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第20話 近所挨拶と過酷な世界
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ゴルドー爺さんに挨拶をすませた。
「今迄お世話になりました」
「なぁに、スラムの人間は助けあいが必要だ。気になどする必要は無い、それにそう遠くに行く訳じゃない。また遊びにくると良い」
「はい、それで良かったらこの小屋使ってくれませんか?」
これはアカネと一緒に考えていた事だ。
此処の小屋にはもう戻ってくることは無い。
なら、家の無いゴルドー爺さんにあげよう。
そう考えていた。
「いいのかい?」
「はい、もう使いませんから」
ゴルドー爺さんに手を振りながら俺達は新天地へと旅だった。
尤も、少し遠いが歩いていける距離だけどな。
◆◆◆
街で掃除道具を買い、購入した墓地の傍の家に向かう。
「今日から此処が私達の家なんだね」
「そうだね、なかなか立派だよな」
「そうだね」
但し、窓から見える景色は墓地だけど……それを除けばまずまずの家だ。
何しろ木造でなくこの世界では豪華なレンガ作りだし、生活に必要な物は一式ある。
「さぁ、何処から手を付けようか?」
「ハンスは掃除と洗濯とどっちが良いかな?」
「俺はどっちでもいいから、アカネが好きな方を選んで良いよ」
「う~ん、私もどっちでもいいけど……それじゃ掃除にしようかな?」
「それじゃ洗濯を頑張るか……」
寝具、カーテンの洗濯。
多分、簡単に終わりそうだから、終わったら食器の洗い物でもするか。
アカネと手分けして作業にあたった。
洗濯は凄く楽だ。
冷たい水でなく、コンコンと湧いている温泉が使える。
しかも、どう言うわけか温度も丁度良い。
水で薄めないで普通に使える温泉。
ちょっとした贅沢だな。
お風呂場に洗い物を持っていった。
毛布や敷布団を外で叩いてからお湯を掛けると茶色い水が更に茶色くなる。
暫く使って無かったからか、汚れが酷いがただ汚れているだけだ。
何回か洗っていくと段々とお湯の色だけになる。
「う~ん、お湯が茶色いからいまいち、良く分からないけど、こんなものか?」
これを窓から干して、今度は食器でも洗おう……
アカネは、はたきを掛け終わり、床を履き始めている。
この分だとあと少しで住めるようになるな。
別に雨漏りもして無さそうだし……室内の掃除だけで充分そうだ。
しかし、此処は結構理想的だ。
前の場所と違い街の外れで木々がある。
場所が墓地という事もありカラスもスズメ、ハトも居る。
そして小さな川がある。 まぁトイレと繋がっているけど上流なら良いよな。 恐らく魚を期待できる。
今迄と違って台所もあるから、調理を隠れながらする必要が無い。
街の人間からは不便だけど、俺からしたら割と理想の住処だ。
考えごとをしながら作業していたら食器洗いも終わった。
「ハンス、掃除終わったよ!」
「こっちも終わったよ!」
そう広くも無いし、こんな物か……
あとは干してある物が乾いたら終わりだな。
◆◆◆
「時間もあるし、近所挨拶に行こうか?」
「そうだね、済ませちゃおうね」
歩いて15分程の所にある鉱山勤めの人が住むスラム。
前に通った時もそうだが、同じスラムだけど少し裕福そうだ。
まず、同じスラムだけど見た感じ路上生活者が居ない。
鉱山関係で働いているんだから、収入があるから最低限の収入はあるのだから、当たり前と言えば当たり前か。
木で出来た柵を越えて中に入り一番最初の家に訪問した。
「すみませーん」
「はい、どなた?」
服装は俺達と同じでみすぼらしいが、前のスラムにはいない、おっとりとした女性だ。
「この近くの墓地の傍に引っ越してきた、ハンスと申します。こちらか家内のアカネです……これから宜しくお願い致します! あと、何か器とかあります?」
「ありますけど!? なにか?」
「ご家族が何人ですか? これ、前に住んでいたところで好評だったんですよ? よかったらどうぞ」
俺はアイテム収納から鍋を取り出して『残飯シチュー』を見せた。
「あら、美味しそうね! うちは子供二人いるから旦那と併せて4人家族なの?少し多く貰えると助かるわ!」
「はい、それじゃ少し大盛りにしますね」
「助かるわぁ」
結構な量を持ってきていたので少し多めに差し出された器に盛りつけた。
