人類戦線

さむほーん

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東京事編

第十九話 仮結論

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蜃気楼高校は普通科という形式にはなっているが、かなり理系に力を入れている

それなのに理系と文系の人数差がそんなに開かないんだから少し学校の運営側に少しだけ同情してしまうこともある

ちなみに、僕は理系なのでこの高校が理系に力を注ぐ恩恵をしっかりと受け取っている

やったね

この化学実験室では簡単なpH滴定や化学電池の作成などをした記憶がある

結構いろんなことしたよな

「う~ん……居ないみたいだね……」

「……そうですね」

危ない……ここに来た理由を忘れるところだった……

所長を探しに来たんだった

それにしても、ここに居ないのなら僕らはわざわざ遠くにある生物実験室まで行かないといけないってことなのか……?

う~ん……ヤだなぁ……

「あの……やっぱり生物実験室より先に近くを探しません?もしかしたら以外と近くに居るかもしれませんし」

これで頷いてくれればラッキーなんだけど……

「う~ん……でも、他に心当たりないんだよな……」

この人、所長と知り合いっぽい雰囲気出しておきながら行き先が実験室しか思いつかないって

実は他人なのか?それとも、所長が特殊なだけなのか?

……後者っぽいな。あの人の雰囲気何か独特だっかさたから

「でも、一応行ってみましょうよ。闇雲に探したら以外と見つかるかも知れませんよ」

兎に角、どうにかしてここで説得しないと、最悪生物実験室まで行ってからもう一度ここに探しに帰ってこなければならない羽目になるかもしれない

圧をかければなんとかなる気はするけど高々こんなとこで圧をかけたってバレたらとんでもないことになりそうで怖い

「……まあ、特に否定する理由も無いからそうしようかな……」

よし、そこまで強烈に説得しなくてもなんとかなった

アメを使ってもムチを使っても説得って大変だから良かった

「じゃあ、何処から回ります?」

こっちから頼んで予定を変えてもらったから行き先くらいは相手に委ねようと思ってそう聞いた

「え?考えてなかったの?」

あ、そっか。こういう時は提案した方が行き先を決めるものなのか

「……じゃあ、まずは多目的教室に行きます?」

近くにある教室で真っ先に思いついたものの名前を言ってみた

他にも色々あるんだけど、あの部屋にはレポートとかを作る為のパソコンが何十台か有る

実験ができてもその結果を記録したり纏めたりできなければ意味が無い

そういうことでもしかしたら所長も居るかもしれない

僕はそういうことを口に出して伏原先輩に伝えた

「なるほど、じゃあそうしようかな」

どうやら納得してくれたみたいだ

と言うか、この人、結構素直なのかな?

行き先も決まったし、ゆっくりと話しながら進みますか

僕のコミュニケーション能力で会話がどれだけ続くか、の実験にもなるし……

――――――――――――――――――

情報というものはこと戦争においては最も重要と言っていい

日露戦争の日本海海戦や太平洋戦争のミッドウェー海戦は情報によって勝敗が決定した有名な例と言えるだろう

この2つの戦いでは相手の作戦や進路を知っていた方が大きく有利となり、その後の戦局全体に大きな影響を及ぼした

情報戦とはそれほどまで重要なのだ

だから、この勢力を発展させる第一歩として諜報を須斎に任せた

幸いにも、須斎は上手く任務をこなしてくれている

だが、そろそろ人数を増やさないといけない時期になってきた

「……少し不安は残るが、まずは比較的重要度の低い案件だけでも任せてみよう」

それだけでも須斎の負担が減り、結果として手に入れる情報の質も上がるだろう

気付かない内に独り言を言っていた俺は『篠原進』という題の資料をおいて他のことを考える

(少し危険だが今集まっている情報だけで予測を立てておくか)

こういうことをすると間違った予測を立ててもそれを無意識に信じ込んでしまうこともある

ただ、現状の行動方針を決めるためにはある程度は予測を立てておく必要がある

まずは状況を整理しよう

この情報によるとクーデターの成功が発表されたのは昨日の午後六時

ということは、成功したのは正午から午後三時の間と見るべきだろうか

クーデター側の戦力がどの程度かにもよるが、官邸の警備が本気で動き出してから勝てるとは思わない

となると、実際に動いた時間は三十分も無いかもしれないな

数年前から企てていたのならそこまで戦力を蓄えている可能性もあるが……

このニュースが発表されるまで表に出なかったのならば、人数は少ない可能性が高い

これは俺個人の考えだが、反乱というのは人数を中途半端に集めるのが一番上手くいかない

フランス革命級に人を集めるのならまだしも、三十人や四十人ほど集めるくらいなら四、五人で素早く行動した方が良いだろう

クーデターは大抵、バレずにどこまで進められるのかというところが重要になってくる

バレても構わないものはクーデターでは無く革命だ

そして、革命はバレても構わない分バレずに行うのは不可能に近い

ならば、この反乱では戦力がそこまで揃っておらず、昨日の正午から午後三時に成功した為今は派手に動けないはずだ

時間は有る、が、限られている

自衛隊や公安警察の指示権を握られたらその時点で終わりだ

(さて、これからどうしようか)

これは中々結論が出なさそうだな
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