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「そう言えば、宰相様は、愛妻家で必ず定時で帰られるとか?あれ?でもおかしいですよね?奥様には残業でと言って帰りは夜中だとか…」

宰相様は、
「うるさい!早く閉廷しろ!」
などと申されてますが…

そんなの私が許すわけがないでしょう?

「裁判官の方々、これは後に全て繋がりますので、しばらく発言をお許しくださいませ。何せ、罪人であろうとなかろうとこの場に立たされた者には発言権がありますよね?」

私が、そういうと、発言の許可と宰相には静粛にとの指示が入りました。
裁判官様たちにお礼を言い、私は話を続けます。

「宰相様の奥様は、残業代が入っているので、不思議だとは思わなかったんでしょう。しかしおかしな事に宰相様は、定時で帰られる事で有名です。では、誰が残業させられていたのでしょう?ここで証人をお呼びしたいと思います。ただ…まだ生きておられる方は、報復が怖いとのことなので…宰相様の後ろにおられる方達に、私の力を少しお貸しいたしますね。」

そう言うと私はパチンと指を鳴らしました。
私の周りには、次々と自分に発言させてくれと言われる方がウロウロし始めました。
ええ、分かってます。皆様にも順番に、発言させて差し上げます。
まずはこの宰相を消すために、彼らが先になっただけなのですから…。

宰相様は、目の前に現れた元部下に対し、悲鳴をあげられました。
そうですよね?
だってあなたのせいで亡くなった方々ですもの。

裁判所に来ていた…いえ、私が呼んだ家族の方は涙を流し、名前を呼ばれております。

そうですよね。
愛する息子を突然失われたのですから…。

さぁ、宰相様、ここからが本番なのですよ?
皆様と一緒に踊りましょう?
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