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東京事編
第二十三話 養父
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くそ……遅いのだ
あいつが出発してからあまり音がしていない
全体に情報共有を阻害する効果をかけておいたが、そのせいでこちらも情報が得られにくくなるとは……
相手に制限をかける際にはもう少し厳密に調整しなければな……
くそ……待っているだけというのも存外疲れるのだな……
焦れて動くようで悔しいが、やはり私も加勢しに行った方がいいのだろうか?
……考えているような時間は無いかもしれない、か
そうだな、もう動いておいた方がいいか
「確かこちらから入っていったはず……」
万が一倒されていたら回収くらいはしないとはいけない
「お?何だお前?この学校に用があんのか?俺も用があるから一緒に行こうぜ。」
くそ……今日はやたらと人に出会うな……
だが、ここで断るのもそれはそれで不自然というものか……
「ええ、良いですよ。それじゃあ向かいましょうか」
また不確定な要素が増えた
こいつを警戒しながらあの女を回収しなければならないのは随分と骨が折れそうだ
「おう、そうだな。ところで、お前は何しに来たんだ?この学校壊しに来たとかじゃねぇよな?」
半分くらいは本気で答えておくか
「いえ、そういうわけでは有りませんが……知り合いを連れ戻しに来た、という感じですね」
「そうか」
その言葉が聞こえると同時に、私の体は吹き飛んでいた
「先生実はな、嘘つきは結構嫌いなんだ」
なんとか体勢を立て直して、考える
(何だ?!こいつは今、なぜ殴った?!)
可能性としては、二つある
こいつがただの人格異常者か、嘘を見抜くような兵器をを持っているか、だ
しかし、現状、相手の嘘を見抜けるような精神系統の装備は見つかっていない
ただの破綻者として見たほうがいいか?
「ちょっと……どういうことですか?!」
少し時間を稼いで状況を把握しよう
上手く行けばこのまま和解ができるかも知れない
「あ?ンなの簡単だろ。てめぇが嘘ついたからに決まってんダロ」
嘘?前半の部分の嘘がバレたか?!
本当のことを混ぜれば嘘は分かりにくいという話は誰かの作り話だったようだな
「さ~てと、子供の教育は得意分野なんだ。最近は体罰とかの関係であんまり俺のやりたい教育が出来てなかったけど」
その男は一呼吸おいてから、少し構える
「不法侵入者候補一人なら、バレねぇよな」
――――――――――――――――――――
「ってなわけで、そいつをブッ飛ばしてやったわけよ!とのことだ!」
俺たちの通っている孤児院の院長、神柱俊樹はそういうふうに自慢した
「あの、そういう喧嘩自慢って自分は楽しいのかもしれませんが、聞いてる方は暇なんですよ。今後は手短に話してもらえると助かります。では、用事も終わったでしょう。お帰り下さい」
そもそも、この学校は関係者以外立入禁止だ
生徒である俺の養父のようなものだからギリギリ関係者と言えなくは無いが、不審者として捕らえられても文句は言えないくらいの関係だ
確実に不審者扱いされる相手も引き渡されたことだし、早急に帰ってもらおう
「おいおい、それはちょっと寂し過ぎねぇか?せっかく久しぶりに会えたんだし、ちょっと位話して行こうぜ」
「いいから!!早く帰れ!!」
相変わらず話が通じない……
俺が説得できるのは人間として話が通じる相手だけなんだよ
「何だよ……つれねぇなぁ……そんなふうに教育したっけな……?」
首をひねっているようだが、取りあえず帰ってもらおう
「はい!出入り口は向こうだ!早く行け!」
こんなやつをあまり長い間敷地内に入れておきたく無い、という気持ちも勿論ある
「分かったって……爺ちゃんもうちょっと優しく育って欲しかったんだけどな……」
こいつは恐らく、優しい、という言葉を『相手が自分の思い通りになる』という風に勘違いしているのでは無いだろうか?
確かに、そのスパルタに近い教育のおかげで俺の能力が大きく向上したのは確かだ
だが、すでにある程度育っている他人を殴っておいて『教育してやった』は流石に身勝手が過ぎると言うものだ
「じゃあ、暇んなったらまた遊びに来いよ!!賢はまだうちに居るんだからな!!お前が来たら歓迎するぜ、最高傑作!」
「遠慮しておく!!」
はぁ……あんなのに構っている暇は無い
先程から人の話し声も普通に聞こえるようになったことだし、弘岡の容態も調べておくか
この二人の尋問もしなければいけないし、やることは尽きないようだな
――――――――――――――――――――
……こういう時は知らない天井だ、と言った方が良いかもしれないけれど、私はこの天井を知っている
使う機会は少かったが、一度だけ貧血で倒れたときに医務室に来たことがある
その時は確か校医の先生が居たはずだけど……
「あぁ、おはよう。体の調子はどう?」
ちゃんと今日も居たみたいだ
「大丈夫です。金山先生」
優しげな微笑みを浮かべたその人に、以前と同じように話しかけた
「そう。医務室に運ばれたときは気絶してたから心配だったのよ。無事だったから良かったけど……これからは喧嘩とかはやめようね」
そう言われると、今後の戦闘が少し辛くなる
恐らく善意で言っているのが分かるから尚更だ
「はい、出来るだけ気をつけます」
相手の気持ちを尊重するなら、この辺りが今できる限界なんだろう
あいつが出発してからあまり音がしていない
全体に情報共有を阻害する効果をかけておいたが、そのせいでこちらも情報が得られにくくなるとは……
相手に制限をかける際にはもう少し厳密に調整しなければな……
くそ……待っているだけというのも存外疲れるのだな……
焦れて動くようで悔しいが、やはり私も加勢しに行った方がいいのだろうか?
