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勇者に恋人を寝取られ追放されたが、別に良い!何て言えない「誰を愛そうがどんなに汚れようがかまわない! 最後に俺の横にいてくれ!」
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パーティーリーダーであり勇者のジョブを持つリヒトが告げる。
「悪いが今日でクビだ」
「そうか、まぁ良いや」
リヒトとは幼なじみだ。
「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来た」俺がそう思っていると思っているのか?
そんな風に思っているのは、お前達だけだぜ。
剣聖のケイト
聖女のソニア
魔法使いのリタ
五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれていた。
やや中二病な名前だがまぁリヒトは勇者だから可笑しくないな..俺は嫌いだけどね。
確かに最近の俺は取り残されていた。
ジョブの差で成長した四人に能力が追いついていないのは事実だな仕方ない。
だから、別にクビになっても良いと思っていた。
だってそうだろう? 腐ってもSランクパーティーのメンバーなんだぜ、俺も。
此処を出れば、幾らでも次がある。
こいつ等が凄いだけで他のSランクパーティーならまだ通用するし、Aランクまで落とせば恐らく女のパーティーなら体を使っても取りに来るぜ。
その位の価値はあるんだよ。
良く、仲間から追い出されて泣きそうな奴見るけど...自分の価値をちゃんと見ろよ。
高ランクなら...他に行けば良いだけだなんだぜ...
この間もAランクパーティー追放された盾使い見かけて...トボトボ歩いていたからDランクの女パーティー紹介してやったんだわ。
まぁ地味な女が多くて俺の好みじゃ無いからな...
1週間後には「ハーレムをありがとう」ってスゲー感謝されたぞ。
そりゃそうだろう...ゴブリン狩ってようやく生活している女たちが...彼奴が入った事でオーガが狩れるんだぜ。
日給4人で2万の貧乏人が日給5人で80万に早変わり...(解りやすく日本円にしています)
必死で繋ぎ止める...当たり前なんじゃないかな?
「ついて来れないのは分かっているだろケイン」
「そうだな、勇者として大きな舞台に立つんだろう...俺も一度で良い、そこに連れていって貰えないか?」
まぁ形上は辞めたくない振りをするけどな...
此奴の狙いは解っている、リタが欲しいんだろう? だから俺を追放したいんだろう? はっきり言えよ! 女々しいな!
「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティーを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」
確かにお前は親友だった。
だが、「ある時」から親友と思ってない。
そして、他の女も信用していない。
俺は恋人であるリタの目を見た。
彼女ももう昔の優しい目をして居ない。
「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティーについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い...これは貴方の事を思って言っているのよ」
「リタ...そうか...そうだな」
まぁ、そう言うだろうな!
俺と目を合わせないんだからな。
ふと、リタの左手に目が行く。
薬指には見覚えのない指輪があった、これは多分リヒトが買い与えた物だろう。
俺の指輪はもうしていない...まぁ解っているけどね。
他の三人も同じ指輪をはめていた。
まぁそう言う事だ...
俺は親友に彼女を寝取られていた、そう言う事だ。
そんな事は...もうとっくに気が付いていたさ...
「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」
「そこ迄は言われたくない....まぁ他のパーティにでも行くさ...」
こいつは俺とリタが婚約していると知っていて寝取ったんだな。
知っていたよ...
親友だと思っていたのにな..
リヒトは勝ち誇った顔で俺を見ている。
思いっきり、俺をあざ笑っているんだな。
何をしても優秀で、顔も良くて、強くて、おまけに勇者に選ばれた。
そんなお前が、おれは自慢だったんだ。
リタは俺の女だったんだ..他の2人だって俺は好きだったんだ...
だがな、俺にはお前が一番だったんだぞ。
だって心から親友と呼べる仲間だと思っていたんだぜ...
愛より友情の方が大切そう思ってる位にな。
「さようなら、ケイン」
「情けない男だケイン!」
「貴方より!リヒトの方が素敵だわ」
三人の幼なじみが一斉に罵倒してくる...結構堪えるなこれ..
あのリタまでもが俺を睨み付けていた。
「こんな指輪いらない! もう立ち去ってよ!」
そうかよ...
「解ったよ...」
「余り酷い事言うなよ リタ。ケインだって俺の親友なんだからな」
「そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんねケイン」
言葉が出ない。どの顔して親友っていうんだよ...
