【完結】婚約破棄? 致しません!

水江 蓮

文字の大きさ
27 / 42

アズライト帝国にて

しおりを挟む
帝国に戻ったアルバードとレティシアは官僚達だけではなく、冒険者ギルドも交えて話し合っていた。

「間引きはしていたが、やはりスタンピートは起こるんだな。」

「はい。数日前より魔物の量が増えてきております。何処から溢れ出しているのか現在捜査しておりますが、魔物が多いため困難を極めています。」

「冒険者ランクB以上に緊急依頼を出そう。なるべく多くの冒険者を集め力を貸してもらうことにする。騎士達も派遣するが彼らには、村の近くを守るように指示する。村が安全だとは言え、魔物が近くまで来るのを見ると恐怖だろうからな。」

キビキビと指示を出していくアル様に私は声をかけた。

「アル様、冒険者ランクB以上の緊急依頼私も受けさせて頂きます。」

レティシアの言葉に周りはざわめいた。

「私の冒険者ランクはAです。今回の依頼を受けることができます。私は民を守りたいのです。それに私なら魔道具やあ他の冒険者の為の食材や予備の武器、ポーションなども一人で沢山運ぶ事ができます。ここにいても私は役に立ちません。私自身が出来る事、冒険者として今回の件の役に立ちたいと思っております。なので、どうか許可をお願いします。」

「レティ、それを言うなら私もランクSだから依頼を受けることができることになる。」

「えぇ、分かっています。アル様が受けることができることも…しかしアル様にはここに残ってライラロック王国とのやり取りやその他の指示をして貰わなければなりません。それが出来るのはアル様、貴方だけです。信じてください。私は必ず貴方の元に戻ってきます。結婚式だってあるんですからね?」

私がそう言うと、アル様は目に手を当ててしばらく考え込まれた。
数分経った頃、

「分かった。そういえば君は昔から、守られるだけのお姫様ではいたくないって言っていたね。個人の感情としてはここにいて欲しいが、帝国の民の為を思うと君に出向いて貰う方がいい。君が運んでくれるというなら、荷馬車は冒険者と君を運ぶ分があったら足りるね。これだけは守ってくれるね?絶対に無事に帰ってくる。それだけは絶対守るように!」

アル様の言葉に頷き礼を言うと、私は部屋を退出した。
アル様にしか出来ないことがある。
私はそれを支えたい。助けたい。
スタンピートに対して本当は怖いという気持ちがある。
でも、ここで何もしない私でいたくはない!
急いで着替えを済ませ、アイテムボックスに武器等をしまう為倉庫に向かっていると、誰かに肩を叩かれた。
振り向いて確認すると見慣れた人達が立っていた。

「そんなに緊張しないでよ~私たちも一緒に行くんだから!レティシアの料理が食べられるなら私たちいつも以上に頑張れるよ!」

「そうそう、レティシア一人で戦うんじゃないんだぜ?一人で背負い込むなよ!俺達学園からの仲だろ?いや俺達まだレティシアよりも強くはないけどな…でもここにいる皆が君を助ける。助け合えば大丈夫だ。そうだろう?」

「待て待て、若者達だけに頼る訳ないだろう?この俺達Sランクパーティも参加するんだ。気を張りすぎるな。」

そこには、冒険者になりたての時から身分に関係なく仲良くしてくれた冒険者達、同じ学び舎で学び冒険者として今は活躍している友人達、そして冒険者としての森の歩き方や野営の仕方を教えてくれた先輩冒険者達…皆がここに駆けつけてきてくれていた。

あぁ、もう大丈夫だ。
私と皆がいればこの帝国は守る事ができるそう心の奥から思えるようになった。
私は、深く深呼吸をした後、

「そうですよね!私一人じゃない!皆がいてくれるんだもんね!料理?任せて!美味しい物を作るから!その分の働きを楽しみにしているね!」

私は笑顔で皆に答えた。


楽しみにしている結婚式が半年後にはあるんだ。
この件早く終わらせないと!
私は自分の頬を叩き改めて気合いをいれるのだった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

婚約破棄を本当にありがとう

あんど もあ
ファンタジー
ラブラブな婚約者のパトリシアとラルフ。そんなパトリシアに、隣国の王立高等学院に留学しないかとのお誘いが。「私、もうこの国の王立学園を卒業してますよ?」「高等学園にはブライト博士がいるわよ」「行きます!」 当然、ラルフも付いて行くのだが、そこでパトリシアは王太子の婚約者と思われて……。

妹の初恋は私の婚約者

あんど もあ
ファンタジー
卒業パーティーで、第一王子から婚約破棄を宣言されたカミーユ。王子が選んだのは、カミーユの妹ジョフロアだった。だが、ジョフロアには王子との婚約が許されない秘密があった。

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

[完結]だってあなたが望んだことでしょう?

青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。 アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。 やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー

【完結】この運命を受け入れましょうか

なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」  自らの夫であるルーク陛下の言葉。  それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。   「承知しました。受け入れましょう」  ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。  彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。  みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。  だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。  そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。  あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。  これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。  前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。  ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。     ◇◇◇◇◇  設定は甘め。  不安のない、さっくり読める物語を目指してます。  良ければ読んでくだされば、嬉しいです。

婚約破棄されたその後は、何も起きない日々でした

ふわふわ
恋愛
婚約破棄―― それは、多くの令嬢にとって人生を揺るがす一大事件。 けれど彼女は、泣き叫ぶことも、復讐に走ることもなかった。 「……では、私は日常に戻ります」 派手なざまぁも、劇的な逆転劇もない。 彼女が選んだのは、線を引き、基準を守り、同じ判断を繰り返すこと。 王宮では改革が進み、領地では生活が整えられていく。 誰かが声高に称えられることもなく、 誰かが悪役として裁かれることもない。 それでも―― 混乱は起きず、争いは減り、 人々は「明日も今日と同じである」ことを疑わなくなっていく。 選ばない勇気。 変えない決断。 名を残さず、英雄にならない覚悟。 これは、 婚約破棄をきっかけに 静かに日常を守り続けた一人の令嬢と、 その周囲が“当たり前”を取り戻していく物語。 派手ではない。 けれど、確かに強い。 ――それでも、日常は続く。

処理中です...