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東京事編
第三十九話 撤退
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ヤバ!
敵をどうにかしようと倒した人から取った銃を使ったけど
撃ってたら味方にも思いっきり当たったみたい
でもさぁ、仕方ないじゃん
僕は銃器の扱いには慣れてないし
ちょっとくらい他人に当たっちゃうことも有るかもよ?
ってか、それよりも大事なことがある
「……ちゃんと倒せてるのかな?」
見たところ、僕の撃った銃は当たってたみたいだけど
警備員って防弾ジャケットみたいなのは着るのかな?
実際に弾が当たってたらもうちょっと血が出てそうなものだけど
ただ、いま重要なのはこの人に弾が当たっていたかというよりは、継戦能力が有るかどうかだ
「よく分からないけど、頭に十発か二十発撃ち込んどけば大丈夫でしょ」
そう言って、今度はしっかり相手の頭に狙いを定めて銃を撃った
……ちゃんと狙いを定めた上で三十発くらいは撃った気がするけど
弾痕は五、六発分くらいしか無い
僕の銃の腕前は相当なものだな
さて、もう一人は……
振り返った時、僕の持っている銃がふっ飛ばされた
え?足!?
足だ。さっきまで銃があったはずなのに何故か誰かの足がある
蹴られた?誰に?
あ、そういえばもう一人敵が居たな
すっかり忘れてたや
どうしよう……武器が無くなっちゃった
篠原クンは……あの怪我じゃあ動くのは厳しそうだな……
僕一人で脱出しても、あの子が情報を漏らしたら僕の立場が悪くなる
そもそも、一人で十分な撹乱担当に僕も動員されたのは、彼が勝手に捕まって情報を漏らさないか見張るところもある、と僕は思っている
多分だけど、城崎クンはまだ篠原クンのことを信用していないような気がする
この辺りのことは気になるけど、今はそれよりもこの状況を切り抜けるほうが優先だ
相手の動きをよーく見て……
少しの予兆も見逃さずに
……動いた!
それを確認すると僕はすぐに相手の懐に潜り込んだ
銃というのは、中距離以上の戦いでは絶対的な力を持つが、近距離ではただの取り回しの効かない長い棒だ
銃口よりも近くに顔を持ってくれば弾丸は当たらないし
片手で銃身を攫んで銃を強引に下に投げつける
そして、万が一にもそれを拾われて使われないように足で踏んで砲塔の部分を曲げておく
これで、銃なんていう誰でも使える超危険武器は無くなって、戦いのレベルは戦争から喧嘩へと何ランクも下がった
相手の顔面を思いっきり殴ってみる
痛ぁ……
そっか……頭蓋骨って無茶苦茶硬いからかえって殴ったほうが痛いのか……
「伏見先輩!僕は良いのでもうそろそろ脱出して下さい!」
何!?もうそんな状況なのか?
緊急時の為に隠語をいくつか考えておいて良かった
なら、この人をさっさと倒しますか!
今度は側頭葉を横から叩くように蹴りを入れる
頭の重心の位置をずらせればこの蹴りの役割は果たしたことになる
少し頭が揺れた様子の相手の首に腕を回して締め上げる
意識を落とすには殴るよりも血流を止めたほうが何十倍も楽だ
「……よし、出来た」
相手が倒れたのを確認して、篠原クンの所に向かう
「今回は流石にこれ以上の行動は無理だ!一応は敵も無力化出来たし、撤退しよう」
今回の戦いで敗れたときのことも考えて、コロコロしたりはしていない
……まあ、一応気絶はしたみたいだし、大丈夫でしょ
あれが演技なのだとしたら、あの人は警備員や自衛隊員ではなく、役者をやっているはずだ
「えっと……確か出口は……」
篠原クンがそんなことをほざいていたので、少し諭しておくとしよう
「出口?どういうこと?」
「……いや、でも……撤退するんでしょう?」
まさか、僕たち潜入担当が出口から出るとか思ってるんじゃないだろうな
不法侵入者が出入り口から『お邪魔しました~』で帰れるわけないだろう
「ここで良いかな……」
そう呟きながら窓を一つ選び、足で強引に開けた
「?!」
「さ、ここから出るよ」
普通の窓を開けたくらいならこんなには驚きはしないだろう
見た目はかなり硬そうな窓を蹴破ったからこんなにも驚かれている
まあこれ、重厚な見た目の割に強度はアルミサッシと大して変わらないみたいなんだけど
いや、アルミサッシでも強度は結構あるのか
説明するのが面倒臭いと思ってたけど、よく考えてみると説明しないで誤解される方が面倒だな
「一応言っておくけど、これは僕の素の力じゃないからね」
装備を使ったおかげだということをしっかり伝えておこう
「あ、そうなんですね……」
何か手応えが無いな……
「まあ、誤解は後で解くとして、今は脱出しようか」
「……それもそうですね」
そう言って、未だに騒がしい官房を後目に僕たちは割れた窓から外に出た
――――――――――――――――――――
ムクリ、と頭に弾丸を受けた方の警備員が起き上がった
「こいつは……気絶してるか……」
そう呟いたあと、懐から無線を取り出す
「……ああ、敵が脱出した。名前は伏見だと言っていたが、偽名の可能性もある。……そうだ。これからどうするかはそちらの判断に任せる」
その後、しばらく話したあと、結論が出たかのように無線を仕舞った
「しかし、あの人の感は当たるものなのだな。正直なところ、俺には荒唐無稽なことを言っているようにしか聞こえなかったぞ」
そう言って、大勢の警備員が集まっている方向へとゆっくり歩き出した
敵をどうにかしようと倒した人から取った銃を使ったけど
撃ってたら味方にも思いっきり当たったみたい
でもさぁ、仕方ないじゃん
僕は銃器の扱いには慣れてないし
ちょっとくらい他人に当たっちゃうことも有るかもよ?
