【石のやっさん旧作】卑怯道!!僕は弱いんです。いじめないで下さい。だけどそれ以上いじめるなら...殺すよ。外伝

石のやっさん

文字の大きさ
8 / 44

省吾篇 下準備

しおりを挟む
大河武士は悪ぶれずに今日も学校へ来ていた。
それでこそ、大河武士だ、僕は拍手を送りたかった。
大河は僕を見つけるとニヤつきながら近づいてきた。
「省吾、てめぇ昨日はよくも邪魔してくれたな?まだ気が治まらねぇ」
僕は周りに聞こえないように大河に囁いた。
(女子供しか怖くて相手出来ない強姦未遂野郎が何をするって言うんですか?)
「てめぇふざけやがって、いい度胸だ殺してやるよ」
(殺せるの、僕が? 笑ってしまいますよ、はははは)
大河は僕に殴り掛かってきた。僕はそれを除けもせず受けた。
転んだ僕を大河は何回も蹴ってきた。
「どうだ、思い知ったか?」
(全然、お前みたいな弱い奴に蹴られたって痛くも痒くもないね、ゴミ野郎)
大河の暴力は続く。結局は余りに酷いので教師が止めに入ってようやくこの暴力は止まった。

保健室にて治療を受けると僕は痛い体を引き釣りながら授業を受けた。
周りの目は気の毒そうな目に変わっていた。
流石に、ここまでの暴力を受けている僕に更なる虐めをする生徒はいなかった。
一部の生徒からは「大丈夫か?」そんな声も掛けてくれる者もいる。
まだ、まだ僕は虐め続けられなければならない、この痛みこそが大河を倒す手段だ。

怪我した状態で僕はわざと大河の前を横切った。
「てめぇ、ふざけんなよ」
(僕はまだ生きてますけど?殺す殺すって口先ばかり本当に弱いな。これじゃ小学生だって殺せないんじゃない)
周りに聞こえないように挑発した。
「貴様ぁーぜっていに殺してやるよ」
(殺せもしない癖に)
周りに聞こえないように挑発する。そして今回も教師が数人きて大河を止めた。
「黒木くんも職員室にきたまえ」
「行きませんよ。どうせ大河の肩を持つだけでしょう? 僕を殺す事に手を貸している人と何て話したくありません」
そのまま大きく声を荒げて僕は学校を後にした。

僕はその足でコンビニでプリンを2個買って、病院にお見舞いに行く。
妹の祥子は痛々しい顔で笑顔を作りながら出迎えてくれた。
「お兄ちゃん、ボロボロだね。まさか」
「うん、大丈夫だよ。大河の事なら心配しないで良いよ。祥子が退院するまでには終わるから」
「何かするの?」
「何もしないよ。だけど、退院してすぐに祥子を転校させるように母さんに言っておいたから大丈夫だよ」
「お兄ちゃんは?」
「少し遅れて転校するかな? 同じ学校になるかどうかは解らないけどさぁ」
「まぁ、お兄ちゃんが一緒ならいいや」
「そう」
「うん」
駄目だ、痛々しくて見てられない。
見ていると涙が出てしまう。
「お兄ちゃん、大丈夫なの? その怪我、痛いんじゃないの?」
「全然、そんな事よりお前の方が痛々しいよ」
「そりゃ痛いよ、骨折しているんだからさ、怪我も後が残るし」
「祥子は可愛いからそれでも大丈夫だよ?」
「そんなこと無いよ、この怪我じゃあ多分結婚も出来ないかもしれないよ」
「祥子ならそんなこと無いって」
「じゃぁもし私が結婚出来なかったらずうっとお兄ちゃんも結婚しないで傍にいてくれるかな?」
「いいよ、可愛い妹の頼みなら何だってきくさ」
「そう、それなら逆に怪我して良かったかも知れないな」
「馬鹿な事言っていないでプリンを食べたら休んで。」
「寝るまでお兄ちゃん傍に居てくれる?」
「あぁ居るとも」

(祥子じゃぁな幸せに)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...