もう良いや、どうでも。
「世話になったな。四人とも幸せに暮らせよ!」
「それじゃ、パーティから抜けてくれるんだな!」
「ああ、お前達は世界を救えばいいんじゃない。引継ぎはいるか?」
「要らないから、とっとと行け」
さようなら俺の仲間たち...
【裏】
だけど、あいつ等...どうすんだ?
武器の手入れは全部俺がしていたんだぜ?
リヒトの剣は「精霊の剣」だけど、七星の砥石に湖の磨き砂を使わないと直ぐに普通の剣になるんだ。
ケイトの剣だって、此奴剣聖の癖に、スピードはあるけど力がないから、簡単に相手が死ぬ様に薄く「毒カエルの油」を塗っていた。
ソニアとリタの杖の宝石も、「星の魔石磨き」で何時も磨いていた、杖って魔石が汚れると威力が落ちるんだ。
多分、これやらないと...多分Bランク以下になるよな...引継ぎ要らないって馬鹿だな。
ソロになった途端、俺の周りは騒がしくなった。
「私達とパーティー組みませんか?...その私ケインさんに憧れていました」
「俺の所きませんか? 結構面良い女もいますよ?」
「ブラックウイングなんて糞だわ...だってリヒトさんのハーレムパーティーじゃないですか? 私達はケインさんの方が良いです...絶対満足させますから」
「誘ってくれてありがとうな! 少しゆっくりしたいんだ...だけど、こんな俺を気遣ってくれてありがとう!」
「「「ケインさん」」」
なぁ解るだろう?
幾ら落ちこぼれでもS級の落ちこぼれ、なんだよ...俺は、言っていて虚しいがな。
毎日頑張って銅貨や銀貨しか稼げない奴らからは俺は成功への切符なんだ。
だってそうだろう?
俺はソロで何とかワイバーンまで狩れるんだぜ...
ワイバーンをそれこそ、5匹も狩れば10年は遊んで暮らせる。
そんな奴、普通の冒険者からしたら涎もんだろう?
だから「ざまぁ」なんてしなくて良いんだよ...普通に幸せに..暮らせるんだからな。
チクショウ...何でだよ...
女々しいぞケイン、女なんて幾らでもいるんだ、何でリタの顔が浮かぶんだ。
この間は「剣姫ルリーダさん」から誘い受けたじゃないか?
まだAランクだが凄い美女じゃないか? なぁあっちに行けば幸せになれるだろう...
なのに...なんでケイトの顔が浮かぶんだ、言っちゃなんだがルリーダさんの方が綺麗だろうが。
金はあるんだ、さっさと女が欲しいなら...買えば良いじゃないか?
さっきの獣人の女なんか胸が大きくてドストライクだろう?
奮発してエルフだって手が届くだろう? 手持ちじゃ足りないが...S級の仕事2回すれば買えるじゃないか?
あれ、どう見ても凄い美少女じゃないか...なぁ...なんでソニアが良いなんて思うんだよ。
お前を捨てた女達じゃないか...なぁ。
はぁ...解っているさ...
時間が長すぎたんだよ...一緒に過ごした時間が。
子供の頃から5人一緒に居たんだ...他に友達何て出来ない位一緒にいたんだ。
酷い話、リタじゃなくても良かった、ケイトでもソニアでもな...誰か1人で良い、傍にいて欲しかったんだ。
親友で幼馴染で...一緒に馬鹿やれて、時には笑って、時には殴り合う...そんな奴居ないわな。
幾ら「漆黒のケイン」なんて呼ばれてよ...引く手あまたでも幼馴染の女は3人しか居ない...そしてあいつ等はリヒトの者。
どんな凄い奴隷商でも「幼馴染」は売ってないんだ...
引き摺りすぎだ....な。
お金があったから、暫く冒険者を休むことにした。
このままじゃ終わってしまいそうだから...ギルドの酒場で酒を飲み、新人達と話した。
案外、昔の自分達を見ているようで...良いな。
ブラックウイングは遠征専門、たまにしか帰って来ない。
そう言えば、あいつ等...何しているんだ...
何となく気になった..だから受付で聴いてみた。
「ブラックウイングの皆さんですか? オークキングの討伐にいかれてから帰られていません」
「それ何時からですか?」
「もう2か月になります...多分、遊んでいるんじゃないですか? S級なんですから心配してませんよ」
あははははっ終わったな。
「ざまぁ」なんて必要ない...もう終わっている。
今のあいつ等はB級だ..つまり逃げる事すら出来ずに負ける...リヒトは殺され、3人はめでたく苗床生活だ。
笑っちまうぜ..なぁ...うん..おいお前何を言おうとしているんだ? おい。
「心配だから、追依頼受けて良いですか? 彼らが成功して居たら報酬は要りませんから」
おい、どうでも良いだろう? 嫌いな奴はもう死んで..女は苗床..救出しても..恐らく。
「確かに遅すぎます..それじゃお願いします」
何でだよ..
