【石のやっさん旧作】卑怯道!!僕は弱いんです。いじめないで下さい。だけどそれ以上いじめるなら...殺すよ。外伝

石のやっさん

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祥子篇 大河涼子

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私の人生はあの事件を機に総てが変わってしまったわ。
大河家で育った私はいわゆるお嬢様という生活をしていた。
大きな家に住んで、身の回りの世話はお手伝いさんが全部してくれていた。
学生時代は車で送り迎えして貰っていた。
社会にでて働きにはでたのだけど勤めている会社はお父様の系列の会社だった。
だから、上司すら私に気を使っていた。 
まぁ自社の社長のその上の会社の社長の娘じゃ気を使うわよね。
欲しい物は何でも買って貰えたし、やりたい事の大半はお父様にやらせて頂いていたわね。

だけど、弟の武士は何故か馬鹿な事ばかりしていた。
普通に頑張っていれば何でも手に入るのに、暴力事件ばかり起こして警察のお世話に良くなっていた。
まぁお父さんが叔父さんに話しをすれば大概の事は無かった事にして貰える。
被害者にもお父様がしっかり慰謝料を払って示談にするから問題はなかったのだけど。
ただ、このアホな弟はその状況に関わらず、それが自分の力だと思いこんでいたみたいだった。
まぁ私には関係ない、そう思っていた。

それに私はもう婚約していてもうじきこの家を出て行くのだから弟なんて関係ない。
そう思っていた。
婚約者の誠二さんもお父様と同じ実業家だったし、凄くウマが遭うので結婚生活が楽しみだった。
これからも楽しい人生が待っているそう思っていた。

だけど、違った。馬鹿な弟が人殺しをしてしまった。
その日を境に私の人生は変わってしまった。
心の底から愛していた誠二さんからは婚約破棄をされた。
大河のお嬢様と言われていた私は一転して犯罪者の姉と呼ばれるようになった。
だが、少しだけ良かったのは会社を既に退社して,婚約準備中だったので惨めな姿をさらす必要がなかった事位かな。
馬鹿な弟は殺人の決定的な証拠があるのに否定ばかりした。
その結果、遺族から恨まれ、世間からもどんどん嫌われていった。
せめて罪を認めて素直に謝罪すればここまで大河の家は悲惨な事にならなかったかも知れない。

結局、父は罪悪感からその財産の全てを手放した。
そのうちの半分を遺族へ、残り半分の半分を他の被害者に、そして残り1/4は私の為に残してくれた。
正直いって1/4でも物凄い大金だった。10億円の金額なんだから。
だけど、税金で持っていかれて半額の5億円が私の手にした全財産。
だけど、これからは私1人で生きていかなくてはいけない。
そう考えたら、この5億円を無くしてしまったら人生が終わる。
だから、5億円は銀行に預けて仕事を探しにでた。
惨めだった。何処の面接を受けても不合格。
当たり前だわ、レイプ殺人者しかも太々しい奴の姉、大河の苗字は有名すぎるもの。
誰も相手になんかしてくれないわ。
今になってみればお父様がこのお金を私に残してくれたのは解るわ。
1人で生きていけない私に生きる為のお金を残してくれたのね。

貰ったお金で家を買って引き籠って暮らそうとも思ったけど、辞めた。
今の住所がインターネットに晒されていたから、下手に家を購入したら逃げられなくなる。
そう考えたら、何かあったら引っ越しできる賃貸が理想だ。そう思いアパートを借りた。
引き籠り生活をしていたのに、やはり住所は特定されていた。また、変なビラがポストに投函されていた。もう逃げた方が良いかも知れない。地元を離れて東京にでも行こうかしら。
そうしたら、もう私なんて知らない人しかいないから安全かも知れない。
そう考え引っ越し先を決めようと考えていた頃。彼女が訪ねてきた。
最初、居留守を使おうと思ったけど、それは出来なかった。
実は、彼女のお兄さんの葬儀の会場に父と一緒に行った事がある。
入ろうとしたが、父も私も入る事は出来なかった。
涙、流している家族の前に立つことが怖くて父も私も逃げてしまった。
特に彼女は狂ったように、お兄ちゃんと叫んでいた。
絶対に彼女と話さなければいけない。そして謝らなければいけない。
部屋に通して暫くは普通の会話をした。
正直、泣かれるのか、それとも怒鳴られるのか、そう思っていたので冷静な彼女の対応に驚いた。
そして話は進み謝罪の話になった。

