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怪奇編
第三十四話 怪異
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「そもそも、俺達が何を怪異と呼んでいるのかお前は知っているのか?」
まず、城崎は怪異の定義について話し出す
「俺達――少なくとも俺は、一般的に言われているのとは少し違う方法で【怪異】という言葉を使っている」
そうなんだ……
僕はてっきり普通に使われている言葉としての【怪異】と同じだと思ってたんだけど……
「具体的に、どう違うの?」
そう聞いてみると、城崎はちゃんと答えてくれた
「まず、俺は『空想上のものが人間の噂によって具現化したもの』として【怪異】という言葉を使っている」
なるほど
じゃあ、ある意味では神様関係の話も怪異にはなり得るのか
「そこで神隠しの伝承を探してみると、こんな記述が見つかった」
そう言って、古文書に載っている、ある記述を見せた
「『芸術的才能が高い人は神が気に入って連れて行く』?」
「そうだ。鎌倉以前の作品には時々そういったことが書かれている」
なるほど
才能のあふれる人に短命が多いっていうイメージに理由を与えた感じか
「他にも、キリスト圏では死ぬことを『天に召される』と表現することがある」
そうなんだ
確かに、キリスト圏では死ぬことは神の下に連れて行かれることと同義っていうのは聞いたことが有るな……
「こういったことから、死ぬことや行方が分からなくなることを『神に連れて行かれる』と考えている人は多い。そして、他国の政府と協力して行方不明の情報を集めた」
そう言って、また新しい資料を手渡してくる
「それを見れば分かるが、多くの人間が行方不明になっている。そして、その中の大部分がモスクや協会といった『神聖な』場所の近くで行方を晦ましている」
ん?つまり……
「【怪異】によって神に連れて行かれた、ってこと?」
こんなことを言ったは良いものの、僕もいまいちよく分かっていない
そもそも、この場合【神】っていうのが何を指すのかも分からないし
多くの人が同じような一つの【神】を思い浮かべて居たらそれが具現化されるんだろうけど
一神教・多神教に偶像崇拝の許可・不許可と宗教によって神の姿というのはバラバラだ
大体決まっている怪談とは訳が違う
「その連れ去られた先についてはまだ調査中だ。もしかすると、本当に混乱に紛れて誘拐が多発しているだけかもしれないしな」
ただ、と前置きしてから言葉を紡ぐ
「一応、予想ができていない訳では無い」
「え?」
もう予測が出来てるの?
早いね……
「とは言っても、ただの妄想のようなものだがな……。恐らくだが、今回連れ去られた人は『多くの人が神域だと思っている場所』に連れていかれている」
神域だと……思っている?
「ちょっと待ってよ……それってつまり……」
「ああ、三大宗教の内の二つに加えてもう一つ大きな宗教の聖地のある場所、エルサレムだ」
――――――――――――――――――――
「エルサレム……かぁ……」
あの後、城崎と別れた僕はそのまま院に帰った
そうして、自分のベッドに寝転んで考える
教科書の中でしか聞いたことの無い地名だからね……
でも、そこが怪しいことを僕に話していたことからすると、もしかすると僕も『調査隊の護衛兼連絡係』みたいな感じで向かうことになるのかもしれない
まあ、その辺りはまたその時に考えた方が良いかな?
今はそれよりも梁について考えないと
僕の幼馴染みは城崎ともう一人居る
それが、石神梁だ
院長によると、僕や城崎を拾ったのとほぼ同時期に梁のことも拾ったらしい
だから、もしかしたら梁も何らかの改造を受けていたのかもしれない
ただ、その改造は梁の命を守ることは出来なかったみたいだけど
しかし……僕の覚えている限りでは、あの事故に不審な点なんて一切無かった
それだけ完璧に証拠を消しているっていうことなんだろうけど……
「あの時の事故の記録とか、警察に残っているのかな?」
権力闘争みたいなややこしいことが絡んでいるなら圧力をかけられて捨てた、みたいなこともあるかもしれないけど……
そうでも無ければ残っている筈だ
「警察署……とかで良いのかな?」
事故の起こった場所は東京都内だから警視庁に向かえば良いはずだ
思い立ったが吉日、早速向かってみよう
僕は近くのバス停に向かってドアを開けた
「あれ?神やん?もうどっか行くの~?」
すると、そこには芳枝ちゃんが居た
……ああ、そうか
そういえば芳枝ちゃん、まだ院に泊まっていたんだっけ?
すっかり忘れてた……
「どしたの~?何か返事くらいしてよ~」
どう答えようか……
「ああ、ごめんごめん……ちょっと考え事してて……」
ありきたりな言い訳だけど、芳枝ちゃんは納得してくれたみたいだ
「そうなんだ~……ところで、どこに行くの?」
でも、質問は止めてくれない
「いや~……ちょっと警察に……」
「警察?悪いことしたの~?それとも~言いがかりつけられたの~?」
結構しつこく聞いてくるな……
「実は……警視庁の管轄している事件でちょっと調べたいことがあるんだよね。時間も無いし、もう向かっても良い?」
もうこの際はっきり言ってしまおう
そうしたら芳枝ちゃんも分かってくれるはず……
だが、この時の僕は芳枝ちゃんの思考回路が分かっていなかったみたいだ
「え?なに?面白そ~!私も連れて行って~」
あれ?
