親友に恋人を奪われた俺は、姉の様に思っていた親友の父親の後妻を貰う事にしました。傷ついた二人の恋愛物語

石のやっさん

文字の大きさ
59 / 65

第59話 権蔵SIDE 豪農の古馬

しおりを挟む

「遺産分割をしなおせだと! どう言う意味だ。権次郎、権三郎」

急に弟二人が我が家に来るという連絡があった。

てっきり酒でも飲んで近況でも話すのかと思っていたら、これだ。

「『古馬の家は豪農だ』だから割る事はできねーから長男の総どり、そう決まっているが、なんだおめーは」

「兄貴、お前は本当に碌でもねーな」

「権次郎、権三郎、なにが言いたいんだ? 儂は古馬本家の長として今迄、しっかりやってきた」

「だが、息子はどうだ。 農学部でも畜産でもねぇ学部に進学したそうじゃねーか……経済学部だな。儂の息子は農業高校を出てしっかり家業の農業をしているのに……なんだ、正一は大学卒業後もプラプラとして女遊びして村の恥じさらしじゃねーか」

「うちだってそうだ、大学は行かせたが、しっかり農学部に行ってから農協で働いて今はうちの畑を耕して生活しているだよ」

くっ……

「正一だってこれからは儂が……」

「『古馬の家系は豪農』それを割らない為に儂らは財産を諦めただ。 だが、農業をしっかりしないなら意味はない。儂らはしっかりと跡取りと一緒に農業をしている。悪いが全部こっちに寄越せ」

「んだな……そこ迄言う気はないが、現状ならせめて三分割が当たり前だ。言いたくないが兄貴の所が一番、しっかりしてねーぞ! 農業舐めてんのか? あん!」

「儂だってしっかりやっておる」

「兄貴の手は農家の手じゃねー。 小作人雇って自分は指示ばかりしているだけだ、儂や権三郎の手みてみぃ……何時も土だらけでゴツゴツしているだろう?」

「んだな、兄貴は農家の手をしてねー」

「だが、儂は農家は兎も角、古馬本家としてやってきた」

「親子二代で馬鹿やって、今泉を虐めて楽しかっただか?」

「あんな、村に貢献している若者を傷つけて、兄貴よぉ。本当に馬鹿かよ! 泉屋はこの村の農作物を大量に買ってくれるしよ、農家を継げない次男や三男を受け入れてくれている。村の為に凄く貢献してくれているだ。お前の所の馬鹿と違ってな」

「権次郎、権三郎、貴様ぁぁぁーー 正一を……家の息子を馬鹿にするのかぁ」

「ふん、古馬本家ももう終わりだ、古馬家が『よそ者』と呼ばないのは近隣の村が精いっぱい……そこから先から嫁を娶ったらそれはよそ者だ」

「古馬の血によそ者が加わるなら、血が薄まる。 この村には結婚してない若い女性は殆どいない……この間までギリギリ30代の未亡人の満里奈さんがいたが、再婚して村を出ていっただな、残るは、42歳の出戻りの美津子さんがいるだけだな……」

「……」

「兄貴、もし、本当に古馬本家を守るなら、正一にしっかり、言い聞かせて、農家の仕事をやらせて、美津子さんと婚姻を結ぶことだな……いそがねば、美津子さんだって取られるかもしんねーぞ」

「うんだな、それが出来るなら、家を守る為と納得するが、出来ないなら、財産の分割のし直しだぁ」

「幾らなんでもそれは無いだろう……」

「いいや、弁護士の先生にも話をしたが、そう言った事情ならまた協議が出来るって言っていただ」

「儂たちは『古馬本家』を守るために生きてきた。 それが壊れるなら、ちゃんと分割して貰わなくちゃだな……良いか、兄貴、これは儂や権次郎の情けじゃ、問答無用で弁護士入れてもよかったんだ……だが『古馬の血をよそ者で薄めない』『しっかりと豪農らしく農家を正一にやらせる』その二つをすれば、今迄通りで良い。出来ないなら『財産を三等分』にしろ、当たり前の事じゃ、少なくとも権次郎も儂も家族全員で農業に真剣に取り組んでおる。『豪農の古馬』の看板を汚すでないわ……違うかの」

「ああっ、その通りだ……少し時間をくれないか」

「少し位は良いが、美津子さんももう42歳だ、早く纏めねーと跡継ぎが絶望だ……そうしたら本当に『本家』の血筋がなくなるだよ。そうしたら儂らの孫が本家になるだよ」

「ああっ」

「儂らは兄貴が憎くていっているわけじゃねーよ。 ここらで真剣に『古馬本家』を守って欲しい。そう思っているだけだ」

「んだ」

「すまない……」

これは不味い事になった。

本当に……不味い。


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。 聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。 暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!? 一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

襲ってきた王太子と、私を売った婚約者を殴ったら、不敬罪で国外追放されました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...