……考えているような時間は無いかもしれない、か
そうだな、もう動いておいた方がいいか
「確かこちらから入っていったはず……」
万が一倒されていたら回収くらいはしないとはいけない
「お?何だお前?この学校に用があんのか?俺も用があるから一緒に行こうぜ。」
くそ……今日はやたらと人に出会うな……
だが、ここで断るのもそれはそれで不自然というものか……
「ええ、良いですよ。それじゃあ向かいましょうか」
また不確定な要素が増えた
こいつを警戒しながらあの女を回収しなければならないのは随分と骨が折れそうだ
「おう、そうだな。ところで、お前は何しに来たんだ?この学校壊しに来たとかじゃねぇよな?」
半分くらいは本気で答えておくか
「いえ、そういうわけでは有りませんが……知り合いを連れ戻しに来た、という感じですね」
「そうか」
その言葉が聞こえると同時に、私の体は吹き飛んでいた
「先生実はな、嘘つきは結構嫌いなんだ」
なんとか体勢を立て直して、考える
(何だ?!こいつは今、なぜ殴った?!)
可能性としては、二つある
こいつがただの人格異常者か、嘘を見抜くような兵器をを持っているか、だ
しかし、現状、相手の嘘を見抜けるような精神系統の装備は見つかっていない
ただの破綻者として見たほうがいいか?
「ちょっと……どういうことですか?!」
少し時間を稼いで状況を把握しよう
上手く行けばこのまま和解ができるかも知れない
「あ?ンなの簡単だろ。てめぇが嘘ついたからに決まってんダロ」
嘘?前半の部分の嘘がバレたか?!
本当のことを混ぜれば嘘は分かりにくいという話は誰かの作り話だったようだな
「さ~てと、子供の教育は得意分野なんだ。最近は体罰とかの関係であんまり俺のやりたい教育が出来てなかったけど」
その男は一呼吸おいてから、少し構える
「不法侵入者候補一人なら、バレねぇよな」
――――――――――――――――――――
「ってなわけで、そいつをブッ飛ばしてやったわけよ!とのことだ!」
俺たちの通っている孤児院の院長、神柱俊樹はそういうふうに自慢した
「あの、そういう喧嘩自慢って自分は楽しいのかもしれませんが、聞いてる方は暇なんですよ。今後は手短に話してもらえると助かります。では、用事も終わったでしょう。お帰り下さい」
そもそも、この学校は関係者以外立入禁止だ
生徒である俺の養父のようなものだからギリギリ関係者と言えなくは無いが、不審者として捕らえられても文句は言えないくらいの関係だ
確実に不審者扱いされる相手も引き渡されたことだし、早急に帰ってもらおう
「おいおい、それはちょっと寂し過ぎねぇか?せっかく久しぶりに会えたんだし、ちょっと位話して行こうぜ」
「いいから!!早く帰れ!!」
相変わらず話が通じない……
俺が説得できるのは人間として話が通じる相手だけなんだよ
「何だよ……つれねぇなぁ……そんなふうに教育したっけな……?」
首をひねっているようだが、取りあえず帰ってもらおう
「はい!出入り口は向こうだ!早く行け!」
こんなやつをあまり長い間敷地内に入れておきたく無い、という気持ちも勿論ある
「分かったって……爺ちゃんもうちょっと優しく育って欲しかったんだけどな……」
こいつは恐らく、優しい、という言葉を『相手が自分の思い通りになる』という風に勘違いしているのでは無いだろうか?
確かに、そのスパルタに近い教育のおかげで俺の能力が大きく向上したのは確かだ
だが、すでにある程度育っている他人を殴っておいて『教育してやった』は流石に身勝手が過ぎると言うものだ
「じゃあ、暇んなったらまた遊びに来いよ!!賢はまだうちに居るんだからな!!お前が来たら歓迎するぜ、最高傑作!」
「遠慮しておく!!」
はぁ……あんなのに構っている暇は無い
先程から人の話し声も普通に聞こえるようになったことだし、弘岡の容態も調べておくか
この二人の尋問もしなければいけないし、やることは尽きないようだな
――――――――――――――――――――
……こういう時は知らない天井だ、と言った方が良いかもしれないけれど、私はこの天井を知っている
使う機会は少かったが、一度だけ貧血で倒れたときに医務室に来たことがある
その時は確か校医の先生が居たはずだけど……
「あぁ、おはよう。体の調子はどう?」
ちゃんと今日も居たみたいだ
「大丈夫です。金山先生」
優しげな微笑みを浮かべたその人に、以前と同じように話しかけた
「そう。医務室に運ばれたときは気絶してたから心配だったのよ。無事だったから良かったけど……これからは喧嘩とかはやめようね」
そう言われると、今後の戦闘が少し辛くなる
恐らく善意で言っているのが分かるから尚更だ
「はい、出来るだけ気をつけます」
相手の気持ちを尊重するなら、この辺りが今できる限界なんだろう
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