俺はオークの住む洞窟に来た。
しっかりと手入れの行き届いた剣に薬草...準備は完璧だ。
この状態で初めてS級..まぁ俺はギリギリだけどな..
ちゃんとやれば..オークキングならどうにかなる...
片っ端からオークを倒し、収納袋に突っ込んでいく...
そして、奥に..居た..オークキングだ..そしてその近くにケイトにソニアが口から涎を垂らして下半身から血を流して倒れている。
リタは涎をたらしながら「うわううっううう」正にやれていた。
「俺の幼馴染に触れるんじゃねー」
怒りに任して剣を振るった。
オークキングは話す事も無く...首を跳ねられ死んだ。
俺は3人を見た...生きていた。
3人がこの状態なら...もうリヒトは死んでいる。
3人に慌ててポーションを掛けた。
「あううぅあー」
「ふぐうううケインあはははは」
「あははははケインがあはははは」
運よく、オークがつかう荷車があったからそれに縛ってのせた。
倉庫にある宝やガラクタを詰め込むときに「精霊の剣」があったから、あの死体のどれかがリヒトだったんだろう。
俺が荷車で走ると...周りが驚いた顔になった。
そりゃそうだ...狂った女でオークの汁だらけの女を載せているんだ目立つな。
「我慢してくれ」
「あうあはははケイン」
「あうううケインやん」
「ケイン..リフトは..」
冒険者ギルドにつき受付をした。
オークキングの頭とオーク、その他の素材を渡し..振り込みで対応を頼んだ。
「それで、その人達は..その」
知っている、本当はこの状態なら...殺してやるのが情けだ。
だから、駆け出しの冒険者ならいざ知らず、ベテランは頭が狂っている苗床女は殺す。
意識が保っている苗床女にはどうするのか聞いて、「死にたい」と言ったら殺す。
「生きたい」と言ったら、連れ帰る。
最も、苗床女も戦利品だから...持って帰った場合は「奴隷」になるから売るのも自分の物にするのも自由だ。
ちなみに余談だが...この権利の為に若い男の冒険者は...低レベルで挑んで死んでいく者も少なくない。
連れ帰ってしまった場合は奴隷にするしかない...しかも奴隷には世話をする義務が生じる。
「終身奴隷でちゃんと世話をします」
「そうですね..ううっそういえばその子達...幼馴染でしたね...気を落とさずに頑張ってください」
「まさかケインさんが俺たちのパーティーに入ってくれるなんて思いませんでした」
「良いんだ..まぁ俺も訳ありだからな」
そう、俺はCランクのパーティー「ドラゴンの牙」に入る事にした...条件付きで。
「しかし、驚きましたよあれ..女二人差し出すなら入るって条件」
「そうそう、ソアラもターニャも驚いてたな...目をグルグル回して「ケインさんなら良いか」とか「仕方ない」とかうわ言の様にいっていたし」
「まぁ、あいつ等、ケインさんのファンだからそのままでもいけましたけどね」
「馬鹿言うな...お前ら、あいつ等好きだろう? 大丈夫だぞ、俺は仲間の女に手を出す様なクズじゃない」
「そうですね、要は自分が依頼を受けている間、その、ケインさんの幼馴染の世話を女2人にさせる..そういう条件だなんて思いませんでした...ケインさん口数が少ないんですよ」
「面目ない」
「いいっすよ..あいつ等、丁度実力が上がらず冒険者辞めるかどうか考えていて..だったら解散しちまおうかななんて思ってたんだから」
「ほう、追放じゃなくて解散か?」
「可哀想でしょう?」
「お前凄く良い奴だな...御礼にドラゴンの牙を直ぐにAランクまで押し上げてやる」
「有難うございます」
大好きだった幼馴染は真面に喋れない。
あそこはガバガバでお尻もガバガバで糞尿も垂れ流しだからオムツをしなければならない。
食べ物を食べる事もままならないから..旨くスプーンで流し込むか口移し。
この介護が死ぬまで続くんだ...
だけど..俺は頭が可笑しいのかな..どんな美女と結婚するよりも今が楽しい。
偶に少し真面になって抱きしめて貰える時が最高に幸せに感じるんだ..
