人類戦線

さむほーん

文字の大きさ
45 / 220
東京事編

第十五話 徘徊

しおりを挟む
「……ここは思ったよりも宿泊施設がしっかりしてるな。それで、生物実験室は何処だ?」

「千尋姐さん……部屋に入って荷物も片付けてないのにいきなり実験室に行こうとしないでよ……」

いつも通りと言えばいいのか、本当に興味のあること以外は適当な人だな……

でも、流石に持ってきた荷物の整理くらいしてもらわないと困る

今のコレだとベッドすら何処にあるか分かんないぞ……

「じゃあ、折角だし私は校内の設備を見て回って来るよ。スーツケースは机の下にでも置いておいてくれ」

「え?ちょっと!」

ベッド探しに気を取られてたらその間に逃げられた

逃げ足は衰えてないみたいだ

まぁ、一応大人なんだし放置しておいても問題は無いでしょ

それより、机の下ってどこだろう?

この瓦礫の山から机を探せってことじゃないよね?

「……頑張るか」

――――――――――――――――――

この学校は随分と設備がしっかりしているな

大学級とは言わないがいわゆるSSHスーパーサイエンスハイスクールくらいの設備はあるんじゃないか?

「以外と見て回る所が多いな」

これは二日くらいに分けたほうがいいかもしれない

まあ、そうしたら見て回る前に研究所に帰ることになるかもしれないが

お、これは良いんじゃないか?

科学実験室の設備は見たところ悪くなさそうだ

科学講義室に遠い場所にあるのが少し気になるが……

「さて、次はどこに行こうか」

利用する機会が有りそうな保健室にでも行こうか

それとも珍しく外にでも出てみるか

……よし、中庭に行こう

室内はその後でも良いだろう

――――――――――――――――――――

なるほど、中庭は庭と言うよりは園芸部の農場の様になっているのか

研究室などでよくある実験農場やシャーレ内で育てるものとは随分様子が違うな

「違う!このキャベツがここに植えてある理由は!」

何やら揉めていそうだ

怒られている方は……えっと……神柱君だな

どうしようか……助け舟を出した方が良いんだろうか……

「ん。長崎さん」

後ろから声がした

「えっと……どちら様かな?」

見たこともない小柄な少女がそこには立っていた

記憶の片隅にも存在しない

今日帰って来た人なのか?

それより、何か資料をこちらに手渡そうとしているようだが……

「これは……?」

「城崎聖の身体データ。多能性幹細胞にする元の細胞は後日研究所で採るけどそれ以外のデータとかは今のうちに渡しておくって」

おお、そうなのか!

「ありがとう。時間が短縮できるのはこちらとしても願ってもないことだ」

治験期間はある程度取らないといけないが、それ以外の時間は減らせるだけ減らしたい

それに、まだ施設を見ている途中だから何とも言えないが、一通り見終わったら暇になる気がしていた

いくら設備が整っているとはいえ今までのデータも何も持ってこれていないなら研究のしようがない

「ところで、彼らは何をしているんだい?」

私は向こうの方で揉めているらしい二人を指さしてそう言った

「あれは小松芳枝。野菜のことになると人が変わる。栽培技術は高い」

栽培技術か……
あまり植物関連は知らないから何とも言えないが、どのくらいのものなんだろうか

この畑を見ると相当高そうには見えるが……

まあ、素人目でいくら見ても変わらないか

あ、向こうから身体データを渡されたしこちらもデータを渡しておこう

えっと……確かここにあったはず……

「じゃあこれを持っておいてくれ」

「……これは?」

「これはうちの研究所が治験の際に対象者に渡している契約書類……というよりはガイドラインみたいなものだ」

いつもはデータ等を取り終えて準備が整ってから渡しているが、先にデータを渡されたし

「……これを私に渡してどうするの?」

……あぁ!なるほど!
誤解を避けるためにちゃんと口に出して言ってほしいタイプの人か

「城崎君に渡しておいてくれ。事前に確認は取っておきたいんだ」

すると、了承したのか少女はその書類を懐にしまった

ところで、これから私はどうしようか……

次はどこを見に行けば良いんだろう?

やっぱりもう部屋に帰ろうか

「いや、その前に生物室の方に寄っていこう」

私にとっては一番気になるところでもある

――――――――――――――――――

あ、どっか行っちゃった……

こんなんなら向こうが気付くのを待たずに早めに助けを求めておくんだった

「ほら!!手が止まってる!!」

この状況を一人で切り抜けろなんて酷すぎる

あ、あそこ居るのは弘岡じゃないか

弘岡さん……いや、様!頼むから!少しで良いから加勢してくれ!

弘岡美優はこちらを少しだけ見てから何処か遠くへ歩いて行った

「よそ見しない!!そんなんじゃ野菜に愛情が伝わらないでしょ!!」

「あ、すみません……」

――――――――――――――――――

よし、机が見えるくらいには片付いたか

三十分を以上かけてこれか……

片付けの腕が鈍っちゃったかな?

よし、一通り片付いたから姐さんのことを探しにいこう

本人に来てもらわないと残りの荷物をどこに置けばいいのかが全くわからん

「どこ行ったか分かんないけど、多分実験室とかそのへんでしょ」

しかし、困ったことになった

僕は文系だから理系科目の実験室が何処にあるのかは全く分からない

まあ、姐さんがちゃんと目的地に辿り着いている保証もないけど

「どうしよっかな~?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...