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第30話 目的地
しおりを挟む一緒に来た生徒達とは、精神年齢的に話しが合いそうに無い。
だが、もう少し年上の存在がこの世界に居るなら会ってみたい。
居ないのなら居ないで気にはならなかったのかも知れない。
だが『居るのが解かる』とどうしても会ってみたくなる。
しかも、男が居ないのならアリスに危害が及ぶことは無いだろう。
ホームシックならぬカントリーシックになっているのかも知れない。
自分達を守るために集めた情報だが……
黒髪、黒目で日本について語れる人間。
『そんな人間に会ってみたい』そんな思いが強くなってきた。
また、話を聞くと苦労してそうだから『よいか理人、嫁にするなら貧しい家から貰うんだぞ』と言う祖父の言いつけからも口説く対象になる。
問題は聖教国が魔国に隣接していて、此処に比べて危ない場所だと言う事だ。
そんな場所にチートを持たない俺が行って危なく無いのか?
それが気になる。
危なくないなら足を運んでみたい。
だが、もし危険があるのであれば足を運ぶべきじゃない。
う~んどうするかな?
また冒険者ギルドにでも相談してみるか?
◆◆◆
「聖教国が危なく無いか? ですか?」
これもまた有料なのか。
「はい、この情報もお金は掛かりますか?」
「いや、冒険者の安全に関する情報を流すのはギルドの業務ですから、無料ですよ!」
「それじゃ、教えて下さい!」
「そうですね! まず王国から聖教国に向かう道は魔物は居ますが、魔族の進行は無く、割と安全ですね。 聖教国内もまだ魔族に攻め入れられてないので今の所は安全でしょう。 問題は聖教国から魔国への道です。 此処は戦場状態ですのでもの凄く危険です。戦争参加者以外は行かない方が良いと思います……結論から言えば、ここから聖教国へ向かい帰ってくる分は安全です。 尤もこれは今ならという限定です。 最前線で戦っている部隊が数回負けない限りは大丈夫でしょう」
そう考えるなら、行くなら今がチャンスか。
「ありがとうございました! それで、もし聖教国に行き異世界人にあったとして……その状態は……」
かなり悲惨だと聞いたけど、それはどの程度の怪我なのだろうか?
この世界における『不遇』と言うレベルを知りたい。
「そうですね、四肢欠損レベルの怪我ならまだ良い方だと覚悟して置いた方が良いでしょうね。 全身火傷とかもあるかも知れません! 超人的な力を持つ異世界人が戦場を去るのですから、並大抵な怪我では無いと思います」
「そうですか……戦争から離れた場所に居る異世界人は聖教国以外には居ないのですか?」
「聖教国が多いというだけで帝国にも数は少ないですが居ますね」
「王国には居ないのにですか?」
「はい、不遇な異世界人の多くは召喚魔法を使った国、王国を嫌っています。また、恨まれているのを解っているから王国側も警戒しています。 不遇な異世界人にとって王国のスラムは住みにくい場所と言えます」
「それで、更に遠くの帝国ですか?」
「はい……ですが、戦場から離れたい為に無理して帝国まで逃げたのですから、きっとかなり疲弊して貧しい暮らしをしている……そう考えて良いでしょう」
それなら、無理して聖教国に行く必要はないな。
より戦場から遠い、帝国に向かった方が安全だし、それならもう二人から許可を貰っている。
俺はお礼を言い冒険者ギルドを後にした。
◆◆◆
「帝国に行くのですか?」
「そうですね……少しでも戦場と離れるという事は賛成ですわ」
訓練が終わり、生徒たちがやがて出て来る。
城下町に居るのが僅かとは接触は避けた方が良い。
まして俺は若返ったから、自分の学校の用務員とは誰も気が付かない状態だ。
赤の他人として接触はしない方が無難だ。
「それじゃ決まりだ! 少し、狩りをしてお金が溜まったら、帝国に向かおう」
とはいえ、路銀を溜めないといけないから、1週間位はまだ旅立てないな。
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