そう言えば何処かの英雄が言っていた...
「誰を愛そうがどんなに汚れようがかまわぬ! 最後に俺の横におればよい!」
今ならその気持ち凄く解るよ。
「悪いが今日でクビだ」
「そうか、まぁ良いや」
リヒトとは幼なじみだ。
「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来た」俺がそう思っていると思っているのか?
そんな風に思っているのは、お前達だけだぜ。
剣聖のケイト
聖女のソニア
魔法使いのリタ
五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれていた。
やや中二病な名前だがまぁリヒトは勇者だから可笑しくないな..俺は嫌いだけどね。
確かに最近の俺は取り残されていた。
ジョブの差で成長した四人に能力が追いついていないのは事実だな仕方ない。
だから、別にクビになっても良いと思っていた。
だってそうだろう? 腐ってもSランクパーティーのメンバーなんだぜ、俺も。
此処を出れば、幾らでも次がある。
こいつ等が凄いだけで他のSランクパーティーならまだ通用するし、Aランクまで落とせば恐らく女のパーティーなら体を使っても取りに来るぜ。
その位の価値はあるんだよ。
良く、仲間から追い出されて泣きそうな奴見るけど...自分の価値をちゃんと見ろよ。
高ランクなら...他に行けば良いだけだなんだぜ...
この間もAランクパーティー追放された盾使い見かけて...トボトボ歩いていたからDランクの女パーティー紹介してやったんだわ。
まぁ地味な女が多くて俺の好みじゃ無いからな...
1週間後には「ハーレムをありがとう」ってスゲー感謝されたぞ。
そりゃそうだろう...ゴブリン狩ってようやく生活している女たちが...彼奴が入った事でオーガが狩れるんだぜ。
日給4人で2万の貧乏人が日給5人で80万に早変わり...(解りやすく日本円にしています)
必死で繋ぎ止める...当たり前なんじゃないかな?
「ついて来れないのは分かっているだろケイン」
「そうだな、勇者として大きな舞台に立つんだろう...俺も一度で良い、そこに連れていって貰えないか?」
まぁ形上は辞めたくない振りをするけどな...
此奴の狙いは解っている、リタが欲しいんだろう? だから俺を追放したいんだろう? はっきり言えよ! 女々しいな!
「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティーを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」
確かにお前は親友だった。
だが、「ある時」から親友と思ってない。
そして、他の女も信用していない。
俺は恋人であるリタの目を見た。
彼女ももう昔の優しい目をして居ない。
「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティーについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い...これは貴方の事を思って言っているのよ」
「リタ...そうか...そうだな」
まぁ、そう言うだろうな!
俺と目を合わせないんだからな。
ふと、リタの左手に目が行く。
薬指には見覚えのない指輪があった、これは多分リヒトが買い与えた物だろう。
俺の指輪はもうしていない...まぁ解っているけどね。
他の三人も同じ指輪をはめていた。
まぁそう言う事だ...
俺は親友に彼女を寝取られていた、そう言う事だ。
そんな事は...もうとっくに気が付いていたさ...
「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」
「そこ迄は言われたくない....まぁ他のパーティにでも行くさ...」
こいつは俺とリタが婚約していると知っていて寝取ったんだな。
知っていたよ...
親友だと思っていたのにな..
リヒトは勝ち誇った顔で俺を見ている。
思いっきり、俺をあざ笑っているんだな。
何をしても優秀で、顔も良くて、強くて、おまけに勇者に選ばれた。
そんなお前が、おれは自慢だったんだ。
リタは俺の女だったんだ..他の2人だって俺は好きだったんだ...
だがな、俺にはお前が一番だったんだぞ。
だって心から親友と呼べる仲間だと思っていたんだぜ...
愛より友情の方が大切そう思ってる位にな。
「さようなら、ケイン」
「情けない男だケイン!」
「貴方より!リヒトの方が素敵だわ」
三人の幼なじみが一斉に罵倒してくる...結構堪えるなこれ..
あのリタまでもが俺を睨み付けていた。
「こんな指輪いらない! もう立ち去ってよ!」
そうかよ...
「解ったよ...」
「余り酷い事言うなよ リタ。ケインだって俺の親友なんだからな」
「そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんねケイン」
言葉が出ない。どの顔して親友っていうんだよ...
もう良いや、どうでも。
「世話になったな。四人とも幸せに暮らせよ!」
「それじゃ、パーティから抜けてくれるんだな!」
「ああ、お前達は世界を救えばいいんじゃない。引継ぎはいるか?」
「要らないから、とっとと行け」
さようなら俺の仲間たち...
