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第64話 亜夢

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結局何も解らないまま、宿に彼女を連れ帰った。

帰りがけに、大き目のタライと薬草とポーション、包帯を買ってきた。

僕たちの宿屋にはお風呂がある。

塔子と綾子は目が見えないから、ここだけは贅沢してしている。

「聖夜様……それは一体!」

「聖夜、どんな子なのかしら?」

「聖夜くん、どんな可愛いい子を買ってきたのかな?」

リリア以外は見えていないから現状が解らない。

「購入してきたのは……まぁ体が不自由な子なんだ。状況はリリアに聞いて欲しい。 僕は彼女の応急処置をするから」

リリアに状況説明を丸投げして僕は浴室に籠った。

「聖夜様!」

「「聖夜(くん)」」

三人の声が聞こえてくるが、気にしていられない。

彼女を抱えたまま浴室に向かった。

あらためて見ると思った以上に酷い。

顔は整っているが、目が抉られそのまま穴があいている。

髪は引き千切られていて頭皮ごと無い部分がある。

そして、鎧から首だけが出ていて、手足が無い。

スカートの様な鎧から覗き込んだ下半身は奴隷商が言ったとおりだった。

本当に死なないんだよな。

流石にこのままじゃ衛生状態が良くないので、買ってきたタライに湯を張り彼女をつけ込んだ。

「ハァハァううっ」

恐らく喉も潰されたのか、声もまともに出ない。

湯舟につけ込むと、みるみる湯の色が茶色に変る。

多分、血と汚れ両方だと思うが……生臭いどぶの様な臭いと錆のような臭いがする。

この鎧をどうにかして脱がさないと、なんの治療も出来ない。

お湯につけこびり付いていた血や垢がほぐれたのか鎧が少しづつ剥がれそうになってきた。

格闘する事約1時間……ようやく鎧を脱がす事に成功したんだけど。

火傷だけじゃない。

両胸は明らかに抉り取られていたし、体は肌が溶けてケロイド状態だった。

何回かお湯を入れ替えお湯が綺麗になった所で、薬草とポーションを入れ暫く漬けこんだ。

『本当に彼女は死なないんだよな?』

『それは約束するわ!彼女の名前は亜夢(あむ)これ以上の話は明日するね』

『おい……』

それだけ話すと来夢とは話せなくなった。

ハァ~しかし、何も解らない。

本当に、この子を引き取って良かったのかな……

しかし、説明に凄く困る。

前衛なら兎も角、彼女を購入した理由をどう話せば良いんだ。

三人は来夢の事を知らないんだからな……

◆◆◆

一通り手当が終わって、今は亜夢は包帯だらけ、まぁミイラ女だ。

「あの、聖夜様、そちらは……」

「手足が無い状態なんでしょう?」

「なんで買ってきたのかな?」

「いや、つい同情して……」

来夢から彼女の事を聞いて無い僕にはそれしか説明ができなかった。

◆◆◆

「ふんふんふぅ~」


女の子の声で目が覚めた。

あの後、どうにか誤魔化して眠りについた。

そこ迄は記憶があるんだけど……また転移でもしたのか?

目を覚ました僕の前に可愛らしい少女? 幼女がエプロンをつけて料理をしている。

誰だ?

黒髪のボブカットに赤いカチューシャ。

背は低く……凄く可愛い。

来夢と同じ、そうアニメや小説から飛び出してきたような容姿だ。

「あっ、お兄ちゃんおはよう~」

「おっおはよう~」

これは夢なのか?

それとも転移してしまったのか?

ただ、この部屋は元の部屋だ。

その証拠に……塔子の服や、綾子の服、リリアの服が転がって……

あっ……ああああっ……

「さ、三人は……」

「あっ、三人? う~んとね……亜夢が食べちゃった。てへっ!」


「食べた……」

「うん、食べちゃった」

「食べた……」

理解がなかなかできなかった。

「うっうっうわぁぁぁぁぁぁぁーー」

理解した瞬間、僕は叫ぶ事しか出来なかった。


◆◆◆

「お兄ちゃん…….」

「ううん……」

「お兄ちゃんってば!」

「うわぁぁぁぁーーっ」

あれは夢では無かったのか……

「僕をたべるのか……」

「お兄ちゃんを食べるわけ無いじゃん? 大好きなのに……それに食べるという意味をお兄ちゃん間違えているよ!」

「どう言う事?」

「そうだね……それじゃ」

嘘だろう……

亜夢の姿が塔子に変った。

「聖夜、おはよう……あれ、私なんで目が見えているの!」

そのまま、今度は綾子に変った。

「ふぁ~あ、あっ聖夜くんおはよう!」

今度は、リリアに変った。

「聖夜様、あれ私寝過ごしちゃいましたか?」

三人に変ったあと再び亜夢に変った。

「どう言う事……」

「お兄ちゃん! 私は亜夢……お姉ちゃんたちを食べたと言ったけど、それは表現で……お姉ちゃんたちは亜夢になったの」

「亜夢になった?」

頭の中に来夢の声が聞こえてきた。

『亜夢の能力は『融合捕食』という能力なの……女性限定で何でも自分の中に取り込んでしまうのよ! だけど、これは死んじゃうのではなく亜夢の中で生きているの……あはははっ1人ハーレム状態なのかな』

『それって……』

『理屈は解らないわ私よりかなり古い時代の魔族かどうかも解らない存在だからね。ただ、亜夢は人間側なら勇者。魔族側なら魔王様まで融合したらしいから、両方の敵みたいな物よ。だけど取り込んだ相手の力を使えるんだから凄いよね』


『亜夢にも聞こえているよ! お兄ちゃん! へぇ~心の中に住んでいるんだ! これは融合できないかな』

『当たり前だわ! もし、私が生身なら、絶対に亜夢になんか関わりたく無いもの』

『くすっ、そうだよね』

『まぁ良いわ! これでわかったでしょう。亜夢を手に入れるという事は亜夢の中にいる複数の戦力を手に入れると言う事なのよ……凄い戦力でしょう?』

確かにそうだが……3人はどうするんだよ。

『三人は……』

『亜夢の中で生きているから安心して良いよ!お兄ちゃん! 日替わりで変わってあげても良いし、なんなら同時にこうやって出してあげても……』

『ちょっと、待って……うわぁーー』

服を脱いだ亜夢の体に塔子と綾子リリアの顔が生えた。

「聖夜、私取り込まれたちゃったみたい」

「聖夜くん、私こんなになっちゃった」

「聖夜様……私」

「三人ともそれで大丈夫なの?」

多分、どうしてあげる事も出来ないけど……

「亜夢って死なないし、なかなか住み心地良いわ」

「うんうん、なかなか住み心地が良いのよ」

「まぁ、住み心地は良いですね」

目の前にいるのは亜夢の顔に胸とお腹に顔をみっつくっつけた、まぁモンスターみたいだけど、何故か怖いと感じない。

「それなら良かった」

「それは、そうですけど、その私はこの状態ですので、その夜の相手は私をご指名するか、亜夢の相手をしてあげて下さい」

「うんうん、私を指名するか亜夢ちゃんで」

「私を指名して頂くか亜夢ちゃんで良いです」

「どう言う事」

「う~んとね! 亜夢とは快感を共有しているから、亜夢が気持ち良いと皆も気持ち良いの」

「そう……それで良いんだ」

「「「うん」」」

本当にこれで大丈夫なのかな。

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