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人類戦線編
第二十一話 予定変更
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取り出した棒から無数の紐が伸びる
そして、伸びた紐が一本ずつ土の中に入っていった
(本来軍基地は国の所有物だから、無断でこのようなことをするのは許されないんだが……)
カルプ一等兵が今やっていることは基地の所有権(の一部)を一時的に個人に移譲することだ
こういうことをやる時は、本来は総司令部に許可を求めなくてはいけないのだが……
今回はそんなことも言っていられない
緊急避難という形でに使わせてもらおう
「大丈夫そうか?」
「まあ、相手が抵抗してきているのが分かりますから……その力の強さ次第ですかね」
カルプは目を閉じながらそう答えてくれた
(話しかけないでおくか)
見たところ、この行動には集中力を使うようだ
私が不必要に話しかけると邪魔になるかもしれなち
(さて、相手はこの行動に対してどう出るか……)
司令室のある方向に視線を向ける
すると、別の場所から爆弾と思われるものが降ってきた
(まずい!)
カルプを抱えて大急ぎで飛び立つ
「ちょっと!今集中してたんですけど?!」
「そんなことを言っている場合ではない!それに、お前の特殊武器の性質上、ここで離れたからといっても全く無駄になる訳では無いのだろう?!」
そりゃあそうですけど……と不満を残しながらも従う素振りを見せる
その直後、先程まで私達の居た場所に数発のグレネードが着弾し、地面を抉り取る
「仕方無い。一旦棒を引っこ抜け。このままでは分岐した棒が邪魔になってすぐに動けなくなる」
「それをしたらこの土地の掌握がさらに遠退くんですが……」
「構わん。背に腹は代えられない」
私の言葉に対して、カルプは納得はいかないもののある程度の合理性を見出したようだ
地面から無数の細長いパイプが出てきて、カルプが左手で掴んでいる長い棒に吸い込まれていく
地面と繋がっている部分が無くなったおかげで私も動きやすくなり、次の攻撃が来るまでにその場から距離を取ることが出来た
少し岩の下に隠れて一息つく
「しかし、どうやら相手としてもお前の行動は容認出来無いものだったらしいな」
そうでなければあそこまで大掛かりな攻撃はしないだろう
「そりゃあ厄介に思っていなければ僕が地面に突っ込んだ時に抵抗なんてしませんよ……もしかして、あの時の言葉を信じてなかったんですか?」
「ああ、正直なことを言うとお前のことが信頼できる人間なのか分からなかったからな」
しかし……と口に出して先程まで私達が居た方向に目を向ける
「これで先程置いてきた衛生兵は確実に死んだだろうな」
あの局面で急に意識を取り戻したとしても、爆弾を避けれるようには思えない
「そうでしょうね……まあ、置いてきた身で感傷に浸るのも変な話ですが」
「それもそうだな。今は生き残るために必要なことについて考えるか」
気持ちを落ち着かせるために二人で軽く話してから、この事態を打開する策を考える
相手から捕捉されている可能性が高い以上、先程のようにじっくりと時間をかけて特殊武器を利用することは出来ないだろう
(こいつの特殊武器を利用すれば、武器自身の表面から十センチ程の範囲にある固体を自在に操ることが出来る)
カルプの使う棒は全長が数十メートルにも及び、枝分かれを繰り返すのだが、普段は持ち運びに不便な為一本の棒のようにして仕舞っている
特殊武器の性質上、使用する時は表面積を広げる必要が有り、それには結構な時間を要する
だから向こうがこちらを警戒している内はそんな時間を取れないので使えない
(ならば、少なくとも相手の目を他の所に向けさせる位のことはしなくてはならないか……)
少し危険だが、私がやるしかない
「そこで待っていろ。少し相手の注意を引き付けてくる」
首に液体を注射しながらそう伝える
「……ちゃんと帰ってきてくださいよ。僕、自分で考えて行動するの苦手なんで、他人に指示されないと動けませんから」
その言葉を背に私は岩陰から飛び出した
――――――――――――――――――――――――
「出て来たか」
面倒な行動をしてくる相手がいたからな
倒せなくてもその行動を阻害する目的で攻撃をしておいた
(目当ての相手とは違うか……)
相手の内二人を見失った為、探していたがその内の一人がどこからともなく現れた
そのまま人間とは思えない動きを見せて俺の居る方に近付いてくる
そいつを無視し、その相手が現れた周辺の探索を行う
(ただ動きが多少速い程度の人間に時間を使う価値は無い)
それよりも俺のこの場における支配能力を奪ってくる相手への対応を優先して……
(っ?!これは!)
現れた女が隠れていた場所を探り当てる為にその女の残した痕跡を探っている内に驚くべきことに気付く
(こいつ……装備由来の薬剤を服用しているのか?)