貧しければ貧しい程、こういう挨拶が肝心だ。
爺ちゃん曰く、戦後は醤油や味噌の貸し借りが近所つきあいであり、その結果、近所つきあいが円満だったらしい。
こんな事でも貸しが一つでき、揉めた時に許して貰える。
「それで、この辺りを仕切っていられるお宅はどちら様でしょうか?」
「ああっ、ここの場所はね、皆、鉱山勤めだから上下はないのよ! 皆、同じよ……役職者はまぁ、スラムに住まないからね、一応、ジルさんが責任者ではあるけど此処じゃなくちゃんとした市民街に住んでいるわ」
「ジルさんってあの筋肉質のですか?」
禿げといったら不味いよな。
「あら、ジルさんを知っているなんて鉱山勤めなの?」
「偶に働いています」
「そう? あらいやだ、長話ししちゃったわね、引き留めてごめんなさい!」
「いえ、色々教えてくれてありがとうございました」
同じスラムの住民とは思えない位おっとりしているなぁ。
◆◆◆
「あの家に引っ越してきたのかい?」
このおばさんもスラムの人にしては身なりが良いし上品に見える。
「ええっ」
「墓地の傍に良く引っ越したね……造りはよいんだけど、近くに死体が埋まっていると思うと、誰も住む気になれなくね。買い手がつかず、ずうっと空き家だったんだ……良く思い切ったね」
「余り気にしないので……」
「それに、家の中にお風呂があるだろう? そこの湯が血みたいな茶色い湯が湧いているじゃないかい? 気持ち悪くないかい?」
「温泉が湧いているって良くないんですか?」
日本から来たからこそ、気にならない。
あれは恐らく鉄分とかを含んだお湯だ、24時間何時でも入れるなんて素晴らしいと思うけどな。
「いや、あそこに住んでいた。ターナーカー爺さんも喜んでいたけどさぁ……普通の温泉って透明なのにあの色なんだよ……しかもその温泉の近くには死体が埋まっている……墓地の近くは納得できても、あれが嫌で購入をやめた人も多いんだよね。あんた凄いよ」
俺にとっては良い事だけど、知らない人にとっては嫌なんだろうな。
そう言えば日本にも血みたいな色の温泉もあったような……あれと同じ感覚か…….
此処は合わせて話した方が良いな。
「そうですね。ドアを閉めて使わないから気にしません。 それでターナーカーという人はどんな人だったんですか?」
多分、田中さんじゃないのかな?
「ああっ、異世界人で魔族との戦いでちょっとした手柄をたてたみたいだよ! その時に恋人が死んで、あの墓地に埋葬したそうだ。 余程恋人が好きだったんだろうね。その時の褒賞であの家を建てて生涯奥さんのお墓を弔いながら生活してたそうだよ……あの温泉も褒賞の一部で掘って貰ったみたいだね、死体の傍だからか、あんなお湯だったんだ。そうとう深く掘ったらしいよ……その時の計画ではお湯が出たらこの辺りにも掘ろうなんて話もあったんだけど……あの気持ち悪い湯を見てその時の責任者が中止させたんだよ」
「色々教えて頂き有難うございました」
全部の家を周り、残飯シチューを振舞った。
皆が美味しいと言ってくれるし良かった。
ジルさんは此処には住んでいないようだから、今度会った時に挨拶をすれば良いだろう。
「無事挨拶が終わって良かったね。皆良い人そうで良かったぁ」
「そうだね、これで家に帰ったら洗い物取り込んで、とりあえずゆっくりしようか?」
「うん……だけどハンス、なんか複雑そうな顔しているけど? どうしたの?」
「いや、前に住んでいたターナーカーさんってどんな人かなと思って、あとでお墓を見て来て良い?」
「別に良いけど」
恐らくターナーカーは田中さんだ。
どうしても気になる。
◆◆◆
家に戻ってきた。
アカネは取り込んだ寝具が気に入ったらしく抱えて寝転がっている。
俺はどうしてもターナーカーの事が気になり、お墓を探した。
それはすぐに見つかり、この家の傍にまるで二人仲良く寄り添うように立っているお墓がそうだった。
やはりそうだ……
『田中和也』
俺と同じ日本人だ。
そして……『三上真理子』……嘘だろう享年17歳。
ここに来て割とすぐに亡くなったのか……
他にもあるか……探してみると……『立嶋』『久保田』……幾つもの日本人の墓石を見つける事が出来た。
ただ、問題なのは……その殆どの亡くなっている年齢が20歳以下だった。
恐らく、皆それなりのジョブやスキルを貰っていた筈だ。