連れて行くことになるの?
まず、城崎は怪異の定義について話し出す
「俺達――少なくとも俺は、一般的に言われているのとは少し違う方法で【怪異】という言葉を使っている」
そうなんだ……
僕はてっきり普通に使われている言葉としての【怪異】と同じだと思ってたんだけど……
「具体的に、どう違うの?」
そう聞いてみると、城崎はちゃんと答えてくれた
「まず、俺は『空想上のものが人間の噂によって具現化したもの』として【怪異】という言葉を使っている」
なるほど
じゃあ、ある意味では神様関係の話も怪異にはなり得るのか
「そこで神隠しの伝承を探してみると、こんな記述が見つかった」
そう言って、古文書に載っている、ある記述を見せた
「『芸術的才能が高い人は神が気に入って連れて行く』?」
「そうだ。鎌倉以前の作品には時々そういったことが書かれている」
なるほど
才能のあふれる人に短命が多いっていうイメージに理由を与えた感じか
「他にも、キリスト圏では死ぬことを『天に召される』と表現することがある」
そうなんだ
確かに、キリスト圏では死ぬことは神の下に連れて行かれることと同義っていうのは聞いたことが有るな……
「こういったことから、死ぬことや行方が分からなくなることを『神に連れて行かれる』と考えている人は多い。そして、他国の政府と協力して行方不明の情報を集めた」
そう言って、また新しい資料を手渡してくる
「それを見れば分かるが、多くの人間が行方不明になっている。そして、その中の大部分がモスクや協会といった『神聖な』場所の近くで行方を晦ましている」
ん?つまり……
「【怪異】によって神に連れて行かれた、ってこと?」
こんなことを言ったは良いものの、僕もいまいちよく分かっていない
そもそも、この場合【神】っていうのが何を指すのかも分からないし
多くの人が同じような一つの【神】を思い浮かべて居たらそれが具現化されるんだろうけど
一神教・多神教に偶像崇拝の許可・不許可と宗教によって神の姿というのはバラバラだ
大体決まっている怪談とは訳が違う
「その連れ去られた先についてはまだ調査中だ。もしかすると、本当に混乱に紛れて誘拐が多発しているだけかもしれないしな」
ただ、と前置きしてから言葉を紡ぐ
「一応、予想ができていない訳では無い」
「え?」
もう予測が出来てるの?
早いね……
「とは言っても、ただの妄想のようなものだがな……。恐らくだが、今回連れ去られた人は『多くの人が神域だと思っている場所』に連れていかれている」
神域だと……思っている?
「ちょっと待ってよ……それってつまり……」
「ああ、三大宗教の内の二つに加えてもう一つ大きな宗教の聖地のある場所、エルサレムだ」
――――――――――――――――――――
「エルサレム……かぁ……」
あの後、城崎と別れた僕はそのまま院に帰った
そうして、自分のベッドに寝転んで考える
教科書の中でしか聞いたことの無い地名だからね……
でも、そこが怪しいことを僕に話していたことからすると、もしかすると僕も『調査隊の護衛兼連絡係』みたいな感じで向かうことになるのかもしれない
まあ、その辺りはまたその時に考えた方が良いかな?
今はそれよりも梁について考えないと
僕の幼馴染みは城崎ともう一人居る
それが、石神梁だ
院長によると、僕や城崎を拾ったのとほぼ同時期に梁のことも拾ったらしい
だから、もしかしたら梁も何らかの改造を受けていたのかもしれない
ただ、その改造は梁の命を守ることは出来なかったみたいだけど
しかし……僕の覚えている限りでは、あの事故に不審な点なんて一切無かった
それだけ完璧に証拠を消しているっていうことなんだろうけど……
「あの時の事故の記録とか、警察に残っているのかな?」
権力闘争みたいなややこしいことが絡んでいるなら圧力をかけられて捨てた、みたいなこともあるかもしれないけど……
そうでも無ければ残っている筈だ
「警察署……とかで良いのかな?」
事故の起こった場所は東京都内だから警視庁に向かえば良いはずだ
思い立ったが吉日、早速向かってみよう
僕は近くのバス停に向かってドアを開けた
「あれ?神やん?もうどっか行くの~?」
すると、そこには芳枝ちゃんが居た
……ああ、そうか
そういえば芳枝ちゃん、まだ院に泊まっていたんだっけ?
すっかり忘れてた……
「どしたの~?何か返事くらいしてよ~」
どう答えようか……
「ああ、ごめんごめん……ちょっと考え事してて……」
ありきたりな言い訳だけど、芳枝ちゃんは納得してくれたみたいだ
「そうなんだ~……ところで、どこに行くの?」
でも、質問は止めてくれない
「いや~……ちょっと警察に……」
「警察?悪いことしたの~?それとも~言いがかりつけられたの~?」
結構しつこく聞いてくるな……
「実は……警視庁の管轄している事件でちょっと調べたいことがあるんだよね。時間も無いし、もう向かっても良い?」
もうこの際はっきり言ってしまおう
そうしたら芳枝ちゃんも分かってくれるはず……
だが、この時の僕は芳枝ちゃんの思考回路が分かっていなかったみたいだ
「え?なに?面白そ~!私も連れて行って~」
あれ?
連れて行くことになるの?
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