「……多少予定は狂うが、仕方無い」
薬剤等といった『他人を支援できる』装備は貴重だ
俺も今まで一つの例しか聞いたことがない
こいつがそういった装備を持っているのだとしたら下手をすればこの基地一つ分くらいの価値はある
(最低でも死体から装備の回収、出来れば尋問して使い方まで知りたい)
第一目標を変更し、今も俺の視界の端を飛び回っている女に視線を向けた
「確保だ」
そして、伸びた紐が一本ずつ土の中に入っていった
(本来軍基地は国の所有物だから、無断でこのようなことをするのは許されないんだが……)
カルプ一等兵が今やっていることは基地の所有権(の一部)を一時的に個人に移譲することだ
こういうことをやる時は、本来は総司令部に許可を求めなくてはいけないのだが……
今回はそんなことも言っていられない
緊急避難という形でに使わせてもらおう
「大丈夫そうか?」
「まあ、相手が抵抗してきているのが分かりますから……その力の強さ次第ですかね」
カルプは目を閉じながらそう答えてくれた
(話しかけないでおくか)
見たところ、この行動には集中力を使うようだ
私が不必要に話しかけると邪魔になるかもしれなち
(さて、相手はこの行動に対してどう出るか……)
司令室のある方向に視線を向ける
すると、別の場所から爆弾と思われるものが降ってきた
(まずい!)
カルプを抱えて大急ぎで飛び立つ
「ちょっと!今集中してたんですけど?!」
「そんなことを言っている場合ではない!それに、お前の特殊武器の性質上、ここで離れたからといっても全く無駄になる訳では無いのだろう?!」
そりゃあそうですけど……と不満を残しながらも従う素振りを見せる
その直後、先程まで私達の居た場所に数発のグレネードが着弾し、地面を抉り取る
「仕方無い。一旦棒を引っこ抜け。このままでは分岐した棒が邪魔になってすぐに動けなくなる」
「それをしたらこの土地の掌握がさらに遠退くんですが……」
「構わん。背に腹は代えられない」
私の言葉に対して、カルプは納得はいかないもののある程度の合理性を見出したようだ
地面から無数の細長いパイプが出てきて、カルプが左手で掴んでいる長い棒に吸い込まれていく
地面と繋がっている部分が無くなったおかげで私も動きやすくなり、次の攻撃が来るまでにその場から距離を取ることが出来た
少し岩の下に隠れて一息つく
「しかし、どうやら相手としてもお前の行動は容認出来無いものだったらしいな」
そうでなければあそこまで大掛かりな攻撃はしないだろう
「そりゃあ厄介に思っていなければ僕が地面に突っ込んだ時に抵抗なんてしませんよ……もしかして、あの時の言葉を信じてなかったんですか?」
「ああ、正直なことを言うとお前のことが信頼できる人間なのか分からなかったからな」
しかし……と口に出して先程まで私達が居た方向に目を向ける
「これで先程置いてきた衛生兵は確実に死んだだろうな」
あの局面で急に意識を取り戻したとしても、爆弾を避けれるようには思えない
「そうでしょうね……まあ、置いてきた身で感傷に浸るのも変な話ですが」
「それもそうだな。今は生き残るために必要なことについて考えるか」
気持ちを落ち着かせるために二人で軽く話してから、この事態を打開する策を考える
相手から捕捉されている可能性が高い以上、先程のようにじっくりと時間をかけて特殊武器を利用することは出来ないだろう
(こいつの特殊武器を利用すれば、武器自身の表面から十センチ程の範囲にある固体を自在に操ることが出来る)
カルプの使う棒は全長が数十メートルにも及び、枝分かれを繰り返すのだが、普段は持ち運びに不便な為一本の棒のようにして仕舞っている
特殊武器の性質上、使用する時は表面積を広げる必要が有り、それには結構な時間を要する
だから向こうがこちらを警戒している内はそんな時間を取れないので使えない
(ならば、少なくとも相手の目を他の所に向けさせる位のことはしなくてはならないか……)
少し危険だが、私がやるしかない
「そこで待っていろ。少し相手の注意を引き付けてくる」
首に液体を注射しながらそう伝える
「……ちゃんと帰ってきてくださいよ。僕、自分で考えて行動するの苦手なんで、他人に指示されないと動けませんから」
その言葉を背に私は岩陰から飛び出した
――――――――――――――――――――――――
「出て来たか」
面倒な行動をしてくる相手がいたからな
倒せなくてもその行動を阻害する目的で攻撃をしておいた
(目当ての相手とは違うか……)
相手の内二人を見失った為、探していたがその内の一人がどこからともなく現れた
そのまま人間とは思えない動きを見せて俺の居る方に近付いてくる
そいつを無視し、その相手が現れた周辺の探索を行う
(ただ動きが多少速い程度の人間に時間を使う価値は無い)
それよりも俺のこの場における支配能力を奪ってくる相手への対応を優先して……
(っ?!これは!)
現れた女が隠れていた場所を探り当てる為にその女の残した痕跡を探っている内に驚くべきことに気付く
(こいつ……装備由来の薬剤を服用しているのか?)
「……多少予定は狂うが、仕方無い」
薬剤等といった『他人を支援できる』装備は貴重だ
俺も今まで一つの例しか聞いたことがない
こいつがそういった装備を持っているのだとしたら下手をすればこの基地一つ分くらいの価値はある
(最低でも死体から装備の回収、出来れば尋問して使い方まで知りたい)
第一目標を変更し、今も俺の視界の端を飛び回っている女に視線を向けた
「確保だ」
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