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第2話 電話にて
しおりを挟むなにか叫んでいる、正一達をあとに俺は家に帰ってきた。
多分、明日から、ごちゃごちゃと大変な事になる。
めげていても仕方が無い。
すぐに2か所、電話しないと成らない。
まずは東条家からだ……
電話を掛けるとすぐに芽瑠の母親である、紗代さんが出た。
『あら!? 和也君じゃないの? 芽瑠なら今、居ないわよ』
『実は……』
気が引ける。
仕事の付き合いもあり、もう半分家族同様の付き合いをしている。
それなのに、この報告をしないといけない。
だが、報告しないと成らない。
俺は正一と芽瑠の不貞について話をした。
『それ本当の事なの?』
『残念ながら、当事者2人から聞いた話です。俺にマウントをとって来たから、皆、事の重大さが解らないのだと思います』
『そうね……これは重大な話だわ。それで和也くんは……その芽瑠の不貞は許して貰えるのかしら……』
『すみません……』
『まぁ、そうよね……私はお父さんが帰ってきたら話をするわ……古馬家への報告はどうする? 』
『俺の方でします』
『解ったわ、お父さんと話します、この度は芽瑠がご迷惑かけてすみませんでした』
『別にお義母さんが悪い訳じゃないですから……』
俺には家族がいないけど、家族ぐるみの付き合いが始まっていたのに……
『ううっ……本当にゴメンなさいね……バカ娘が』
『気にしないで下さい』
そう言って俺は受話器を置いた。
◆◆◆
はぁ~今度は古馬家か……
今回の事は権蔵さんに話さないと駄目だ。
どう転ぶか解らないが、今回の件はきっと俺にプラスになる。
『すみません、今泉ですが、権蔵さんは居ますか?』
『今泉様、ご主人様はいま、お風呂でございます。暫くしてから……』
『今回の電話は、正一が村の掟を破った事の告発ですよ! 流石に殺したりしませんが……昔なら殺されても仕方が無い事をしたんだ! 悪いがすぐに電話を替わって貰えませんかね!』
『お坊ちゃまが……解りました! すぐにご主人様に代わります』
多分、急いで風呂を出たのかも知れない。
『どうした、今泉の、息子の正一がなにかしたんか? 弁償や慰謝料なら払ってやるから、請求してくれ』
『権蔵さん……今回ばかりはそれじゃ済ませられない』
『なにか解らないが、儂の顔を立てて許してくれんか?』
『この電話が俺の譲歩ですよ……正一が今回やったのは姦淫だから』
『姦淫……相手は誰じゃ』
『僕の婚約者、東条芽瑠ですよ! これがお金で済む問題ですかね! 今でこそ、薄くなりましたが本来の掟ならこれはどうなるんでしたか?』
『今じゃ無くなったが……昔は』
『ええっ、俺が正一を鉈でぶん殴って殺しても良い……そういう話ですよね……芽瑠はおぼこの綺麗な体での婚約ですからね、それを汚した挙句、俺に自慢げに話してきたんだ。この村の権力者としてどうけじめを取る』
明らかに動揺している。
『まさか、正一を殺せ……そういうのか? それは……』
『幾ら掟があるとは言え、今は昔と違う……そこ迄はしなくて良いですよ』
『流石に、村からの追放はしないとならんかな……』
『これは権蔵さんだけの話じゃ終わらない。村の重鎮たちを集めて話し合いが必要だと思います。 正一さんは古馬家の跡取り息子、悪いようにしたくはない。ただ、こちらも此処迄恥をかかされたのですから、そちらにも多少は恥をかいて貰わないと納得はいかない』
『ああっ、そうじゃな……それで正一が許されるなら……』
『まだ許しちゃいない』
『ああっ、そうか……すぐに話し合いの場を設ける……本当にすまなんだ』
あの権蔵が俺に頭を下げた。
これなら……
まだだ、まだ考えちゃいけない。
『取り敢えず謝罪は受け取ったけど、肝心の正一から謝って貰ってない、まずは話し合いからです』
『そうじゃな』
それから2時間もしないうちに夜だと言うのに話し合いの場が持たれた。
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