『チートを貰った異世界人でも簡単に死ぬ』
此処は思った以上に過酷な世界なのかも知れない。
「今迄お世話になりました」
「なぁに、スラムの人間は助けあいが必要だ。気になどする必要は無い、それにそう遠くに行く訳じゃない。また遊びにくると良い」
「はい、それで良かったらこの小屋使ってくれませんか?」
これはアカネと一緒に考えていた事だ。
此処の小屋にはもう戻ってくることは無い。
なら、家の無いゴルドー爺さんにあげよう。
そう考えていた。
「いいのかい?」
「はい、もう使いませんから」
ゴルドー爺さんに手を振りながら俺達は新天地へと旅だった。
尤も、少し遠いが歩いていける距離だけどな。
◆◆◆
街で掃除道具を買い、購入した墓地の傍の家に向かう。
「今日から此処が私達の家なんだね」
「そうだね、なかなか立派だよな」
「そうだね」
但し、窓から見える景色は墓地だけど……それを除けばまずまずの家だ。
何しろ木造でなくこの世界では豪華なレンガ作りだし、生活に必要な物は一式ある。
「さぁ、何処から手を付けようか?」
「ハンスは掃除と洗濯とどっちが良いかな?」
「俺はどっちでもいいから、アカネが好きな方を選んで良いよ」
「う~ん、私もどっちでもいいけど……それじゃ掃除にしようかな?」
「それじゃ洗濯を頑張るか……」
寝具、カーテンの洗濯。
多分、簡単に終わりそうだから、終わったら食器の洗い物でもするか。
アカネと手分けして作業にあたった。
洗濯は凄く楽だ。
冷たい水でなく、コンコンと湧いている温泉が使える。
しかも、どう言うわけか温度も丁度良い。
水で薄めないで普通に使える温泉。
ちょっとした贅沢だな。
お風呂場に洗い物を持っていった。
毛布や敷布団を外で叩いてからお湯を掛けると茶色い水が更に茶色くなる。
暫く使って無かったからか、汚れが酷いがただ汚れているだけだ。
何回か洗っていくと段々とお湯の色だけになる。
「う~ん、お湯が茶色いからいまいち、良く分からないけど、こんなものか?」
これを窓から干して、今度は食器でも洗おう……
アカネは、はたきを掛け終わり、床を履き始めている。
この分だとあと少しで住めるようになるな。
別に雨漏りもして無さそうだし……室内の掃除だけで充分そうだ。
しかし、此処は結構理想的だ。
前の場所と違い街の外れで木々がある。
場所が墓地という事もありカラスもスズメ、ハトも居る。
そして小さな川がある。 まぁトイレと繋がっているけど上流なら良いよな。 恐らく魚を期待できる。
今迄と違って台所もあるから、調理を隠れながらする必要が無い。
街の人間からは不便だけど、俺からしたら割と理想の住処だ。
考えごとをしながら作業していたら食器洗いも終わった。
「ハンス、掃除終わったよ!」
「こっちも終わったよ!」
そう広くも無いし、こんな物か……
あとは干してある物が乾いたら終わりだな。
◆◆◆
「時間もあるし、近所挨拶に行こうか?」
「そうだね、済ませちゃおうね」
歩いて15分程の所にある鉱山勤めの人が住むスラム。
前に通った時もそうだが、同じスラムだけど少し裕福そうだ。
まず、同じスラムだけど見た感じ路上生活者が居ない。
鉱山関係で働いているんだから、収入があるから最低限の収入はあるのだから、当たり前と言えば当たり前か。
木で出来た柵を越えて中に入り一番最初の家に訪問した。
「すみませーん」
「はい、どなた?」
服装は俺達と同じでみすぼらしいが、前のスラムにはいない、おっとりとした女性だ。
「この近くの墓地の傍に引っ越してきた、ハンスと申します。こちらか家内のアカネです……これから宜しくお願い致します! あと、何か器とかあります?」
「ありますけど!? なにか?」
「ご家族が何人ですか? これ、前に住んでいたところで好評だったんですよ? よかったらどうぞ」
俺はアイテム収納から鍋を取り出して『残飯シチュー』を見せた。
「あら、美味しそうね! うちは子供二人いるから旦那と併せて4人家族なの?少し多く貰えると助かるわ!」
「はい、それじゃ少し大盛りにしますね」
「助かるわぁ」
結構な量を持ってきていたので少し多めに差し出された器に盛りつけた。
貧しければ貧しい程、こういう挨拶が肝心だ。
爺ちゃん曰く、戦後は醤油や味噌の貸し借りが近所つきあいであり、その結果、近所つきあいが円満だったらしい。
