人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

最終話 戦線終息

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城崎が【譲位】してから約一年

僕たちは高校二年生を終えようとしていた

「あ、伏原会長だ」

そう言ってから、今は伏原さんは生徒会長では無く一人のOBであることを思い出す

(あの人、確か今は大学生だったよな)

まあでも、OBには一応話しかけておくか

「伏原会長~お久しぶりです」

僕は会長に近付いてそう言った

「えっと……君は……ちょっと待ってね」

会長は僕のことを覚えていなかったのか、少し時間を使ってから答えた

「もしかして、神柱クン?」

「そうです。神柱賢明です」

ああ、と会長は納得したように手を打つ

「そう言えば、君達の学科とかが色々変更されてからこれで一年か」

「はい。まあ、僕はコースも学科も変えてないからあれから特に変化は無いですけど」

厳密には、他の人のコース変更に伴い僕のクラスメートが変わるなどどいった小さな変化は起こっている

けど、僕の場合はクラスに誰が居ても常時ぼっちになるからその辺りは僕には特に関係ない

「なるほど……城崎クンは?確か彼、生徒会に入ってたでしょ?」

「はい。今はあいつ、会長やってますね」

以前は『目立たない位置から全体を操る方が良い』と言っていた城崎だけど、どうやら今は考えが変わったみたいだ

何でも、トップとその後ろでは実際に動かせる権限に差がありすぎるらしい

だから多少目立って行動を制限されるリスクを取ってでも組織のトップになることには意味があるみたいだ

僕にはその辺りはよく分からないけど

「なるほど……結局そうなっちゃうか……」

会長はそう言って言葉を止めた

「……」

会話が、続かないな

どうしようか……

あ!そうだ!

「あの、僕の家、来ません?」

会長を院に呼ぶことにした

――――――――――――――――――――――――――

「おじゃましま~す」

会長と一緒に僕は孤児院に帰ってきた

「よう賢明。今日は早かったじゃねぇか」

院に入ると、院長が迎えに来てくれた

「うん。院長。ちょっとこの人に色々話すことがあるし」

そう言って会長を僕の部屋に連れて行く

部屋に入って向かい合って座る

「じゃあまず、僕の方から出せる情報を話そうか」

「お願いします」

まずは会長の話を聞くとしよう

「そうだね……僕から話すのは千尋姉さんの現状について、くらいかな?僕についての話なんて興味無いでしょ?」

「まあ、それはそうですね」

正確に言うと、千尋さんの話にも興味は無いが、まあ取り敢えず聞いておこう

「千尋姉さんはね……元の再生医療の研究に戻ったらしいよ。以前よりも予算枠が増えたって喜んでた」

「所長は元に戻った感じですか」

まああの人、根っからの研究者っぽいからな

研究が出来るだけの予算が入ればそれで良いのかもしれない

「それで?僕は情報を出した訳だけど?」

それに対して僕は話す

「僕の方の情報って言っても……殆ど無いですよ?正直城崎が生徒会長になったこと以外は何も変化が無いと言うか……あ、須斎は薙刀の全国大会でベスト8に入ったらしいです」

「すごいじゃん。やっぱりスポーツエリートは違うね!」

会長は少し嬉しそうにした

やっぱり自分の母校が活躍していると嬉しいみたいだ

この人もしっかり生徒会長的な精神を持ち合わせていたんだろう

「それでさ、君自身はどうなの?」

僕にそう話を振ってくる

「僕ですか……まあ、いつも通りって感じですかね?」

会長はうんうんと頷いて嬉しそうにしている

「じゃあいよいよ日常に戻ったって感じだね」

そう言われると、たしかにそうだ

これといって特別なことも無い、普段の日常に戻ったような感覚がある

ただ一点を除いては

「あの……会長は装備……手放せましたか?」

「いや……頑張っては居るんだけどね」

そう

あの人類戦線ゲームの後、政府は装備を持つ全国民から装備を回収し出した

けど、僕たちみたいに何度も何度も装備を使っていた人達の装備だけはどう頑張っても手放せない、という問題が生まれた

ただでさえ捨てるのに強烈な抵抗感がある上、何度捨てても戻ってくるらしい

らしい、というのは僕はまだ一回も刀を捨出ることが出来ていないからだ

捨てようとすると毎回なんか気分が乗らずに「また今度で良っか」と思って止めてしまう

聞く話によると、そんな人は結構多いみたいだ

もしかしたら、前に所長が言っていた『適合率』というものが関係しているのかもしれない

もう体の一部だから手放すなってことなのかもしれない

「はぁ……じゃあまたいつも通りの面白みの無い人生に逆戻りか」

会長がそう言う

「まあ、それで良いんじゃないですか?」

あの騒動では色んな人が死んだ

僕が覚えているので一番衝撃的なのは……あれか

葉狩が死んだやつか

他にも梁の話とか、心が抉られることは多々あった

やっぱり、僕たちみたいな普通の精神の人間には非日常というものはちょっと荷が重いのかもしれない

やっぱり僕達は普通に学校に行っている方が良さそうだ

「ま、何はともあれ、平和な感じになったから良かったね」

「そうですね」

この騒動が始まってからの混乱は一段落は付いただろう

これからどうなるのか、それはもう分からない

多分普通に社会が回っていくんだろう

僕達はそこでどう生きていくのか……まあ、それはこれか考えていくとしよう
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