人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第四十五話 異変

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「で、その進捗はどう?ちゃんと皆に本当のことを気付かせることは出来てるの?」

まずは右端に座っている背の高い女性がそう言った

本当のことを気付かせる……宗教って言うより陰謀論とかそっちになるのかな?

まあ、僕からすると殆ど違いなんて無いようなものなんだけど

「こっちはそれなりに良い感じたよ~。最近はいくつか集団も作れてるからね~」

若い男がそう言った

集団を作る……その集団を媒介にして信仰を広げているのかな?

メモが出来ないから全部自分で覚えないといけないのがキツイな……

「私は少し苦戦していますかね……やはり知識層への啓示は時間が掛かりそうです。その分、刑事を行った後に得られる協力は大きいのですがね」

知識層への浸透も時間を掛ければなんとかなるかも……ってことかな?

だとしたら今の内に潰しておかないととんでも無く面倒なことになるぞ……

城崎のやつ……ギリギリじゃないか

もう少し時間に余裕を持ちたいんだけど……

まあ、今は文句は一旦置いておこう

それよりも、今はこの人達が何処に向かうのかを調べないと

多分だけど、このバーは実際には布教者の拠点じゃない

何でかって言うと、あまりにもバレやす過ぎる

確かに、敢えて隠さないことで秘密を守るっていう手法は有るけど、こんな風に誰でも入れてしまうと流石にバレる確率が上がる

今は気が抜けているのか、秘密に値することもガンガン喋っているけど、いつもこうだとはとても思えない

あんまり人に話が聞こえそうな場所で話すのは避けたいだろうから、そろそろ移動する頃だと思うんだけど……

「……では、そろそろ行きましょうか。この一週間の分の記録も纏めないといけませんし」

お、何か有るみたいだ

その次の瞬間、バーテンダーの後ろに黒い穴が空いた

この穴を利用するのだろうか

それでは、どうぞ

そう言って、一人ずつ入っていく

(あ、ヤバい。もしかしてこれ、早く入らないと置いていかれるやつか?)

だとしたら、今すぐ入らないと

(抜刀)

そう念じて、黒い穴の方に向かう

その前に立ってもう一度考える

この先、本当に安全なのか?

もちろん、仲間をわざわざ危険な所に行かせたりはしないだろうから、本来の用途で使えば、この黒い穴に危険性は殆ど無いのだろう

ただ、僕が入るときは時間の流れが少し違うから、安全とは断定できない

例えば、この穴が人を分子に分解してどこか遠くへ移動させてからそこで再び分子から人体を組み上げるものだとしよう

普通なら、この装備が人体を傷つけることは無いのだろう

でも、今の僕の場合は他の人と少し時間の流れが違うからそうとも言い切れない

もしかしたら、体の三分の一だけ転移した、みたいなことになるかもしれない

だから、加速状態で他人の装備の効果を受ける時は慎重にしないといけないんだけど……

かといって、このまま放っておいたら逃げられるのは明らかだしな……

仕方ない。思い切って飛び込んでみよう

そう思って、目の前の穴に飛び込む

その先には、どこまでも続く広い部屋が有った

――――――――――――――――――――

「……ん?何か変な感覚が……」

「あれ?どうしたの?」

バーテンさんが突然そんなことを言い出したから、少し不安になった

何か有ったのだろうか?

「一応、皆周りを警戒して。誰か隠れていないかとかも見ておいてね」

そう皆に伝える

これからに行くというのに変なのを連れて行く訳にはいかない

そうして、僕たちは部屋の中に誰か他の人が居ないかどうか隅から隅まで探した

「……居ない、か」

「気の所為だったんですかね……?」

どうもそうとは思えないんだけど……

かといって、このままずっと探し続けてもね……

時間も無限じゃないし

そろそろ諦めて予定通り聖域に向かった方が良いかな

「よし!じゃあ、気の所為だったってことで切り上げよ!これ以上探しても多分見つからないよ」

そう言って、皆を聖域に向かわせる

他の人達が入って、マスターと僕だけが残った部屋の中で僕はマスターにこう言った

「さっきはああ言ったけど、一応マスターの方でも誰か居た形跡が無いかどうか調べておいてね。ここを嗅ぎ付けられているなら、聖域に入られる前に集合場所を変えないといけないし」

「分かりました。今日のバーとしての営業が終わってから調べておきます」

そして、僕は聖域に入った

――――――――――――――――――――

「う~ん……全く分からないぞ」

変な空間に入ってから暫く歩いてみたけれど、特に何も見つからない

前後左右で考えると、前には遠くの方に壁があるらしいことは分かった

ただ、左右は分からないし、後ろの方に壁があるようには見えない

道に迷わないように刀で地面に印をつけているけど、今のところ印の付いている場所に戻ってきてはいない

つまり、装備を使ってループさせている訳では無いみたいだ

本当に何も無い空間なんだろうか……

「……あれ?もしかして、僕、結構ヤバくない?」

ここで、僕は自分がこのだだっ広い空間から脱出する方法を持ち合わせていないことに気が付いた

不味いな……こんなところで一生を終えるなんて嫌だぞ……

さっきの黒い穴が閉じる前に元の場所に戻らないと

そうして、僕は自分で付けた印を急いで辿っていった
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