人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第四十六話 脱走

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「……やっぱり居ないか」

先に聖域に入り込まれた可能性も考慮していたけど、居ないみたいだね

まあ、バーを探すのに結構時間を使ったから、その間に奥の方に行ったのかもしれないけど

少し探してみたいような気もするけど、先に礼拝だ

「じゃあ、いつも通りに並びましょうか」

一人がそう言った

そうして、僕たちは皆で柱の前に立つ

言葉は要らない

ただ祈り、願うだけで良い

それで現実が変わるということを僕たちは知っている

この場を見ても、少しずつ僕たちの夢の実現に近付いていることが分かる

そうして、僕たちはひび割れた柱の前での祈りを終えた

「この調子だと、その日も近そうね」

一人がそう言う

「うん。僕たちが生きている間に拝めそうだ」

僕はそう言った

そして、僕達は柱から離れる

「どうする?他の場所にも行く?」

祈る対象として扱われるのはここだけでは無い

他にも何本か柱が有って、そこで祈ることも有る

問題は今日、そちらにも行くのかどうかかだ

普段なら三本~四本くらいは行くんだけど

仮に今日、聖域に僕達以外の人が居るのならそいつに柱の場所を教えてはいけない

まあ、一本はバレているわけだから手遅れと言えば手遅れだけど

被害の拡大を減らすということは重要だ

「……帰りましょう。今日は何かと不穏なことが起こっています。何というか……このまま普段通りに過ごしていると大きな失敗をしてしまうような気がするというか……」

一人がそう言う

すると、皆帰りたがるような雰囲気になってきた

「じゃあ、僕がマスターを呼ぶから、皆で帰るよ」

そうして、僕は自分の力を使ってマスターに連絡する

「……よし、じゃあ皆、ここに集まって」

そう言って僕は自分の足元を指差した

皆が僕の元に集まって、そこに黒い穴が開く

そして、僕達は先程のバーに戻ってきていた

「皆さん。おかえりなさい」

マスターがグラスを棚に仕舞いながらそう告げる

「どうでした?ちゃんと祈れましたか?」

「ええ。しっかりね」

一人がそう答える

この場では僕達に名前は要らない

個体としての意味は無いんだ

ただ、マスターはバーテンダーとして、そして、扉として重要な役割を果たしているけどね

だから、マスターは特別な立ち位置にある

「では、今日はこの辺りで解散ということで」

そのマスターがそう言って、祈りの会はお開きになった

僕とマスター以外が出て行き、部屋に再び二人で残される

「それで、痕跡は?」

「結構有りましたよ。こちらを見て下さい」

そう言って、僕をカウンター席の逆側にある机に連れて行く

「まず、この机が普段は木目に沿って並べられていることはご存知ですよね?」

「うん。前からそういうところに拘ってるってよく自慢してたしね」

この話をしたってことは……

「明らかにズレています。お客さんが席を立つたびに直しているというのに」

やっぱりか……

「経路とかは分かった?」

「見たところ、排気口のような特殊な経路は使っていませんね。何か能力ちからを使ったのか、それとも……」

マスターはその部分が少し気になるみたいだ

「僕も調べるの、手伝おうか?」

「そうですね……人では欲しいですし、お願いします」

その後、分担を決めて、僕がバーの外を調べることになった

(しかし……早く見つけないとな……)

もうすぐで僕達の宿願が叶いそうだというのに

こんなのを放っておいたら支援してくれている団体に示しがつかない

そして、ドアを開ける

すると、そこでは先程別れたばかりの仲間たちが横たわっていた

「え?」

そして、僕も首に痛みを感じて、そこに加わることとなった

――――――――――――――――――――

「……ふぅ、これで大体の敵は倒せたかな?」

バーから出て来た人を倒して僕はこう言った

最初は出入り口っぽいことをしているバーテンダーさんを倒して残りの人達をあの変な空間に閉じ込めようと思ったんだけど……

もしも他に何か脱出手段を持たれていたら、ここに居た人達の大半を取り逃がすことになる

それは流石に不味いと思って他の人達が帰ってくるまで待ったが、正解だったみたいだ

後はあのバーテンダーさんを倒してしまえば終わりだ

そして、バーの中に入るが、誰も居なかった

(……やらかしたかな?)

僕の元々の目的は布教が出来る人を出来るだけたくさん倒すことだけど……

バーテンダーさんの装備らしき力を見た後だと、流石にあの人をどうにかするのが最優先事項のように思える

その人を逃してしまうのはかなり大きな失敗のような気がしてきた……

「近くに居るかな……?」

まだ僕が走ってどうにかなる範囲内にいるなら一刻も早く見つけて捕まえないと

ただ、殺さずに拘束っていうのは難しいかもね……

「一応、このバーの中も探してみようかな?」

もしかしたら奥に居るだけかもしれないし

そうして、僕はバーの奥に入っていく

(?あれは……)

物凄くゆっくりだが、黒い穴の中に足のつま先が消えていくのが見えた

(追いかけないと!)

すぐに向かうが、それと同時に穴は消えてしまった

「……どうしよう」

完全に逃げられたな……

取り敢えず城崎には報告するとして

僕が今出来ることを一つでも考えておかないと……

特殊回線で城崎に情報を伝えてから、僕はこれからやることについて考え始めた
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