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第45話 結末

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私は今、冒険者ギルドに仲介を頼みに来た。

くそっ…なんで私が…スノードロップに…

遠征で赤字を出して、我々の農場は壊滅…もう後がない。

そんな中で、街の店の多くが、我々に商品を売ってくれない。

「その、スノードロップと」

「ああっ、パーティ戦なら受けないそうですよ!伝言で『もう受ける必要が無くなったから…それに法律の中で全部かたづける』だそうです」

恐らく、スノードロップは『神に祈った』のか神から授かったスキルを使ったに違いない。

それはギルメドでは違反行為じゃない。

ギルメドは神々を信仰してその恩恵で暮している存在が殆どだ。

その為、直接の攻撃以外はまず問題にされない。

俺達がスノードロップに物を売らない様に圧力をかける事が問題にならなかった様に、恐らくはスノードロップが俺達に仕掛けている事は問題にならない。

しかも、パーティ戦は断られてしまった。

選択の自由をスノードロップ側に渡すんじゃ無かった。

「ギルドからの提案です! 早目に敗北を認めて詫びを入れるべきだと思いますよ…」

「このギルメドでも大きい、クラン豊穣の女神に詫びを入れろだと!」

「勿論、強制ではありませんよ…ですが、不売行為をしていたお店が今回の事件でスノードロップを恐れ、商業ギルドを通して詫びを入れ、今後全面的にスノードロップを優遇するそうです! そうなるとどうなるか解りますか?」

「もう私達には物を売ってくれない、買い取りもしてくれない…そう言う事か?」

「冒険者ギルドは中立です! だから、これには関係なく、買い取りも販売もしますが、他のお店、機関はもう豊穣の女神とは付き合わないでしょうね…そうなる前に和解をした方が良い…これはあくまで意見です…」

「考えさせてくれ!」

「そうですか…」

我々は自然を愛する者が集まり生活している。

その気になれば都市等捨てて自然で暮せば良い。

エルフにダークエルフ…妖精族、獣人。

誰もがそれが出来る。

だから、商売人に影響を与える女神等無視できる。

最初はそう考えていた。

だが…違う。

恐らく、スノードロップに祝福を与えている神は『商売の神』以外の側面を持っている筈だ。

そうでなければ『イナゴ』の件の説明がつかない。

もし、怒らせたまま逃げるように、自給自足で生活したとして、あれを行われたら…もう餓死するか、それこそ自分達を奴隷として売るしかなくなる。

スノードロップの神との相性は恐らく…最悪だ。

これは、皆で話し合うしかないだろう。

◆◆◆

豊穣の女神の幹部を全部集めた。

基本的にこのクランは自由気ままに暮らしている。

こんな招集はかけた事が無い。

だが、これはクラン全体の問題だ。

「アムリオン様…」

「アムリオン、これはスノードロップの件か?」

「あんな奴らの事で会議みたいな事するわけ?」

「最早、そんな事など言ってられるのだ!これは詫びを入れて謝るか、潔く死ぬか…そういう問題だ!」

私は皆に今迄に起こった事と自分なりの考えを話した。

「「「そんな事が…」」」

我がクランは自然と共に生きて居る。

そのせいか経済に関して幹部が無頓着なのが問題だ。

ある意味、贅沢をしない。

悪い意味なら経済観念ゼロ。

「それで皆はどうしたい?」

「スノードロップのリーダーを裏で殺してしまうのはどうでしょうか? 我らエルフには人には解らない毒がありますから」

「そうだな、ダンジョンの中で毒矢で殺してしまえばバレないな」

「儂ら精霊族で土の祝福を受けた者なら、そのまま埋めてしまう事も可能じゃ」

「それは完全な違法行為だ、バレたら死刑もあり得る…それに最大の問題は、今起きている事が神絡みの呪いなら、殺してもこの状態は続くかも知れないし、いや最悪、悪化する可能性すらある」

「それで、アムリオン様はどうしたいのですか?」

「「アムリオン」」

「最早二択しか無い…餓死するか降伏するかだ…誇りを持って死ぬか、降伏するかだ」

「耳長族は、エルフに似た醜い存在…それに頭を下げないといけない、そういう事か…」

「自然に反した存在ジークの民を認めろと言うのか?」

「あの獣人の面汚し、醜いハイエナ族を認めないとならん…くっ」

一つ位なら我慢できるかも知れない。

だが、我らが嫌う存在3つ…どうする?

これはプライドと命の問題だ。

「皆、どうしたい? 私には決められぬ…皆の意見を聞きたい」

「「「そうだな」」」

結局、結論は出ないまま『私に任せる』それで話は終わってしまった。

無責任なようだが、これは皆の辛い決断の筈だ。

何しろ『餓死して死ぬか』『屈辱の中生きるか』その決断を私に任せた。

そういう事なのだからな。

◆◆◆

「今日は時間をとって貰って済まないな」

前に比べると随分とまぁ…

僕は冒険者ギルドの仲介で豊穣の女神のリーダーアムリオンに会っている。

無視しても良かったが、以前こちらが会いたいと言った時に、アムリオンは時間をとって会ってくれた…その分は返しておくべきだ。

「それで…なんかよう?僕達はゴキブリ以下なんだろう?態々会う必要は無いだろう?」

「それは…」

「法が無ければ殺したい相手…それが僕達なんだよな?自分を殺したいなんて言う奴と仲良くなんてできない!困っているかも知れないが、同じ法を犯さずやっている事文句はねーよな」

「ああっ、そうだな…それは私が言った言葉だ」

「それでどうしたい? そんなゴキブリ以下の存在に詫びてゴキブリ以下の存在に成り下がるの? それとも死ぬまで続く貧乏な日々で苦しむの…お好きな方をどうぞ!」

もう決着はついた。

どちらを選んでも豊穣の女神は終わりだ。

「…」

「だんまり? まぁ死ぬまで嫌がらせをする…そう宣言した相手に謝れないか? それなら第三の道を特別にあげるよ!自分達を殺したいような相手とは一緒に暮らせないだろう?自然の民だと言うのなら…ギルメドから出て行けばよい…僕たちは此処で暮す…豊穣の女神は他に行けばよい! そうしたら、もう害は加えられないと言う事で『神への祈り』をやめようじゃ無いか?どうだ?」

僕は幾ら嫌いな相手でも、死んで欲しいとまでは思わない。

死ぬまで不幸になれとは思わない。

仲間に害がなくなるならそれで良い。

「それで良いのか?詫びや謝罪は?」

「心から詫びない奴の謝罪なんて要らないよ…どうだ? 勿論、正式な書面を冒険者ギルドで書いて貰うけど?」

「解った…クランとしては謝らない…だが私個人としてはすまなかった…そして温情を掛けてくれた事…ありがとう」

きっと本音は謝りたくないのだろう。

だが、仲間の為に謝れるアムリオンは大人なのかも知れない。

「解った…」

その後、冒険者ギルドで書類を作り、豊穣の女神が此処、ギルメドから出て行く事が決まった。

これで良い。

3人が今後迫害を受けないならそれで良いんだ。

豊穣の女神が、この後素直に去ったら…スキルを解除して終わり。

それで本当に終わりで良いさ。





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