ってか、それよりも大事なことがある
「……ちゃんと倒せてるのかな?」
見たところ、僕の撃った銃は当たってたみたいだけど
警備員って防弾ジャケットみたいなのは着るのかな?
実際に弾が当たってたらもうちょっと血が出てそうなものだけど
ただ、いま重要なのはこの人に弾が当たっていたかというよりは、継戦能力が有るかどうかだ
「よく分からないけど、頭に十発か二十発撃ち込んどけば大丈夫でしょ」
そう言って、今度はしっかり相手の頭に狙いを定めて銃を撃った
……ちゃんと狙いを定めた上で三十発くらいは撃った気がするけど
弾痕は五、六発分くらいしか無い
僕の銃の腕前は相当なものだな
さて、もう一人は……
振り返った時、僕の持っている銃がふっ飛ばされた
え?足!?
足だ。さっきまで銃があったはずなのに何故か誰かの足がある
蹴られた?誰に?
あ、そういえばもう一人敵が居たな
すっかり忘れてたや
どうしよう……武器が無くなっちゃった
篠原クンは……あの怪我じゃあ動くのは厳しそうだな……
僕一人で脱出しても、あの子が情報を漏らしたら僕の立場が悪くなる
そもそも、一人で十分な撹乱担当に僕も動員されたのは、彼が勝手に捕まって情報を漏らさないか見張るところもある、と僕は思っている
多分だけど、城崎クンはまだ篠原クンのことを信用していないような気がする
この辺りのことは気になるけど、今はそれよりもこの状況を切り抜けるほうが優先だ
相手の動きをよーく見て……
少しの予兆も見逃さずに
……動いた!
それを確認すると僕はすぐに相手の懐に潜り込んだ
銃というのは、中距離以上の戦いでは絶対的な力を持つが、近距離ではただの取り回しの効かない長い棒だ
銃口よりも近くに顔を持ってくれば弾丸は当たらないし
片手で銃身を攫んで銃を強引に下に投げつける
そして、万が一にもそれを拾われて使われないように足で踏んで砲塔の部分を曲げておく
これで、銃なんていう誰でも使える超危険武器は無くなって、戦いのレベルは戦争から喧嘩へと何ランクも下がった
相手の顔面を思いっきり殴ってみる
痛ぁ……
そっか……頭蓋骨って無茶苦茶硬いからかえって殴ったほうが痛いのか……
「伏見先輩!僕は良いのでもうそろそろ脱出して下さい!」
何!?もうそんな状況なのか?
緊急時の為に隠語をいくつか考えておいて良かった
なら、この人をさっさと倒しますか!
今度は側頭葉を横から叩くように蹴りを入れる
頭の重心の位置をずらせればこの蹴りの役割は果たしたことになる
少し頭が揺れた様子の相手の首に腕を回して締め上げる
意識を落とすには殴るよりも血流を止めたほうが何十倍も楽だ
「……よし、出来た」
相手が倒れたのを確認して、篠原クンの所に向かう
「今回は流石にこれ以上の行動は無理だ!一応は敵も無力化出来たし、撤退しよう」
今回の戦いで敗れたときのことも考えて、コロコロしたりはしていない
……まあ、一応気絶はしたみたいだし、大丈夫でしょ
あれが演技なのだとしたら、あの人は警備員や自衛隊員ではなく、役者をやっているはずだ
「えっと……確か出口は……」
篠原クンがそんなことをほざいていたので、少し諭しておくとしよう
「出口?どういうこと?」
「……いや、でも……撤退するんでしょう?」
まさか、僕たち潜入担当が出口から出るとか思ってるんじゃないだろうな
不法侵入者が出入り口から『お邪魔しました~』で帰れるわけないだろう
「ここで良いかな……」
そう呟きながら窓を一つ選び、足で強引に開けた
「?!」
「さ、ここから出るよ」
普通の窓を開けたくらいならこんなには驚きはしないだろう
見た目はかなり硬そうな窓を蹴破ったからこんなにも驚かれている
まあこれ、重厚な見た目の割に強度はアルミサッシと大して変わらないみたいなんだけど
いや、アルミサッシでも強度は結構あるのか
説明するのが面倒臭いと思ってたけど、よく考えてみると説明しないで誤解される方が面倒だな
「一応言っておくけど、これは僕の素の力じゃないからね」
装備を使ったおかげだということをしっかり伝えておこう
「あ、そうなんですね……」
何か手応えが無いな……
「まあ、誤解は後で解くとして、今は脱出しようか」
「……それもそうですね」
そう言って、未だに騒がしい官房を後目に僕たちは割れた窓から外に出た
――――――――――――――――――――
ムクリ、と頭に弾丸を受けた方の警備員が起き上がった
「こいつは……気絶してるか……」
そう呟いたあと、懐から無線を取り出す
「……ああ、敵が脱出した。名前は伏見だと言っていたが、偽名の可能性もある。……そうだ。これからどうするかはそちらの判断に任せる」
その後、しばらく話したあと、結論が出たかのように無線を仕舞った
「しかし、あの人の感は当たるものなのだな。正直なところ、俺には荒唐無稽なことを言っているようにしか聞こえなかったぞ」
そう言って、大勢の警備員が集まっている方向へとゆっくり歩き出した
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