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東京事編
第三十一話 仲直り
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「それでは、ここから会議を始める」
保健室には全員とは言わないまでも、いま校内にいる主要な人の多くが集まった
とは言っても、会議なので数人だ
俺、神柱、伏原と、この部屋にもともと居た弘岡の合計四人が集まっている
「で?会議って何するのー」
話の火蓋を切ったのは伏原だ
何をすると言っても、今この状況を考えれば分かると思うんだが
「官房、及び官邸への侵入と調査についてだ。この前攻めてきた連中の親玉が官房長官だったらしいからな」
伏原の顔が少し固まったように見えた
「なるほど、それで、官邸か。想像以上にヤバそうな理由だねー。どうにかして協力は取り付けられないの?」
「あ、それ、僕も思った。国と戦うのは流石に大変じゃない?」
今度は神柱も賛成してきた
その意見には聞くべきところもあるが、とある理由から俺はその交渉は始める前から失敗していると考えている
「忘れたのか?既にその勢力の手のものに攻め入られているんだぞ。攻め込んできた相手と交渉が出来ると思っているのか?」
それを言うと、納得したように二人は黙った
神柱は本当に納得したように見えるが、伏原の方は最初から分かっていたんじゃ無いだろうか?
俺では未だにこいつの考えが理解出来ないし、予測などもっての他だから何とも言えないがな
「それで、具体的にはどんな情報を集めてるの?」
そう聞いてきたのは弘岡だ
普段から話すことの少ないこいつだが、会議などの場では発言することが多い
「頼んでいる内容は機密情報だからあまり細かいことは言えないが、主には内部構造や相手の幹部がどこにいるかといったものだな」
他にも警備員の巡回ルートや交代時間なども探らせているが、それは変更されたら情報価値が消えるのであくまで参考程度だ
手に入れた情報を過信すると後々その情報が自分たちに牙を剥く
情報戦とは相手より多く情報を集めるのも重要だが、誤情報を相手に正しいと認識させればその時点で勝利なのだ
特に、戦力では劣るであろうこちらが情報まで誤ったものを使ってしまうと、勝利の芽は薄くなるどころか無くなってしまうだろう
「それじゃあ答えは一つじゃない?速攻しかないでしょ。国に本格的に準備されたら僕らなんて瞬殺だと思うよ」
「そうだ。だからその準備のために情報を集めている」
神柱の質問に対して俺はそう答えた
「いや……だから、情報を集めてる時間があるの?って聞いてるんだけど……」
「情報が無いと速攻で攻め入るなんて真似は出来ないだろう?」
「う~ん……そういうものなのか……」
まあ、納得してくれなくとも神柱には本気で参加してもらわないと困る
少なくとも奇襲において、須斎と同等かそれ以上の能力を持つこいつは、今回の調査、及びそこから繋がる襲撃での、役割は二番目くらいの重要度があるのだから
「そして、今後の予定についてだが、須斎と篠原が帰って来次第、官邸に奇襲をかける。その際、官房の方を混乱させる役回りの者が一人欲しいんだが……」
「分かった分かった……僕が行くよ」
名乗り出たのは伏原だ
これで信用を集めようということなのだろうか?
「よし、それならお前に頼んだ。だが、目的はあくまで陽動だ。一撃離脱でも構わないから注意を引くことを優先しろ」
「自分の安全と注意を引くことではどっちを優先したほうが良いのかな?」
安全か……
「その場合は一応安全を優先してくれ。お前の仕事は今回で終わりじゃないし、陽動は命をかけるほどの重要任務じゃない」
「りょーかい。安全な範囲で気を引くんだね」
これで配役が一人決まった
「さあ、配置を考えるのはあまり時間をかけたくない。情報が持ち帰られたときに備えて自分がどういった役割に付きたいのかを考えておいてくれ」
――――――――――――――――――――
よ~し……会議終わりっと
今回は参加してる感を出すために色々意見してみたから真面目に参加しているように見えたでしょ?
神柱家の末裔として、やる気がなくてもやる気を出しているように見せる練習は日頃からしているんだ
ん?神柱家のことは関係ないだろって?まあ、それはそうだよ
でも、僕は自分の祖父からそう教育されてるから実質神柱家の伝統と言っても良いんじゃないか?
そもそも、僕の両親が誰かなんてあんまり分からないし
(さて、それよりも今問題なのは……)
「僕の配置か……」
そんなこと言われても、あんまり思いつかないんだよな……
強いて言うなら、役に立ちそうな所、かな?
集団のために働くんなら難しい仕事は出来ないけど、城崎個人のためだったら出来る
なんだかんだ昔馴染みっていうところは大きい
三人組で遊んだときからずっと友達で居ることができているし
……高校に入ってからのあの冷え込んだ関係は友達と言えるのかな?
そう考えると、装備が降ってきて世の中が戦う方に変わったのも悪いことばかりじゃないのかな?
