人類戦線

さむほーん

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胎動編

第四話 戦線確認

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 戦争などでは相手の兵を捉えたら「捕虜」扱いになり、非人道的なことは禁止されるジュネーヴ条約というものがある

 だが、こんな世界になったら条約も大して意味がなくなっているだろう

もしかするとみんなが荒れすぎて国内法ですら既に形骸化しているかもしれない

すると、城崎が敵とわかった人相手に何をするか分からない

いや、なんとなくは予想はついてるが、あまり予想したくないし、人に話したい内容でもない

「元」人間を見るのは多分大丈夫だが、人間が「元」人間に変わっていく様子を見るのは避けたい

でも、敵を捉えたけど可愛そうだから開放しました、じゃあ今度は僕のみが危ないだろうし

ここは城崎の小指の爪サイズの良心に期待するしかない

あいつ僕以外には親切だから意外となんとかなるかも

よし、これで行こう

「じゃあ、縛られてる二人を引っ張る人決めて」

他の人に前を歩かせて僕は後ろから見張っておけばいいか

あれ、みんな動かないな

どうしたんだ?

「あの……」

なんだい生徒A

「僕たちはどうなるんですか?」

「僕も知らないよ」

それを決めるのは僕じゃない
僕は単なる兵みたいなものだよ

「知ってたとしても、それを君たちに教える理由がない」

そう、そこだ

なんで「コイツラ」はいまだに自分たちに選択権があると思っているんだ?

勝手に襲いかかってきて、勝手に倒されて、勝手に捕まえられて

なんでまだ自分たちは「選べる側」だと信じ込んでいるんだ?

僕にはそれがわからない

これが話術などではなく本気でそう考えているなら気持ちが悪くてこの世から消してい

…………違うな、殺伐とした考えに染まるのは駄目だ

世界がもとに戻った時にもとの生活に戻れなくなる

今はこれだけ伝えておこう

「よし、じゃあ出発しようか」

こうして、これ以前の戦闘で人数が減ってしまったのか27人になった1-6メンバーと共に僕は1-3へ向かった

それにしても、僕、こんなにスレてたかなぁ……?

――――――――――――――――――――

幸いなことに1-3の教室に行くまでに誰にも襲われることはなかった

まあ、襲われて一人二人死んでしまっても五人以上残っていれば別に構わないんだけど

僕に襲いかかってきた二人が残っていれば

「なるほど、そういう感じね」

「はい」

「よし、これで一旦解散。向こうの教室で待ってて」

本当に僕以外に関しては優しく、礼儀正しいやつだ

こんな人間になってしまうなんて、小さい頃から一緒にいた友人たちはなんてことをしてしまったのだろう

特に、高校まで同じ人とかならもう少しなんとかできたのだろうか

おい、聞いてるか過去の僕

お前の事だぞ

「さて」

あ、なんか始まるみたいです

「おおよそお前に事前報告してもらった通りだな」

「え、疑ってたの?」

「こっちに対して警戒心丸出しのやつの言葉を信用できると思ってたのか?」

こっちを雑に扱ってきたやつが力を持って、警戒しないと思ってたのか?

「でも、今回の働きは結構良かったでしょ」

「まあ、否定はしない」

やっぱり僕は有能だったようだ

「しかし、これで能力の共通点がますます分からなくなってきたな」

「特に須斎さんの袴がよくわからないよね」

「あの人だけ操作しているものが何なのかはっきりしないしな」

「他の3つには共通点があるんだけどね」

現状、隣の部屋で震えているクラスメイトと、まだまともに装備を使っていない1-6の皆さんを除いて、判明している能力は4つ

まず、周囲のものを減速させる僕の打刀

恐らくだけど、触れているものをある程度操作できる城崎の手袋

刀を硬化できる弘岡さんの刀(恐らく能力はそれだけじゃないだろうけど)

この3つは、「原子の操作」という点で一致している

僕の打刀は原子や分子の運動を弱めてるんだろうし

弘岡さんの刀はファンデルワールス力とかの分子間力を強めてるんだと思う

城崎の手袋は多分とてつもない速度で化学変化を行っているんじゃないだろうか

だが、これに比べて須斎さんの袴の能力は異質だ

この能力で操作できているものがあるとすれば光子などではないだろうか

光子を操作できるのならば見えなくなっている可能性もある

だがそれでは他の能力に比べて操作できるものの範囲が違いすぎる

第一、光子を透過できるのなら本人から外の世界が見えないはずだ

そして須斎さんはかなり自由に動けていた

つまり、彼女には外の世界が見えていると考えていいのだろう

だが、それではなおさら彼女が何を操作しているのか分からなくなる

「やっぱり、もう少し情報を集めるしかないのかな」

「そうだな」

よし、今後の方針が決まってきた

「今後は他の人の装備について、もっと詳しく調べることにしよう」

そうだな、じゃあ早速どこに行くのかを

「お前が」




「ゑ」

――――――――――――――――――――

「いやまさか~、嘘でしょ~?」

「ここで嘘をつく理由があると?」

マジか……

「いや、今回の任務も結構危なかったからね。何なら回避が遅れてたら今目見えてなかったからね」

「いや、特に問題無いだろう」

うん、これ僕をまだ信用してないやつですね

確かにこいつから信頼を得るのはかなりの重要事項だ

だがそれは僕の命よりは重要ではないはずだ

「どうしてもって言うなら須斎さんでも連れていけば?ちょうど試運転もしたかったし」

試運転って…………

こいつは本当に人を人として見ているのだろうか

そういう意味では「信じる、信じない」の領域(レベル)で話されている僕はまだマシなのかもしれない

ともかく、今回はそれ以上にいい案が思いつかないな

「じゃあそうさせてもらおう」

こうして、僕の初めての共同任務にして須斎さんの初めての任務が決定した

だが、帰ってきてすぐに次の任務の話とは……

僕や城崎は少し働き過ぎではないだろうか
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