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第3話 話し合い
しおりを挟むそれから、2時間もしないうちに電話が掛かってきた。
自分の息子の運命がかかっているから気が気じゃないんだろうな。
『すぐに古馬本家に来て欲しい』
そういう話だった。
古馬本家につくと、もう村の重鎮たちが集まっていて怒鳴りあう者や泣いている者もいた。
その真ん中に正一と芽瑠が居た。
そして、それを取り巻くように村の重鎮がいる。
よく見ると正一は顔を腫らしていた。
そして芽瑠は下着姿で転がされ泣いていた。
俺を見るなり芽瑠の母親である紗代さんが額を擦りつけ謝ってきた。
横には東条海人、芽瑠の父親もいる。
「本当にごめんなさい……電話で聞いただけでは信じられなくて、娘の芽瑠を私が検査したのよ、そしたら本当に経験済みだったわ。しかも、最初は貴方が相手だと嘘迄ついて正一くんを庇っていたのよ」
「それで良く勘違いしなかったですね」
「ああっ、これでも親子だ、様子を見れば解る。目が泳いでいたから、問い詰めたらあっさり吐いた」
「そうですか、こうなってしまった事は凄く残念です。芽瑠さんを娶り、本当の親子になれる。そう思っていたのに……流石にそれじゃ結婚は出来ません」
「ああっ、本当にそうだ。婚約は破棄で構わない。償いとしてそれなりの代償は払わせて貰う。それでどうにか許して貰えないか?」
「それで、婚約破棄したあと芽瑠はどうするんですか?」
「「……」」
大体解る。
娘を傷物にされた。
その責任を正一に取らせる気だろう。
「まさかと思いますが正一の所に嫁に出す。なんて言いませんよね?」
「いや、あの……許して貰えないかしら?」
「これだけ、話しが近隣に伝わったら、芽瑠の貰い手は君が拒むなら正一くんしか居ない」
「ですが、それをしたら、俺は嫁を寝取られた馬鹿な男で、正一や芽瑠の思い通りになってしまう」
「ううっ、なら芽瑠を君が貰ってくれ……一生かけて償わせるから」
「他の男に結婚前に体を許すような女要りません」
「ううっ、そうよね」
「まぁ、良いです。本来なら、死をもって償う姦淫ですが、今回は友達のよしみで手を1本ずつ切り落とす事で許しましょう。芽瑠と正一の利き腕じゃない方で構わない」
「待ってくれぬか……どうか儂に免じてどうか、正一を許してくれないか」
「頼む……友達じゃないか……許してくれ」
「それ位で許して貰えるなら良い方じゃ。権蔵さんあきらめぇ」
「正一は悪い事したんだ。本来殺されても仕方ないのを腕1本、これで手打ちなら良い話だ」
「お金なら幾らでも払う、不貞をしたけど、娘なのよ……どうにか許してお願いよ」
「なぁ和也、俺此処迄酷い事をしたなんて思わなかったんだ……許してくれ……なぁ友達だろう」
「頼む、儂も詫びる……だから許して欲しい……お金でも家宝でもなんでも渡すから、どうか息子の五体は勘弁してくれ」
ここら辺が潮時だな。
「正一の責任は権蔵さんにあって責任はとって貰えるんですよね?そしてなんでも渡すんですよね」
「ああっ約束する」
「それじゃ、美沙さんを俺に下さい!」
「み、美沙じゃと……美沙とは儂の嫁の美沙の事か、お前、何を言っているんじゃ」
「今回の件の一番の問題は『僕が正一に婚約者を奪われた事』です。正一に婚約者が居れば別ですが、現状いません。今の話では芽瑠さんは正一が責任を取って嫁にする話ですよね? 権蔵さんは責任を取ると言った。それなら、貴方の嫁である美沙さんを差し出せば良い。そうすれば、古馬本家も恥を掻いたって事でお相子です」
「東条が駄目なら、儂が南条でも北条でも縁談を纏めてやる。それでどうだ……」
「本来なら、その道もありましたが、その二つの家の令嬢も正一と肉体関係にあります」
「なっ……正一貴様ぁぁぁぁーー」
「すまない、親父……」
「という訳で、正一が手を出していない同い年の娘は近隣にいません」
「正一と関係があったからというなら美沙は儂と関係があるし、随分年上だ」
「親友と関係が無いだけマシです」
「なぁ、権蔵さん。ここは今泉の話で手を打ったらどうだ」
「村の掟で考えれば、正一が寝取ったのは未通の生娘だ。本来はこれじゃ釣り合わないが、それで手を打ってくれるんじゃ、ありがたく思った方が良い」
「あの……その条件なら、正一くんと芽瑠の婚姻も許して貰えるのよね……私からも権蔵さん、お願いします」
「娘と息子の為にお願いします」
「ええぃ、解ったわい、美沙は連れていくがええっ! 離婚届けは明日にでも出してやる。それで良いか……良いんだよな」
「後は今回の事が遺恨にならなければ、それで良いです」
「儂は恨まん、正一に芽瑠はどうじゃ」
「殺されても仕方が無い事をしたんじゃ……恨まないよ、本当にすまなかったな」
「私も……和也の気持ちを考えずに酷い事してごめん」
「これでよいな、今泉……」
「はい」
良かった。
これで美沙姉と結ばれる事が出来る。
夢のようだ。
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