小学校のときのあの事に加えて、中学で変なデマを流されたせいで僕と城崎の関係は完全に冷え込んでいた
それがこうやって普通に会話できるようになってるんだから
まあ、結局はわだかまりのせいで前みたいに話すことはまだ出来ていないけど
「仲直り、か……」
どうやったら出来るんだろうね
保健室には全員とは言わないまでも、いま校内にいる主要な人の多くが集まった
とは言っても、会議なので数人だ
俺、神柱、伏原と、この部屋にもともと居た弘岡の合計四人が集まっている
「で?会議って何するのー」
話の火蓋を切ったのは伏原だ
何をすると言っても、今この状況を考えれば分かると思うんだが
「官房、及び官邸への侵入と調査についてだ。この前攻めてきた連中の親玉が官房長官だったらしいからな」
伏原の顔が少し固まったように見えた
「なるほど、それで、官邸か。想像以上にヤバそうな理由だねー。どうにかして協力は取り付けられないの?」
「あ、それ、僕も思った。国と戦うのは流石に大変じゃない?」
今度は神柱も賛成してきた
その意見には聞くべきところもあるが、とある理由から俺はその交渉は始める前から失敗していると考えている
「忘れたのか?既にその勢力の手のものに攻め入られているんだぞ。攻め込んできた相手と交渉が出来ると思っているのか?」
それを言うと、納得したように二人は黙った
神柱は本当に納得したように見えるが、伏原の方は最初から分かっていたんじゃ無いだろうか?
俺では未だにこいつの考えが理解出来ないし、予測などもっての他だから何とも言えないがな
「それで、具体的にはどんな情報を集めてるの?」
そう聞いてきたのは弘岡だ
普段から話すことの少ないこいつだが、会議などの場では発言することが多い
「頼んでいる内容は機密情報だからあまり細かいことは言えないが、主には内部構造や相手の幹部がどこにいるかといったものだな」
他にも警備員の巡回ルートや交代時間なども探らせているが、それは変更されたら情報価値が消えるのであくまで参考程度だ
手に入れた情報を過信すると後々その情報が自分たちに牙を剥く
情報戦とは相手より多く情報を集めるのも重要だが、誤情報を相手に正しいと認識させればその時点で勝利なのだ
特に、戦力では劣るであろうこちらが情報まで誤ったものを使ってしまうと、勝利の芽は薄くなるどころか無くなってしまうだろう
「それじゃあ答えは一つじゃない?速攻しかないでしょ。国に本格的に準備されたら僕らなんて瞬殺だと思うよ」
「そうだ。だからその準備のために情報を集めている」
神柱の質問に対して俺はそう答えた
「いや……だから、情報を集めてる時間があるの?って聞いてるんだけど……」
「情報が無いと速攻で攻め入るなんて真似は出来ないだろう?」
「う~ん……そういうものなのか……」
まあ、納得してくれなくとも神柱には本気で参加してもらわないと困る
少なくとも奇襲において、須斎と同等かそれ以上の能力を持つこいつは、今回の調査、及びそこから繋がる襲撃での、役割は二番目くらいの重要度があるのだから
「そして、今後の予定についてだが、須斎と篠原が帰って来次第、官邸に奇襲をかける。その際、官房の方を混乱させる役回りの者が一人欲しいんだが……」
「分かった分かった……僕が行くよ」
名乗り出たのは伏原だ
これで信用を集めようということなのだろうか?
「よし、それならお前に頼んだ。だが、目的はあくまで陽動だ。一撃離脱でも構わないから注意を引くことを優先しろ」
「自分の安全と注意を引くことではどっちを優先したほうが良いのかな?」
安全か……
「その場合は一応安全を優先してくれ。お前の仕事は今回で終わりじゃないし、陽動は命をかけるほどの重要任務じゃない」
「りょーかい。安全な範囲で気を引くんだね」
これで配役が一人決まった
「さあ、配置を考えるのはあまり時間をかけたくない。情報が持ち帰られたときに備えて自分がどういった役割に付きたいのかを考えておいてくれ」
――――――――――――――――――――
よ~し……会議終わりっと
今回は参加してる感を出すために色々意見してみたから真面目に参加しているように見えたでしょ?
神柱家の末裔として、やる気がなくてもやる気を出しているように見せる練習は日頃からしているんだ
ん?神柱家のことは関係ないだろって?まあ、それはそうだよ
でも、僕は自分の祖父からそう教育されてるから実質神柱家の伝統と言っても良いんじゃないか?
そもそも、僕の両親が誰かなんてあんまり分からないし
(さて、それよりも今問題なのは……)
「僕の配置か……」
そんなこと言われても、あんまり思いつかないんだよな……
強いて言うなら、役に立ちそうな所、かな?
集団のために働くんなら難しい仕事は出来ないけど、城崎個人のためだったら出来る
なんだかんだ昔馴染みっていうところは大きい
三人組で遊んだときからずっと友達で居ることができているし
……高校に入ってからのあの冷え込んだ関係は友達と言えるのかな?
そう考えると、装備が降ってきて世の中が戦う方に変わったのも悪いことばかりじゃないのかな?
小学校のときのあの事に加えて、中学で変なデマを流されたせいで僕と城崎の関係は完全に冷え込んでいた
それがこうやって普通に会話できるようになってるんだから
まあ、結局はわだかまりのせいで前みたいに話すことはまだ出来ていないけど
「仲直り、か……」
どうやったら出来るんだろうね
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