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聖来篇 王女と王の悪だくみ
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傷か報告を聞き、国王リュウト四世は動揺していた。
自身が差し向けた騎士が2人とも殺された。
しかもその傷から考えられる限りどの騎士も一撃のもとに殺されている。
2人の騎士は上級騎士だ。
しかも、2人とも中堅どころのベテランの騎士だ。
少なくともその辺の者になど遅れを取る事はない。
例え相手が勇者であっても初手であるなら勝ちを拾う事はできるだろう。
だが、そんな騎士があっさりと殺されてしまった。
もしや、彼奴は暗殺者だったのか?
そう考え、勇者や聖女に聞いたが、ごく普通の平凡な人間だった。
そうとしか言わなかった。
その言葉には嘘は無いだろう。
これ以上考えても仕方ない。
上級騎士以上の素質のある人間を手放してしまったのは惜しいが、まぁそれだけの事だ。
「お父様、冒険者ギルドからお手紙がきています。」
「ギルドからの手紙か珍しい」
だが、国王のリュウト四世はその手紙を読むと更に動揺する事になった。
「70人もの冒険者を殺しただと!」
「お父様、そんな魔族がもう攻めてきたのですか?」
「違う、これを見て見ろ」
王城からの身分証明を貰い冒険者登録をした者が片っ端から冒険者を殺している。
その数はたった1日で70人にも及ぶ。
法的には相手が強盗行為を働いていたので問題は無いが、一体どういった理由であんな狂犬の様な男を紹介したのか説明が欲しい。
こんな内容だった。
「身分証明を発行した者はここ暫くは1名しかいませんわ」
「多分、聖来だったか、勇者と一緒に召喚された奴で間違いないだろう」
「そんな、、確かあの者は騎士に殺させたはずなのでは?」
「その事なのだが、騎士は返り討ちになって殺されていた。」
「そんなバカな、勇者であっても召喚直後じゃ騎士に何て勝てないハズ」
多分、王城に残っている勇者や聖女であってもあっさり殺されるだろう。
「だが、これは事実だ。騎士を殺し、そして冒険者70名を殺した。」
「それで、お父様はどうするつもりなのですか?」
「騎士2名については魔物に襲われた事にして恩給でも出すしかないな、冒険者殺しについては法に触れていない以上は黙認するしかない。」
「そうですわね」
「あぁだが、王城の紹介状を持っている以上ギルドに誰か人を送って様子を見なくてはならない」
「だったら、第三王女のマリアに行かせては如何かしら?」
「あれなら、王女が見に行ったと体面が繕えるな、そして失ってしまっても問題がない」
「そうですわ、第一王の姉さまは隣国に嫁がなければなりません。第二王女の私はこの国の後をついで婿を取り、国を治めなければならないわ。ですが、マリアは妾に産ませた子。王位継承もないし、要らない子ですわ」
「そこまで言うでない、マリアーナ、確かにアイツはお前達のように王族の象徴の金髪ではない、だが利用価値はあるのだ。一応は儂の血を引いているのだからな、、それに汚れ仕事をしてくれる者は彼奴しかいないではないか?」
「そうですわね、だったら、勇者、聖女を私の直轄にして、そうですわねあの聖来という者はマリアの下につく者としては如何でしょうか?」
「それに何かメリットはあるのか?」
「聖来という男が何かしたら、それは全部マリアのせいにすれば良いのです。そうすれば、マリア以外の誰も責任をおわなくてすみますわ。」
「成るほど」
「そして実際のマリアの状況を知らない民衆には、第三王女の下についているのですから正当な扱いをしている、そう思えるでしょう」
「うむ、良い案じゃ、そうしよう、早速、マリアをギルドに行かせなければな」
「はい」
「おい、誰かマリアを呼んできてくれ」
2人は悪そうな笑顔を浮かべていた。
自身が差し向けた騎士が2人とも殺された。
しかもその傷から考えられる限りどの騎士も一撃のもとに殺されている。
2人の騎士は上級騎士だ。
しかも、2人とも中堅どころのベテランの騎士だ。
少なくともその辺の者になど遅れを取る事はない。
例え相手が勇者であっても初手であるなら勝ちを拾う事はできるだろう。
だが、そんな騎士があっさりと殺されてしまった。
もしや、彼奴は暗殺者だったのか?
そう考え、勇者や聖女に聞いたが、ごく普通の平凡な人間だった。
そうとしか言わなかった。
その言葉には嘘は無いだろう。
これ以上考えても仕方ない。
上級騎士以上の素質のある人間を手放してしまったのは惜しいが、まぁそれだけの事だ。
「お父様、冒険者ギルドからお手紙がきています。」
「ギルドからの手紙か珍しい」
だが、国王のリュウト四世はその手紙を読むと更に動揺する事になった。
「70人もの冒険者を殺しただと!」
「お父様、そんな魔族がもう攻めてきたのですか?」
「違う、これを見て見ろ」
王城からの身分証明を貰い冒険者登録をした者が片っ端から冒険者を殺している。
その数はたった1日で70人にも及ぶ。
法的には相手が強盗行為を働いていたので問題は無いが、一体どういった理由であんな狂犬の様な男を紹介したのか説明が欲しい。
こんな内容だった。
「身分証明を発行した者はここ暫くは1名しかいませんわ」
「多分、聖来だったか、勇者と一緒に召喚された奴で間違いないだろう」
「そんな、、確かあの者は騎士に殺させたはずなのでは?」
「その事なのだが、騎士は返り討ちになって殺されていた。」
「そんなバカな、勇者であっても召喚直後じゃ騎士に何て勝てないハズ」
多分、王城に残っている勇者や聖女であってもあっさり殺されるだろう。
「だが、これは事実だ。騎士を殺し、そして冒険者70名を殺した。」
「それで、お父様はどうするつもりなのですか?」
「騎士2名については魔物に襲われた事にして恩給でも出すしかないな、冒険者殺しについては法に触れていない以上は黙認するしかない。」
「そうですわね」
「あぁだが、王城の紹介状を持っている以上ギルドに誰か人を送って様子を見なくてはならない」
「だったら、第三王女のマリアに行かせては如何かしら?」
「あれなら、王女が見に行ったと体面が繕えるな、そして失ってしまっても問題がない」
「そうですわ、第一王の姉さまは隣国に嫁がなければなりません。第二王女の私はこの国の後をついで婿を取り、国を治めなければならないわ。ですが、マリアは妾に産ませた子。王位継承もないし、要らない子ですわ」
「そこまで言うでない、マリアーナ、確かにアイツはお前達のように王族の象徴の金髪ではない、だが利用価値はあるのだ。一応は儂の血を引いているのだからな、、それに汚れ仕事をしてくれる者は彼奴しかいないではないか?」
「そうですわね、だったら、勇者、聖女を私の直轄にして、そうですわねあの聖来という者はマリアの下につく者としては如何でしょうか?」
「それに何かメリットはあるのか?」
「聖来という男が何かしたら、それは全部マリアのせいにすれば良いのです。そうすれば、マリア以外の誰も責任をおわなくてすみますわ。」
「成るほど」
「そして実際のマリアの状況を知らない民衆には、第三王女の下についているのですから正当な扱いをしている、そう思えるでしょう」
「うむ、良い案じゃ、そうしよう、早速、マリアをギルドに行かせなければな」
「はい」
「おい、誰かマリアを呼んできてくれ」
2人は悪そうな笑顔を浮かべていた。
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