【裏】
だけど、あいつ等...どうすんだ?
武器の手入れは全部俺がしていたんだぜ?
リヒトの剣は「精霊の剣」だけど、七星の砥石に湖の磨き砂を使わないと直ぐに普通の剣になるんだ。
ケイトの剣だって、此奴剣聖の癖に、スピードはあるけど力がないから、簡単に相手が死ぬ様に薄く「毒カエルの油」を塗っていた。
ソニアとリタの杖の宝石も、「星の魔石磨き」で何時も磨いていた、杖って魔石が汚れると威力が落ちるんだ。
多分、これやらないと...多分Bランク以下になるよな...引継ぎ要らないって馬鹿だな。
ソロになった途端、俺の周りは騒がしくなった。
「私達とパーティー組みませんか?...その私ケインさんに憧れていました」
「俺の所きませんか? 結構面良い女もいますよ?」
「ブラックウイングなんて糞だわ...だってリヒトさんのハーレムパーティーじゃないですか? 私達はケインさんの方が良いです...絶対満足させますから」
「誘ってくれてありがとうな! 少しゆっくりしたいんだ...だけど、こんな俺を気遣ってくれてありがとう!」
「「「ケインさん」」」
なぁ解るだろう?
幾ら落ちこぼれでもS級の落ちこぼれ、なんだよ...俺は、言っていて虚しいがな。
毎日頑張って銅貨や銀貨しか稼げない奴らからは俺は成功への切符なんだ。
だってそうだろう?
俺はソロで何とかワイバーンまで狩れるんだぜ...
ワイバーンをそれこそ、5匹も狩れば10年は遊んで暮らせる。
そんな奴、普通の冒険者からしたら涎もんだろう?
だから「ざまぁ」なんてしなくて良いんだよ...普通に幸せに..暮らせるんだからな。
チクショウ...何でだよ...
女々しいぞケイン、女なんて幾らでもいるんだ、何でリタの顔が浮かぶんだ。
この間は「剣姫ルリーダさん」から誘い受けたじゃないか?
まだAランクだが凄い美女じゃないか? なぁあっちに行けば幸せになれるだろう...
なのに...なんでケイトの顔が浮かぶんだ、言っちゃなんだがルリーダさんの方が綺麗だろうが。
金はあるんだ、さっさと女が欲しいなら...買えば良いじゃないか?
さっきの獣人の女なんか胸が大きくてドストライクだろう?
奮発してエルフだって手が届くだろう? 手持ちじゃ足りないが...S級の仕事2回すれば買えるじゃないか?
あれ、どう見ても凄い美少女じゃないか...なぁ...なんでソニアが良いなんて思うんだよ。
お前を捨てた女達じゃないか...なぁ。
はぁ...解っているさ...
時間が長すぎたんだよ...一緒に過ごした時間が。
子供の頃から5人一緒に居たんだ...他に友達何て出来ない位一緒にいたんだ。
酷い話、リタじゃなくても良かった、ケイトでもソニアでもな...誰か1人で良い、傍にいて欲しかったんだ。
親友で幼馴染で...一緒に馬鹿やれて、時には笑って、時には殴り合う...そんな奴居ないわな。
幾ら「漆黒のケイン」なんて呼ばれてよ...引く手あまたでも幼馴染の女は3人しか居ない...そしてあいつ等はリヒトの者。
どんな凄い奴隷商でも「幼馴染」は売ってないんだ...
引き摺りすぎだ....な。
お金があったから、暫く冒険者を休むことにした。
このままじゃ終わってしまいそうだから...ギルドの酒場で酒を飲み、新人達と話した。
案外、昔の自分達を見ているようで...良いな。
ブラックウイングは遠征専門、たまにしか帰って来ない。
そう言えば、あいつ等...何しているんだ...
何となく気になった..だから受付で聴いてみた。
「ブラックウイングの皆さんですか? オークキングの討伐にいかれてから帰られていません」
「それ何時からですか?」
「もう2か月になります...多分、遊んでいるんじゃないですか? S級なんですから心配してませんよ」
あははははっ終わったな。
「ざまぁ」なんて必要ない...もう終わっている。
今のあいつ等はB級だ..つまり逃げる事すら出来ずに負ける...リヒトは殺され、3人はめでたく苗床生活だ。
笑っちまうぜ..なぁ...うん..おいお前何を言おうとしているんだ? おい。
「心配だから、追依頼受けて良いですか? 彼らが成功して居たら報酬は要りませんから」
おい、どうでも良いだろう? 嫌いな奴はもう死んで..女は苗床..救出しても..恐らく。
「確かに遅すぎます..それじゃお願いします」
何でだよ..
