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その日謁見の間には何故か四家の貴族が同時に通されていた。
「何故個別ではないのだ?私とアルバス侯爵が一緒に通されるのは…話の内容がほぼ同じだから分かるが…他の2家門は違うだろう!?間違えて通したのか!?」
騒ぎ始めるトランスキー侯爵に向けて宰相が声を掛けた。
「間違いではありません。何回も説明するのが面倒なので一気にしかも短時間で片付けたいと国王陛下がお望みです。」
納得がいかないとここでゴネても仕方がないので、国王陛下の前まで進むことにした。
国王陛下に侯爵達の挨拶が終わると、今回の謁見希望の要件を宰相が読み上げた。
それを聞いた国王陛下は静かに話し始めた。
「さて、まずは簡単に終わりそうなモルガナイト侯爵の要求から答えよう。そなたの息子ザイオンの除籍を認める。ただし今後一切支援をしないように。それが守れるのであれば今すぐ裁決をくだそう。」
モルガナイト侯爵は1歩前に出て礼をし返答した。
「ありがとうございます。支援をしないことをお約束いたします。除籍の件よろしくお願いします。」
モルガナイト侯爵が頭を下げるとカルサイト侯爵が怒りを露わにした。
「お前!?うちのアンリとの婚約はどうしてくれるんだ!?契約等もあったであろう!?」
怒るカルサイト侯爵とは反対にモルガナイト侯爵は冷静に答えた。
「カルサイト侯爵、ここは国王陛下の御前です。その件につきましては後ほどご連絡させていただきます。」
「後ほどだと!?そんな巫山戯るな!!」
そう言うと今にも暴れだしそうなカルサイト侯爵を近衛兵が取り押さえた。
取り押さえられているカルサイト侯爵を冷たい目で見下ろしながら国王陛下は口を開いた。
「カルサイト侯爵。ここは謁見の間であって口論の場ではない。お主はまともに話を聞けるような人間ではないとみえる。さてお主の訴えの件についてだが、結果だけ伝えるとアンリ嬢はカルサイト家の娘ではもうない。養子の資料もお主の証印がしっかり押されている。今後のカルサイト侯爵家のあり方については後日家に使者を送る。話は以上だ。お主とモルガナイト侯爵は退席せよ。」
国王陛下の言葉が終わるとカルサイト侯爵は近衛兵によって無理矢理外へと連れ出された。
部屋から出るまで色々と叫んでいたが、誰一人として気にもとめなかった。
静かに自らの足でさったモルガナイト侯爵と叫びながら運ばれるカルサイト侯爵が去った後、謁見の間には静けさが戻っていた。
静寂を切り裂くように国王陛下は告げた。
「さてお主らの訴えの件だが、私が婚約破棄を認めている。何か文句があるか?大体裁判が起こされているであろう?そこで言いたいことを言えばよい。わざわざここに言いに来ても私は何もしない。婚約破棄に賛成だからな。ということでお主らも帰ってくれ。こっちは忙しいんだ。」
国王陛下に手で出ていけと合図されたアルバス侯爵とトランスキー侯爵はどうする事もできず渋々謁見の間を出ていった。
これで頼みの綱は切れてしまったのだ。
朝の勢いを無くした2人はただ静かに王宮を去ることしかできなくなっていた。
お互いトパゾライト公爵との裁判という避けられない現実に向き合うしか道はなかったのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
カルサイト侯爵side
「巫山戯るな!!国王陛下もモルガナイト侯爵も!!何故だ!?何故こうなった!?」
カルサイト侯爵は馬車から降りると玄関に飾っていた花瓶を思いっきり床に投げつけた。
ガシャンと花瓶の割れる大きな音に驚いてカルサイト侯爵夫人とキャロットがサロンから玄関へ駆けつけた。
「どうしたの?お父様!?何があったの??」
「アンリが…アイツが養子に行ったのは本当にだった…それに、モルガナイト侯爵は自分の息子を除籍しやがった…。我が家とモルガナイト家の連携はなくなることになる!この前あの野郎がお金を用意すると言っていたからもうその分のお金つぎ込んでいるのに…今から撤退なんて金の無駄遣いだ!これも全てアンリのせいだ…アイツが余計な事をしなければ!!」
「お父様落ち着いて?アンリは本当に養子に行っていたの?なら今後はどうなるの?」
キャロットは焦った。
自分をよく見せるための置物であったアンリがいなくなってしまったのだ。
アンリ欲しがったから…と言って全てを誤魔化してきたのに…今更私の生活を元に戻せないわ!
アンリよ…そうアンリを取り戻したらいいんだわ!