こんな事でも貸しが一つでき、揉めた時に許して貰える。
「それで、この辺りを仕切っていられるお宅はどちら様でしょうか?」
「ああっ、ここの場所はね、皆、鉱山勤めだから上下はないのよ! 皆、同じよ……役職者はまぁ、スラムに住まないからね、一応、ジルさんが責任者ではあるけど此処じゃなくちゃんとした市民街に住んでいるわ」
「ジルさんってあの筋肉質のですか?」
禿げといったら不味いよな。
「あら、ジルさんを知っているなんて鉱山勤めなの?」
「偶に働いています」
「そう? あらいやだ、長話ししちゃったわね、引き留めてごめんなさい!」
「いえ、色々教えてくれてありがとうございました」
同じスラムの住民とは思えない位おっとりしているなぁ。
◆◆◆
「あの家に引っ越してきたのかい?」
このおばさんもスラムの人にしては身なりが良いし上品に見える。
「ええっ」
「墓地の傍に良く引っ越したね……造りはよいんだけど、近くに死体が埋まっていると思うと、誰も住む気になれなくね。買い手がつかず、ずうっと空き家だったんだ……良く思い切ったね」
「余り気にしないので……」
「それに、家の中にお風呂があるだろう? そこの湯が血みたいな茶色い湯が湧いているじゃないかい? 気持ち悪くないかい?」
「温泉が湧いているって良くないんですか?」
日本から来たからこそ、気にならない。
あれは恐らく鉄分とかを含んだお湯だ、24時間何時でも入れるなんて素晴らしいと思うけどな。
「いや、あそこに住んでいた。ターナーカー爺さんも喜んでいたけどさぁ……普通の温泉って透明なのにあの色なんだよ……しかもその温泉の近くには死体が埋まっている……墓地の近くは納得できても、あれが嫌で購入をやめた人も多いんだよね。あんた凄いよ」
俺にとっては良い事だけど、知らない人にとっては嫌なんだろうな。
そう言えば日本にも血みたいな色の温泉もあったような……あれと同じ感覚か…….
此処は合わせて話した方が良いな。
「そうですね。ドアを閉めて使わないから気にしません。 それでターナーカーという人はどんな人だったんですか?」
多分、田中さんじゃないのかな?
「ああっ、異世界人で魔族との戦いでちょっとした手柄をたてたみたいだよ! その時に恋人が死んで、あの墓地に埋葬したそうだ。 余程恋人が好きだったんだろうね。その時の褒賞であの家を建てて生涯奥さんのお墓を弔いながら生活してたそうだよ……あの温泉も褒賞の一部で掘って貰ったみたいだね、死体の傍だからか、あんなお湯だったんだ。そうとう深く掘ったらしいよ……その時の計画ではお湯が出たらこの辺りにも掘ろうなんて話もあったんだけど……あの気持ち悪い湯を見てその時の責任者が中止させたんだよ」
「色々教えて頂き有難うございました」
全部の家を周り、残飯シチューを振舞った。
皆が美味しいと言ってくれるし良かった。
ジルさんは此処には住んでいないようだから、今度会った時に挨拶をすれば良いだろう。
「無事挨拶が終わって良かったね。皆良い人そうで良かったぁ」
「そうだね、これで家に帰ったら洗い物取り込んで、とりあえずゆっくりしようか?」
「うん……だけどハンス、なんか複雑そうな顔しているけど? どうしたの?」
「いや、前に住んでいたターナーカーさんってどんな人かなと思って、あとでお墓を見て来て良い?」
「別に良いけど」
恐らくターナーカーは田中さんだ。
どうしても気になる。
◆◆◆
家に戻ってきた。
アカネは取り込んだ寝具が気に入ったらしく抱えて寝転がっている。
俺はどうしてもターナーカーの事が気になり、お墓を探した。
それはすぐに見つかり、この家の傍にまるで二人仲良く寄り添うように立っているお墓がそうだった。
やはりそうだ……
『田中和也』
俺と同じ日本人だ。
そして……『三上真理子』……嘘だろう享年17歳。
ここに来て割とすぐに亡くなったのか……
他にもあるか……探してみると……『立嶋』『久保田』……幾つもの日本人の墓石を見つける事が出来た。
ただ、問題なのは……その殆どの亡くなっている年齢が20歳以下だった。
恐らく、皆それなりのジョブやスキルを貰っていた筈だ。
『チートを貰った異世界人でも簡単に死ぬ』
此処は思った以上に過酷な世界なのかも知れない。
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