我儘……それは『俺の奴隷にして欲しい』そう言う事だった。
最初俺は断ろうとしたんだ……だが……
『グスッ、可愛いって言ってくれたのは嘘だったんですね……付き合いたいって言うから……勇気を振り絞って伝えたのに嘘だったんですね……どうせアリスは嫌われ者です……うっうっうえーーん、あぁぁぁーーん……どうせアリスなんて無料でも貰ってくれないんだぁぁぁーー気持ち悪いですよね? 本当に貰ってくれるなら何でもしますよ! 殴ってくれても蹴ってくれても、痛い事でも何でも我慢しますよ? 本当に可愛いっていうなら、どんな事でもしますよ……それでも無理なんですよね……ヒクッううっグスッスンスン』
という風に泣かれてしまった。
正直いって、こんなかわいい子なら『恋人』でも良かったんで、俺なりに気持ちを伝えたのに。
『ううっ……グスっ……そんなの嫌です……恋人なんて言ってもすぐに気が変わるに決まっています……どうせすぐ飽きて捨てるんじゃ無いですか? そうですよね……同情じゃ、ずうっと一緒に居られませんよね……ううっうえうわぁぁぁぁーーん』
と言う風に更に泣かれてしまった。
アリスは恐らく絆みたいな物が無いと安心できないのかも知れない。
一瞬、婚姻も考えたが、どう見てもアリスはこの世界でも成人じゃない様に見える。
多分、アリスの中では『捨てられない』その確信が欲しいのかも知れない。
俺としてはこれから仲良くなれればと思っていたのに……
結局、俺は泣きそうな顔のアリスに押し切られ、アリスを奴隷にした。
◆◆◆
「あのさぁ、そんなに奴隷になれて嬉しいの?」
「はい!」
状況が状況だから、解らなくもないがそんなに嬉しい事だろうか……
「奴隷になったのに?」
「ご主人様、奴隷には権利もあるんですよ? 最低限の食事や生活が保証されているんです! もうゴミを漁って怒られる事や殴られる事が無くなります。それにこの首輪です」
「その首輪がどうかしたの?」
「この首輪はご主人様が居るという事ですなんですよ! これがあれば獣人だからって物を売らなかったり、暴力を振るう事は出来ません……奴隷は財産ですから、アリスを傷つける事は、他人の財産を奪う事になりますから、ちゃんと罰されちゃいますからね、これで街を自由に歩けます」
「確かにそうだけど、それで良いの?」
「逆にご主人様こそ良かったのですか? アリスは獣人ですよ? 王国人にも帝国人にも嫌われていますし、この白い肌のせいで獣人にも嫌われています……娼婦になろうとしても買い手がつかず、奴隷になっても銅貨ですら買う人は居ません……オークの方がお肉が売れるだけ価値があります。 そんなアリスを奴隷にして良かったんですか? 奴隷にしたら一生一緒に過ごす事になるんですよ」
「俺は、最初に言ったとおり、アリスは可愛いと思うし問題無いよ」
「そうですか……それで奴隷のアリスは最初に何をすれば良いんですか?」
「それじゃ、まずは宿屋に行こうか?」
「まだ明るいのに……ご主人様って積極的ですね! 勿論、アリスは構いません!」
「ああっ、もう我慢できないからすぐに行くよ!」
「はい、本当にご主人様って、そんなにアリスが好きなんですか……良いですよ」
アリスを連れて宿屋に戻った。
「1人追加だな! 2人なら、まぁサービスしてやるよ」
宿屋の親父はそう言ったが安くなるわけでなく『1人分の追加』を安くしてくれるだけだ。
ちなみに宿屋は1人追加となったので宿屋のお金は銅貨6枚→銅貨8枚、食事代は1人追加なので二人で2食で銅貨3枚。
1日銀貨1枚と銅貨1枚(約1万1千円)が必要になった。
これはもう、土方仕事じゃ昼飯は真面に食えない。
討伐を頑張るしかない。
とはいえ、ゴブリンを狩れば良いんだから問題は無い。
◆◆◆
「いやぁぁ……痛いです、ご主人様……お願いです。優しく……優しくして下さい……」
別に襲っている訳じゃないからな。
確かに二人とも裸だが……俺がアリスをお風呂でごしごしと洗っているだけだ。
ホームレスって臭いんだよ。
幾ら美少女でも臭い物は臭い。
我慢出来ない位臭かったんだ。
流石に垢すりは無いけど、異世界にもへちまみたいな物はあった。
それでアリスの体をシャボンを使いごしごししている。
「駄目だな……」
「ご主人様はアリスが好きなんですよね? 優しく、もっと優しくして下さい……痛いです……」
だけど、擦れば擦る程、垢がポロポロ出て来る。
きっと何年もホームレス状態だったからだ。
「今だけ、我慢して……好きにして良いって言っていたんだから」
「ううっ……解りました……痛い、痛いです……」
涙目で見て来るアリスを見ながら、俺は心を鬼にしてアリスを洗いまくった。
しかし……思った以上に肌が綺麗だ。
雪の様に白い肌ってこういう肌を言うんだな。
雪国美人みたいだ……
「ほら、終わったよ! 今から服を買いに行ってくるから、毛布に包っていて」
「ううっ……ご主人様酷いです……まぁ良いです……さぁご主人様、大好きなら……アリスをじ……自由にして下さい」
「いや、服を買ってくるから、そのまま休んでいて」
「あの……ご主人様……そのしないで良いんですか?」
「確かにアリスは可愛いし綺麗だけど子供だから、無理しないで良いよ……そう言う事は大人になってから……」
「ご主人様……私大人ですよっ!」
そう言うとアリスは毛布を捲りあげて下半身を見せてきた。
毛が結構生えている……そうか獣人だから毛深いんだ......そう考えたんだが。
だけど……何歳なんだ。
「え~と、アリスって何歳?」
「あ~それ聞いちゃいますか? アリスは23歳です……ぐすっ、年齢的にも行き遅れですよ……ご主人様......」
嘘だろう……
「……」
「ご主人様、まさか年齢聞いて引いちゃったんですか? ううっグスンッ……アリスは獣人で白くて気持ち悪いだけじゃなく……ううっ年増のいかず後家なんです……嫌いになっちゃいましたか?」
合法ロリ……って事か?
いや、おかしくも無いのか?
アルビノだと成長が遅い場合や個体的に小さい事がある。
それか!
「アリス、そんな事無いから……安心して……え~とほら、綺麗な服が無いと買い物に出かけられないからね……買って来る」
今迄は子供だと思っていたから、意識しなかったけど。
23歳ならこの世界だけじゃなく、前の世界でも成人だ……
なんか、つい意識してしまう。
「ご主人様……」
駄目だ、アリスの顔が真面に見えない。
「あははっ行ってくるね」
俺は、アリスから視線を外して部屋を後にした。
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