人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第二十二話 対話

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(……?釣れたか?)

正食な所、向こうがカルプを放置して私に食いついてくるとは思っていなかった

しかし、どういう訳かは分からないが相手は私の対応を優先したらしい

(理由が分から無いのは不気味だが、今は感謝するとしよう)

こちらに向かって来た大岩を避けながらそう決めた

そして、相手が居ると思われる方向に向けて空を蹴る

「後どのくらい時間を稼げば良いものか……」

以前行った訓練では、カルプが一先ず自分たちが休める程度の範囲を掌握するには十五分程かかっていた

今回は相手からの妨害もあるだろうからその1.5倍程と見て……二十数分か

(今のままでは少々厳しいな……)

多少のリスクは取ってでもを使うべきだろうか?

(いや、時期尚早か)

ここで私が死ぬと稼げる時間も短くなるだろう

そうならない為にも自分の生存は優先事項と捉えておくか

今までの【相手の注意を引き付けるための派手な動き】から【自分の生存も重視する安全な動き】に切り替えて行動を再開する

それとほぼ同時に、相手から飛んでくる武器の種類が切り替わっていった

地形を抉り取るようなグレネードから視界を遮る煙弾へ

こちらを焼き殺す気が目に見えて分かる火炎放射器から義絶させるための催眠ガスへ

(そしてこの弾速……実弾では無いな)

一体何が理由で非殺傷の武器に切り替えたのか、私には全く分からない

たが、相手にはこちら、というより私を殺す気が無いのは事実のようだ

少なくとも、今の内は

(……どうする?もし仮に相手に戦意がないのなら交渉の余地も生まれてくるが……)

そもそも、私達は国に尽くすための軍隊では無い

金で動く、言わば傭兵として既知の責任者から基地の警備を任された身だ

契約期間中に仕事を投げ出すのは褒められた行動では無いが、司令室周りを見る限り、私達に依頼を出した基地の上層部が生き残っているのかも怪しい

仮に相手が何らかの理由で上層部と揉めていたとしても、私達にとっては契約範囲外のことなので知らなかったと言えば……何とかなるか?

一先ず対話を試して見る価値は……有るか

問題はどうやって対話をするか、だ

少なくとも、向こうがこちらに攻撃をしている今の内はこちらから対話を提案することなど不可能だ

対話の為に近付いたら却って警戒されかねない

また、両手を上げる等の降伏を示すポーズもやらない方が良いだろう

相手が常にこちらを見ていれば効果は有るが、そんなことをせずに範囲攻撃ばかりをしているのだとしたらモロに攻撃を食らってしまう

だから、仕掛けるとしたら相手の攻撃が一時的に止んだ瞬間

出来れば監視カメラの前で降伏を知らせるのが良いだろうか……

相手が確実に見ているであろう場所となるとかなり限られてくる

相手が攻撃を止めるまでだから探す時間も多くは無い

探せる範囲は限られるが……

(出来るとしたら、ここか?)

何とか一つだけその賭けが出来そうな場所を見つけることが出来た

後は相手の攻撃が止むのを待つだけだが……

(今だ!)

暫く耐えていると、相手が少しの間だけ攻撃を止める瞬間があった

その間に急いでカメラの前に移動する

「話がしたい!」

――――――――――――――――――――――

相手を攻撃している中、頭がクラクラしてきた為少し休憩していたら、その間に相手から交渉が持ちかけられてきた

「……聞くだけ聞こう」

マイク越しにそう言って一旦は攻撃を停止する

他の敵に不穏な動きが無いかを注視しながらその話を聞く

「そもそも、私に積極的なまでの戦意は無い。依頼されたことの為あなたと戦っていた。そちらに戦意が無いのなら投降することも視野に入れている。この方針は後々部下や同僚たちにも伝える予定だ」

投稿をする奴の態度としては随分と上からだが

それも投稿する際の条件の交渉で引き下がるつもりは無いという意思表示か

「成程、その間他の軍人達がこちらを攻撃してこないという保証は?」

「無い。だか、少なくともこの基地に配備されている者達の中には交渉中の敵に攻撃を仕掛ける程何も考えていないと思うぞ」

その言葉を聞いて考え込む

(俺としてはこいつ、というよりこいつが使っていると考えられる装備を持ち主せつめいしょ付きで手に入れることが出来るから良い条件ではある)

海の上にいる敵にも対処しなければいけない現状を考えると、島の中に居る敵へ割くリソースは出来るだけ減らしておきたい

少なくとも、保留のような関係は築いておくべきだろうか……

「……一旦その場で止まっていろ。他の所からお前の居る場所に攻撃が行われた場合を除いては動くな」

「分かった」

交渉を保留状態で置いておくためにそう言った所、相手は思っていたよりもずっと素直に聞き入れた

その場に繋がるマイクを切って、別の場所へと繋げる

こいつ一人だけと話をつけても意味がない

最低でも先程こいつの指示を聞いていた面子には話を通しておかないと俺としても安心できない

(恐らくこの辺りだろうが……)

先程俺が攻撃したときに散らばった大勢が潜んでいるであろう範囲を見つけ、その方向に向けてスピーカーを通した声で一つ尋ねる

「少し話し合う気は無いか?」
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