『ホームレス王の孫』の異世界転移 スラム暮らしも悪くない!

石のやっさん

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第15話 ポーター②

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サラマン商会に着くまでの間、俺の左右、前に屈強な男たちが座っていた。

俺ではなく俺のアイテム収納に入った貴重な鉱石の護衛だ。

この位当たり前か。

しかし、これは凄く楽で実入りが良い。

何しろただアイテム収納に納めて運ぶだけ。

しかも、運ぶと言うが実質馬車に乗っているだけだ。

ただ、三人に囲まれていて手持ちぶたさで話しかけたのだが……

『護衛任務中ですので』とやんわり断れた。

無言でただ座っている。

この世界にはゲームもスマホもライトノベルも無い。

仕方なく俺は目をつぶり瞑想する事にした。

『凄く暇だ』

話し相手が居ないとこんなに苦痛だなんて思わなかったな。

だが……これだけでお金が貰えるんだ文句なんて言えないな。

◆◆◆

「おい、着いたぞ!」

「あっ! スミマセン」

気がついたら眠ってしまったようだ。

「別に構わない、俺達はあんたの護衛が仕事だからな、あれだけの量の鉱石をいれるストレージの魔法だ精神的に疲れるのも仕方が無い。次も寝ていても構わんよ……気にしてないからほら行くぞ!」

「はい」

魔法を使うと精神がつかれるのか。

それにしても、嫌われていたのじゃなく『仕事に忠実』なだけだったんだな。

良かった。

しかし……凄い大きな建物だ。

鉱山を持っている様な商会なんだから当たり前か。

護衛の男について行くと大きな倉庫の様な場所に案内された。

「今回は4箱分の鉱石をポーターが持っている! 何処に出させればよいか?」

「それじゃ、この辺りに出して置いてくれ」

「早速だが、そこに出してくれ!」

「はい」

俺はアイテム収納から預かっていた鉱石を取り出し指定された場所に置いた。

「4箱だな、なかなか腕の良いポーターみたいだな! ほら、金貨1枚と銀貨2枚だ……これからも宜しく頼むぜ……え~と」

「ハンスと申します」

「ハンスか? 俺の名前はケント! この商会の鉱石管理者をしている。ストレージ持ちは大歓迎だ」

「こちらこそ宜しくお願い致します」

「ストレージ持ちにしては腰が低いな。 そういうの嫌いじゃないぜ! 出来たら長く続けてくれよ! それじゃこれからも宜しくなっ!」

「はい」

しかし『長く続けてくれよ!』ってこの仕事は凄く実入りが良いのに聞いた感じ長続きしないようだ。

「あの、聞いても良いですか?」

「ああっ、なんだい?」

「いま聞いた話では長続きしないようですが? なにか理由があるのですか?」

「そりゃ、冒険者相手に仕事をした方が実入りが良いからに決まっているだろう? 多少危険だが倍以上の金額が稼げるから、ポーターの殆どは冒険者の方に流れて行っているんだ。腕の良い冒険者なんか専属契約をしてポーターを抱え込んでいる位さぁ」

「そうなんですか?」

「あんた、随分と世間知らずなんだな! そんな状況だからポータ不足の商会が多いんだ」

「なるほど」

「という訳だが、冒険者ギルドに斡旋に行くとは言わないよな?」

「言いませんよ」

冒険者と組むなら遠征や迷宮に行くから何日も帰れない事が多いと聞いた。

アカネを置いて家を空けるなんて考えられない。

「そうか、これからもそれじゃ宜しくな」

こんなに稼げる仕事辞めるなんて勿体ない。


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