人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第六十三話 決着

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「結構粘るねぇ……まあ、ちょっとずつ限界が近付いているみたいだけど」

笑いながらライアはそう言ってくる

その言葉に間違いは無かった

相手の攻撃を全力で躱しているが、それでも全てを避けきれるわけではない

実際、俺の体には少しずつ傷が増えてきていた

今のところは特に体に異常を来たしている訳では無いが、動けなくなるのも時間の問題だろう

そうなったら一巻の終わりだ

(どうにか短期決戦で終わらせる術は無いか……?)

頭をフルに働かせる

(……そうか、こうすれば)

俺は地面に触れてクラウチングスタートのような格好になる

「?」

ライアンは少し困惑しているようだ

地面を思いっきり蹴って走り出した

(今の俺と装備は高いレベルで一体化している)

だから、集中さえすれば体のどこからでも『支配』が行える

つまり、こうして走っている間も地面を支配しているということだ

そして、俺の装備を利用すれば一度支配したものを自在に操ることができる

俺のスピードはどんどん上がっていく

「お!すごいじゃん!どうやっての、それ?」

そして相手の周りを縦横無尽に動き回った

移動の仕組みは簡単だ

俺は支配したものを自在に操れるが、最近その装備で操れる範囲が広がった

具体的には、俺が支配しているものの一部に限っては既存の物理法則を無視して操ることができるようになった

具体的には、支配しているものの摩擦係数を変更したり、といった具合だ

これを利用して急加速と方向転換を自在に行うことが出来るようになる

それがこの縦横無尽な高速移動の正体だ

(相手が俺を吹き飛ばしたのは恐らく高速移動だ)

そして相手は最初に高速移動を利用した直後に周囲を見回していた

つまり、相手自身は高速移動を行うことが出来るが、本人の処理能力はそれに追いついていないと考えることが出来る

そういうことなら、相手の処理能力を上回る速度で異動してやれば良い

これが今俺がやっているライアン対策だ

「えっと……こっち……じゃない……」

どちらに向かって走るかを決めかねているところを見ると、効果は有るようだ

(ならば撹乱する方向で構わないようだな)

俺は支配した地面の表面ををミリ単位で分割していく

たとえ分割したとしても支配自体は可能だ

操作は難しくなるがな

分割した地面が粉塵となり、煙幕として相手の視界を遮る

一方で、俺は支配した粉塵から情報が得られるから視界を遮ることによるデメリットを受けない

むしろ、事実上感覚器官が増えたことになるので手に入る情報量自体は増加している

こいつ相手には単純な物理攻撃は通用しないと言っても良いだろう

(ならば、直接触れて支配するしか勝ち筋は無いだろう)

だが、いくら俺が情報量で優位な立場に居るとはいえ、今俺がライアンに触れて支配するのは難しい

触れたからといってすぐに支配できる訳では無いからな

その対象が何なのかにもよるが、暫く集中しないと支配を行うことは出来無い

だから、ライアンを支配するにはこいつの動きを止めて長時間触れ続ける必要がある

しかし、今のところ確実にこいつの動きを止める方法は無い

地面を操って縛り付けたとしても、先程のことを見る限り意味は無いだろう

どうせ通り抜けられるだけだ

(ならば、こうだ)

俺は地面を操って相手を叩き上げ、空中に飛ばす

「お?」

空中に飛ばしてしまえば動きは取れない

もちろん、足を勢い良く動かして風圧で移動することも出来るだろうが、少なくとも地面の上を動かれるよりは行動を制限することができるだろう

(後は……)

再び地面を操って今度は階段状にする

その上をフルスピードで走り始めた

(足りない)

ここから勝ちに行くためには一つ足りない

時間だ

それが無い

どうにかして時間を確保する術は……

「城崎!」

その声が聞こえた

声の聞こえた方を見ると、神柱が来ていた

(……そうか、その手があった)

俺は先程ライアンの周りを移動していたのと同じ要領で神柱のもとに向かう

「神柱、よく来た。早速で悪いが、聞きたいことがある」

「な、何?」

面食らった様子でそう答える

「お前の装備の能力は確か『加速』だったよな。それはお前以外にも適用できるのか?」

「え……?まあ、僕がその相手に触っていればいける……と、思うけど」

なるほど、それは良いことを聞いた

「なら俺を手伝え。俺の体に触れた状態で加速状態にしろ」

そう言って俺は神柱の方を掴む

「え?……うん、分かった」

そして神柱は自身の刀を触って暫く黙る

「……よし、これでOK」

神柱がそう言ったころに周りを見回してみると、周囲の時間の流れがゆっくりになっているように見えた

(これが神柱の見ている世界か……)

どうも不思議な感覚だな

「それで……どこに行けば良いのかな?」

「ああ。向こうだ。あの階段を登ってくれ」

俺が先程肉の床を変化させて作った階段を指差す

神柱は俺をそこに連れて行ってくれた

その階段を頂点まで登り、相手に触れる

(……もう少しだ)

神柱を見ると、頷いてくれた

どうやら、時間は持つようだ

そして、俺の予定した時間が過ぎた

「これでいけるはずだ」

ゆっくりと手を離す

階段を降りてから神柱の装備がの効果が切れ、時間が動き出す

次の瞬間、ライアンが空中で爆発した
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