「兄への謝罪文を書いてくれませんか?」
「兄への謝罪文? もう慰謝料も払ったし、弟は刑務所に入って死刑囚終わった事だわ」

正直、口でなら幾らでも謝ろうと思った。だけど書面にするのは正直怖かった。
後から書面を使われて何かされたらと思い、つい反論をしてしまった。


「えぇ確かに、だけど大河家の人間は殺された兄に誰も謝ってくれてません」
「父は謝ったと思うのだけど違う」
「いえっ 両親には謝っていましたが兄本人には誰も謝っていません。貴方の弟さんは未だにあれだけ証拠があるのに、無実だばっかり、死んだのは兄なんですよ」

言われて見ればそうだ。だれも省吾さんには謝っていない。言われても仕方がない事だ。

「そう言われればそうかも知れないわ、私もあの事件で婚約者も何もかも全て失ったから謝ってないわ」
「だから、兄に謝って欲しいのです」
「わかったわ、どうすれば良いの? お墓参りでもすれば良いのかしら?」

確かに私は自分の事ばかりで頭が一杯でちゃんと謝罪してなかったわ。
弟がした事とは言え謝るのが筋だ。

「そうですね、兄への謝罪文を書いて貰うのはどうですか?」
「謝罪文? そんな物どうするの?」

そう言えば最初から彼女は謝罪文と言っていたわね。
だけど、今更そんな事してどうするのかしら。

「兄のお墓に入れて貰おうかと」
「それで気が済むなら書くわよ」
「それじゃお願い致します」

そうか、彼女は大好きなお兄ちゃんへ私達の謝罪を届けたかったんだ。
なら書くしかないな。


祥子は謝罪文の確認をした。
「これで満足かしら」
「そうですね」

これで満足して貰えたのかな。


祥子は涼子の後ろに回ると首にロープを掛けるとそのまま締めた。
「なっ何で」
「だって貴方も婚約者も生きているじゃないですか、、、本当に謝るつもりなら死ぬべきです」
「何でよ、私は何も、何もして、、ゲヘゴホ」

ちょっと待って、私は何もして無いじゃない。何で殺されなければいけないのよ。

「貴方は悪くないわ。だけど大河武士の身内でしょう?私は大好きなお兄ちゃん殺されたんだよ! 同じ思いを武士や幸三に思い知らせるには身内を殺さなけりゃ解らないでしょう?」
「ゴホゴホ、だけど、、、死にたく」

弟がした事で私は死にたくない。私は何もしてないのよ。

「死にたくないって言うの? だけど駄目」
「そう、、、、ゴホゴホ、、解ったわ」

そうか、彼女は私達を殺したいんだ。彼女にとっての大切な人は多分、兄だったのだろう。
武士には恋人は居ないから。大切な人というなら私になるのかも知れない。
だけど、うちは貴方達と違って姉弟愛なんて無いんだけどな。
多分、私が死んでも武士は貴方の様に悲しそうな顔をしないわ。
貴方にとってお兄さんは凄く大切な人だったのね、多分私にとっての誠二さん以上に、、、
ごめんね、そんな大切な人を奪っちゃって、私があの馬鹿をしっかりと教育していれば、、、
悪い事するたびに殴りつけて教えていれば、貴方にそんな顔させなくて良かったのに。
いいよ私を殺して。


涼子は抵抗をやめた。暫くすると体から力が抜け息をしなくなった。
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