「お父様、私に名案があります!」
こうしてカルサイト侯爵は破滅の道をまた一歩また一歩と進んでいくのだった。
「何故個別ではないのだ?私とアルバス侯爵が一緒に通されるのは…話の内容がほぼ同じだから分かるが…他の2家門は違うだろう!?間違えて通したのか!?」
騒ぎ始めるトランスキー侯爵に向けて宰相が声を掛けた。
「間違いではありません。何回も説明するのが面倒なので一気にしかも短時間で片付けたいと国王陛下がお望みです。」
納得がいかないとここでゴネても仕方がないので、国王陛下の前まで進むことにした。
国王陛下に侯爵達の挨拶が終わると、今回の謁見希望の要件を宰相が読み上げた。
それを聞いた国王陛下は静かに話し始めた。
「さて、まずは簡単に終わりそうなモルガナイト侯爵の要求から答えよう。そなたの息子ザイオンの除籍を認める。ただし今後一切支援をしないように。それが守れるのであれば今すぐ裁決をくだそう。」
モルガナイト侯爵は1歩前に出て礼をし返答した。
「ありがとうございます。支援をしないことをお約束いたします。除籍の件よろしくお願いします。」
モルガナイト侯爵が頭を下げるとカルサイト侯爵が怒りを露わにした。
「お前!?うちのアンリとの婚約はどうしてくれるんだ!?契約等もあったであろう!?」
怒るカルサイト侯爵とは反対にモルガナイト侯爵は冷静に答えた。
「カルサイト侯爵、ここは国王陛下の御前です。その件につきましては後ほどご連絡させていただきます。」
「後ほどだと!?そんな巫山戯るな!!」
そう言うと今にも暴れだしそうなカルサイト侯爵を近衛兵が取り押さえた。
取り押さえられているカルサイト侯爵を冷たい目で見下ろしながら国王陛下は口を開いた。
「カルサイト侯爵。ここは謁見の間であって口論の場ではない。お主はまともに話を聞けるような人間ではないとみえる。さてお主の訴えの件についてだが、結果だけ伝えるとアンリ嬢はカルサイト家の娘ではもうない。養子の資料もお主の証印がしっかり押されている。今後のカルサイト侯爵家のあり方については後日家に使者を送る。話は以上だ。お主とモルガナイト侯爵は退席せよ。」
国王陛下の言葉が終わるとカルサイト侯爵は近衛兵によって無理矢理外へと連れ出された。
部屋から出るまで色々と叫んでいたが、誰一人として気にもとめなかった。
静かに自らの足でさったモルガナイト侯爵と叫びながら運ばれるカルサイト侯爵が去った後、謁見の間には静けさが戻っていた。
静寂を切り裂くように国王陛下は告げた。
「さてお主らの訴えの件だが、私が婚約破棄を認めている。何か文句があるか?大体裁判が起こされているであろう?そこで言いたいことを言えばよい。わざわざここに言いに来ても私は何もしない。婚約破棄に賛成だからな。ということでお主らも帰ってくれ。こっちは忙しいんだ。」
国王陛下に手で出ていけと合図されたアルバス侯爵とトランスキー侯爵はどうする事もできず渋々謁見の間を出ていった。
これで頼みの綱は切れてしまったのだ。
朝の勢いを無くした2人はただ静かに王宮を去ることしかできなくなっていた。
お互いトパゾライト公爵との裁判という避けられない現実に向き合うしか道はなかったのだった。
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カルサイト侯爵side
「巫山戯るな!!国王陛下もモルガナイト侯爵も!!何故だ!?何故こうなった!?」
カルサイト侯爵は馬車から降りると玄関に飾っていた花瓶を思いっきり床に投げつけた。
ガシャンと花瓶の割れる大きな音に驚いてカルサイト侯爵夫人とキャロットがサロンから玄関へ駆けつけた。
「どうしたの?お父様!?何があったの??」
「アンリが…アイツが養子に行ったのは本当にだった…それに、モルガナイト侯爵は自分の息子を除籍しやがった…。我が家とモルガナイト家の連携はなくなることになる!この前あの野郎がお金を用意すると言っていたからもうその分のお金つぎ込んでいるのに…今から撤退なんて金の無駄遣いだ!これも全てアンリのせいだ…アイツが余計な事をしなければ!!」
「お父様落ち着いて?アンリは本当に養子に行っていたの?なら今後はどうなるの?」
キャロットは焦った。
自分をよく見せるための置物であったアンリがいなくなってしまったのだ。
アンリ欲しがったから…と言って全てを誤魔化してきたのに…今更私の生活を元に戻せないわ!
アンリよ…そうアンリを取り戻したらいいんだわ!
「お父様、私に名案があります!」
こうしてカルサイト侯爵は破滅の道をまた一歩また一歩と進んでいくのだった。
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