俺はオークの住む洞窟に来た。
しっかりと手入れの行き届いた剣に薬草...準備は完璧だ。
この状態で初めてS級..まぁ俺はギリギリだけどな..
ちゃんとやれば..オークキングならどうにかなる...
片っ端からオークを倒し、収納袋に突っ込んでいく...
そして、奥に..居た..オークキングだ..そしてその近くにケイトにソニアが口から涎を垂らして下半身から血を流して倒れている。
リタは涎をたらしながら「うわううっううう」正にやれていた。
「俺の幼馴染に触れるんじゃねー」
怒りに任して剣を振るった。
オークキングは話す事も無く...首を跳ねられ死んだ。
俺は3人を見た...生きていた。
3人がこの状態なら...もうリヒトは死んでいる。
3人に慌ててポーションを掛けた。
「あううぅあー」
「ふぐうううケインあはははは」
「あははははケインがあはははは」
運よく、オークがつかう荷車があったからそれに縛ってのせた。
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そりゃそうだ...狂った女でオークの汁だらけの女を載せているんだ目立つな。
「我慢してくれ」
「あうあはははケイン」
「あうううケインやん」
「ケイン..リフトは..」
冒険者ギルドにつき受付をした。
オークキングの頭とオーク、その他の素材を渡し..振り込みで対応を頼んだ。
「それで、その人達は..その」
知っている、本当はこの状態なら...殺してやるのが情けだ。
だから、駆け出しの冒険者ならいざ知らず、ベテランは頭が狂っている苗床女は殺す。
意識が保っている苗床女にはどうするのか聞いて、「死にたい」と言ったら殺す。
「生きたい」と言ったら、連れ帰る。
最も、苗床女も戦利品だから...持って帰った場合は「奴隷」になるから売るのも自分の物にするのも自由だ。
ちなみに余談だが...この権利の為に若い男の冒険者は...低レベルで挑んで死んでいく者も少なくない。
連れ帰ってしまった場合は奴隷にするしかない...しかも奴隷には世話をする義務が生じる。
「終身奴隷でちゃんと世話をします」
「そうですね..ううっそういえばその子達...幼馴染でしたね...気を落とさずに頑張ってください」
「まさかケインさんが俺たちのパーティーに入ってくれるなんて思いませんでした」
「良いんだ..まぁ俺も訳ありだからな」
そう、俺はCランクのパーティー「ドラゴンの牙」に入る事にした...条件付きで。
「しかし、驚きましたよあれ..女二人差し出すなら入るって条件」
「そうそう、ソアラもターニャも驚いてたな...目をグルグル回して「ケインさんなら良いか」とか「仕方ない」とかうわ言の様にいっていたし」
「まぁ、あいつ等、ケインさんのファンだからそのままでもいけましたけどね」
「馬鹿言うな...お前ら、あいつ等好きだろう? 大丈夫だぞ、俺は仲間の女に手を出す様なクズじゃない」
「そうですね、要は自分が依頼を受けている間、その、ケインさんの幼馴染の世話を女2人にさせる..そういう条件だなんて思いませんでした...ケインさん口数が少ないんですよ」
「面目ない」
「いいっすよ..あいつ等、丁度実力が上がらず冒険者辞めるかどうか考えていて..だったら解散しちまおうかななんて思ってたんだから」
「ほう、追放じゃなくて解散か?」
「可哀想でしょう?」
「お前凄く良い奴だな...御礼にドラゴンの牙を直ぐにAランクまで押し上げてやる」
「有難うございます」
大好きだった幼馴染は真面に喋れない。
あそこはガバガバでお尻もガバガバで糞尿も垂れ流しだからオムツをしなければならない。
食べ物を食べる事もままならないから..旨くスプーンで流し込むか口移し。
この介護が死ぬまで続くんだ...
だけど..俺は頭が可笑しいのかな..どんな美女と結婚するよりも今が楽しい。
偶に少し真面になって抱きしめて貰える時が最高に幸せに感じるんだ..
そう言えば何処かの英雄が言っていた...
「誰を愛そうがどんなに汚れようがかまわぬ! 最後に俺の横におればよい!」
今ならその気持ち凄く解るよ。
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その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
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「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
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魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
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勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
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そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
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