人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第六十八話 暴走フェイズ

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「ここか……」

僕達はある建物の前に来ていた

「大きいね……この建物が例の財閥の持つ研究施設?」

「ああ。恐らくな」

城崎はその建物の壁に手を当てて何かをしようとしている

僕はその姿をじっと見つめていた

「……よし。内部の監視システムは大体把握した。今から無効化するから少し待て」

そう言って更に集中する様子を見せる

「……よし。入るぞ」

――――――――――――――――――――――――――

「……結構暗いね」

「電気はつけていないからな。しかし、やはりと言って良いものか……誰も居ないな」

城崎と僕は真っ暗な廊下の中を二人で歩く

最初は本当に何も見えなかったけど、時間が経つにつれて徐々に見えるようになってきた

目が慣れた、っていうやつだね

「この隣の部屋に巨大なビーカーの置かれた部屋がある。もしかすると当たりかもしれない」

そう言って壁に背を向けながら手を当てる

暫らくすると、ドアを開けて中に入る

「気を付けろ。色々見ておいたが、ここから先は何が起こるか正直分からん」

「え?もうこの施設は、なんというか……掌握?したんじゃないの?」

そう言っていたはずだ

というか、その辺りが不確定な状況のまま城崎が潜入するとは思えない

「ああ。確かにこの施設は掌握した。だが、どういう仕組みかは分からんが、この部屋の中心にあるビーカーは俺は装備の問題上、そういった物をどうにかすることは出来ないんだ」

恐らく、対象と接触することで発動する装備や怪異への対策だろうな、と付け加える

「なるほど……じゃあ、僕が先に行って見てこようか?」

僕はそういう提案をする

城崎は、少しの間考え込んでからこう答える

「そうだな。見てきてくれ。頼む」

「了解」

(抜刀)

加速状態に突入して、部屋の扉をゆっくりと開ける

「人、だよね……?」

ビーカーは部屋の真ん中というとても分かりやすい場所にあった

けど、その中身は僕の想像を超えており、とても「わかりやすい」ものとは言えなかった

は、多分人間だと思うけど……

腕は六本あるし、目?に至っては十個以上ある

僕が見える範囲に十個だから、裏側にはもっとたくさんあるのかもしれない

極めつけは、心臓部に開いている穴だ

人形の生き物なら心臓があるであろう場所にポッカリと穴が開いている

これが一体何を示すのかは分からないけど、少なくともこいつが人間じゃ無い可能性は高そうだ

「……これは一旦戻って報告したほうが良いのかもしれないね」

そう思って身を翻そうとする

(あ、その前に一応加速時間をリセットしておこう)

僕は一旦加速状態を解除する

すると、後ろから何かが割れるような音が聞こえる

「……」

薄々何が起こったのかを察しながら、ゆっくりと後ろを振り向く

ビーカーが、ヒビ割れていた

「……不味いな」

急いで城崎に報告しに行かないといけない

そうしないと、不味い気がする

(抜刀!)

すぐに加速状態に入ってその場から逃げ出す

城崎の前まで戻ってきて、解除してすぐに話す

「城崎!もしかしたらかも!ごめん!」

そう叫んで城崎の後ろに走っていく

「……そうか。どこだ?」

僕は自分が走ってきた方を指差す

「あっち!多分すぐに来ると思う!」

言い終わると同時に後ろの扉が壊れた

悠然とした雰囲気でライアンらしき人間が歩いてくる

何も喋らずに、こちらを見ていた

その瞬間、部屋の天井が落ちてきてライアンの頭に直撃する

僕はその衝撃波によって軽く数メートルは吹き飛ばされた

一方、ライアンは倒れるどころか動きが弱まる気配も無い

このライアンも人間では無いのだろうか?

「連撃だ!行くぞ!」

城崎がそう警告を発したので、僕は抜刀を行ってその場から城崎の居る場所まで一気に移動した

その直後に、ライアンに向かって大量の瓦礫が降ってくる

とんでもない音が鳴った後、僕達はその瓦礫の様子を見つめる

「……」

無言でライアンは立ち上がった

やっぱり、このライアンも生物としての常識の外に居ると考えて良いだろう

この攻撃を食らって無事で居られる人形の生物なんて思いつかない

「……」

そのまま無言でこちらに歩いてくる

ここで、僕達はやっと違和感を覚えた

(何か、おかしい)

僕達の記憶の中では、ライアン・ドルクという人間は真性の話したがりだった

そんな奴が今の今まで一切言葉を話さないなんてことがあるんだろうか?

こいつは……本当にライアンのスペアなんだろうか?

「……神柱。予定変更だ。俺がこいつを止めておくから、その間にお前はこの研究所内にあるメモリーを今から言う座標に片っ端から運んでいけ」

「え?うん……分かった」

腑に落ちない部分はあったものの、僕はその場を立ち去った

――――――――――――――――――――――――――

「これと……これと……これか」

そこら中からメモリを集めてカバンに入れるという作業を延々と繰り返す

「まあ、一旦こんなもんで良いでしょ」

僕はそのまま研究所を出て、指定された座標に向かった

そこには、一台の大きな車があった

「……何だこれ?」

そこで一旦加速状態を解除して、車のドアを開ける

「やあ。初めましてかな?」

中では、小綺麗なおじさん達が数人、機材らしきものを触っていた
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