【完結】確かにモブ…私モブのはずなんです!

水江 蓮

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ジン(ジークライド)side

「くっ…今日もミュリエル可愛かった!!何なの!?あの可愛さ…誰かに誘拐されるのでは!?」

「はいはい。落ちついてくださいね。」

ジンことジークライドは自室に戻り今日の出来事を従者に話していた。

「俺は一言も話せないのに、隣の令嬢はミュリエルと笑顔でずっと話していた!!俺は我慢しているのに!!あの令嬢とかわりたい…。」

「代わったら結婚出来ませんけどね?後3年の我慢なんですから耐えてください。エドバンシー侯爵家と王家で決めたんでしょ?卒業までは正体を隠すって。」

「分かってる。それに俺の周りにウロウロしている女共がいるからな…ミュリエルを危険に晒せない。」

「女共って…皆に優しいジークライド王子殿下に恋している女性が泣きますよ?」

「ふん。勝手にすればいい。それはそうとミュリエルに身の危険がないかちゃんと影はついているんだろうな?」

「はい。国王陛下から5名、王妃殿下から10名、ジークライド王子殿下から20名という物凄い数の影が付けられているので間違いなく安全です。逆に人数減らして貰えません?」

「いや、減らせない。減らして何かあったらどうするんだ!?」

従者はため息をつきながら了承した。
従者と明日の事について相談しているとドアをノックされる音が聞こえた。
入るよう指示をすると、そこにはミュリエルからの手紙を持つ執事がいた。

「先程届いた手紙になります。」

そういうと執事は手紙を私さっさと部屋から退出した。
従者は思った。
今執事と一緒に退出すればよかったと…。

ミュリエルからの手紙を大切そうに手に取り読み出すジークライドの為に、従者は新しく紅茶を入れ直した。
ミュリエルからの手紙を読んだジークライドは、それはもう幸せそうに内容を報告してきた。

「ミュリエルが今日出来た友人について手紙で教えてくれたんだ。キャロライン・ディボルト伯爵令嬢との事だ。念の為彼女について調べておいてくれ。危険分子はミュリエルに近づけたくない。ミュリエルにジークライド王子殿下にアタックしなくていいのかと尋ねたらしいが…これをどう受け取るべきなのか考えものだ。ジンとの婚約を破棄させるつもりなのか!?」

「はいはい。調べさせますよ。そして落ち着いてください。ジンとの婚約ってジークライド王子殿下との婚約のことですからね?婚約破棄する気サラサラないんでしょ?それよりも、ジークライド王子殿下の婚約者をオラジオール公爵令嬢だと思い込んでいる方が問題じゃないですか?」

ジークライドはその言葉に対し首を横に振った。

「いや、このままで今はいい。女共が勝手に勘違いしているだけだ。私は一度もオラジオール公爵令嬢が婚約者だと言ったこともないし、扱ったこともない。オラジオール公爵令嬢は何故か私と婚約していると思い込んでいるみたいだが、そのような事実はない。父上にもミュリエル以外と婚約、結婚するぐらいなら臣下にくだると伝えてある。オラジオール公爵令嬢とあのピンクの髪をしているヤツが今日騒ぎを起こしていたが、あそこにミュリエルが巻き込まれる方が危険だ。このまま様子観察だ。」

「分かりました。それではディボルト伯爵令嬢とそのピンクの髪の令嬢2名について調べさせます。」

「そうだな。あのピンク髪は面倒臭そうだ。調べておいて損はないだろう。よろしく頼む。」

従者に指示を出したあと、ジークライドはミュリエルに手紙を書いた。
手紙を書く手を止め、ジークライドは月を見上げた。
そしてぽつりと呟いた。

「近くにいるのに声を掛けることすらできないとは…。王子という立場は本当に面倒だな。」


そのジークライドの呟きは誰にも聞かれることはなく闇夜に消えていった。
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