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キャロライン、ライナー、ディメルク視点
ライナーとディメルクが呼び出された部屋へと入るとそこには、学園長とキャロライン、そしてこの国の王妃殿下がいた。
一応変装した上で認識阻害の魔道具を付けているが、ジンと名乗るジークライド王子殿下を見た後だ。
王妃殿下だと間違いなく分かる。
「この国を照らす月王妃殿下にご挨拶申し上げます。ライナー・カレシスお呼びとの事で馳せ参じました。」
「ディメルク・バッローです。お初にお目にかかります。このような機会を頂き有難く存じます。」
ライナーとディメルクが臣下の礼を取ろうとすると、王妃殿下がそれを制した。
「そのような固い挨拶はいりません。今日はジークライドの…いえジンの友人に会いに来たただのエリーです。さて、何故呼ばれたのか何となく分かりますね?」
「はい。ミュリエルとジークライド王子殿下のことですね。」
王妃殿下の言葉に対し、ライナーが真剣な顔で答えた。
「えぇ。その通り。ミュリエルの婚約者はジークライド、我が息子です。つまりミュリエルは未来の王妃です。と言っても本人にはまだ伝えてませんけどね?」
そう言って王妃殿下は扇子で口元を隠しながら笑った。
「伝えてないってどういうことですか?」
そうキャロラインが切り出すと、ことの全容を王妃殿下が話し始めた。
「ミュリエルちゃんに初めて会ったのは王家で行ったお茶会の時なの。その時私たちに挨拶をしたミュリエルちゃんは、焦ったのか自己紹介で噛んじゃってね?その後失敗したって顔をしたのよ~。その顔も可愛かったんだけど、挨拶が終わった後、ミュリエルちゃんってば手と足同じ方向を出しながら戻っていったのよ~。それはもう可愛かったわ!その後エドバンシー侯爵に注意されてる姿さえ可愛かったわ。この段階で私たちはかなりミュリエルちゃんのことが気になっていたの。その後うちの息子が変装してこっそりミュリエルちゃんに会いに行ってね?そこからはもうミュリエルちゃんしか見えなくなったのよ…。でもミュリエルちゃんって相手が王族だなんて言ったら逃げちゃいそうでしょ?だから逃げられないように外堀を埋めることにしたの。学園卒業の時にネタばらしする予定よ。だからそれまでは秘密にしてて欲しいの。」
「なるほど?ミュリエルは幼い頃からミュリエルって感じだったんですね?このことはミュリエルのご両親もご存知なんですよね?」
「当然。エドバンシー侯爵には脅…じゃなくて色々説明して納得してもらっているわ。ミュリエルちゃんとジンが何かをする度に謝罪の手紙が届くんだけどね…?そんなに気にしなくていいのにね…?」
そういうと王妃殿下はお茶に口をつけられた。
カップを戻されたタイミングでライナーは質問をした。
「それで私達は何をすればいいのでしょうか?」
ライナーの問に王妃殿下は優しく微笑まれた。
「特に何もと言いたいところなんだけど、ジンがジークライド王子殿下だということは黙ってくれるかしら?そして今まで通りの付き合い方をして欲しいの。来年度からジンとして編入してくるのだけど、ここでジークライド王子殿下っていう人物が居なくなったら不自然でしょ?だから来年度はジークライド王子殿下は公務が忙しいからという理由で班活動には参加しなくなるわ。あ、ジンはするけどね?来年度からのジークライド王子殿下は影武者が演じることになるの。だからジークライド王子殿下をよく知っている貴方達に、今まで通りのジークライド王子殿下として動けているか確認と指導をお願いしたいの。貴方達が中心に動くって訳じゃなくて、こっそり王家に連絡してくれたらこちらで指導するわ。影武者の子…ちょっと思い込みが激しいところもあってね…やらかさないか心配なのよね…。でもその子しか影武者として活動できなくて…瞳の色がね…ジークライドは珍しいから中々似た色の人っていないのよ…。影武者の子を今後も王家として雇い続けることにするのかどうかをここで見極めたいという思惑もあるのよ。あと影武者の子は本物のジークライド王子殿下が何処で何をしているか知らないわ。だからジンがジークライド王子殿下だということは影武者の子にも秘密にして頂戴。大丈夫そうかしら?」
王妃殿下の話を聞き終わったライナーは一呼吸置き、王妃殿下に声を掛けた。
「つまり、ジンとして過ごされるジークライド王子殿下を見守りながら、ジークライド王子殿下として動く影武者の行動に注意をすればいいということですね?
後全てミュリエルには秘密と…。」
「簡単にいうとそういう事。迷惑を掛けるけれどよろしくお願いね?あと三人には卒業後王宮で働いて欲しいのだけれど大丈夫かしら?」
王妃殿下からの発言に皆息をのんだ。
王宮で務める為にSクラスで頑張っていたと言っても過言では無いからだ。
「私は王宮で働きたいと思っていました。しかしそれは実力があってこそです。ミュリエルの友人だからという理由でしたらお受けできません。」
そう言ってキャロラインは頭を下げた。
ライナー達も同じ意見だったので同じように拒否をした。
そんな三人を見て王妃様は扇子を閉めると改めて三人に話しかけた。
「ミュリエルちゃんの友人でも実力のない人は雇う気はないわ。貴方達には十分実力が備わっていると思うから声を掛けているの。今すぐに返事しなくてもいいわ。ただ私たちは貴方達を認めている。それだけは覚えておいて。あと何故ミュリエルちゃんが私とジークライドの変装に気づけないのかのネタばらしもしておくわ。貴方達が分かったのにミュリエルちゃんは気づかないって不思議だったでしょ?これはミュリエルちゃんに特化した認識阻害の魔道具を持っているの。だからミュリエルちゃんは気づけなくて当然。だってミュリエルちゃん対策として複数の魔道具が動いているんだもの。ミュリエルちゃん以外なら私たちが安全だと…有能だと判断した人達にだけはこの認識阻害を見破る事ができるのよ。だからミュリエルちゃんがジンの正体に気付けなくて当然なの。さて、話が長くなってしまったわね。せっかくの学園祭なのに時間を取らせて申し訳なかったわね。それじゃあ、ミュリエルちゃんとうちの息子の事よろしくお願いね?また会いましよう。」
そう言って王妃殿下は部屋を後にされた。
残された三人は情報過多の為暫く動くことができなかった。
約10分後動き出すことができた彼らはため息をつくのだった。
ライナーとディメルクが呼び出された部屋へと入るとそこには、学園長とキャロライン、そしてこの国の王妃殿下がいた。
一応変装した上で認識阻害の魔道具を付けているが、ジンと名乗るジークライド王子殿下を見た後だ。
王妃殿下だと間違いなく分かる。
「この国を照らす月王妃殿下にご挨拶申し上げます。ライナー・カレシスお呼びとの事で馳せ参じました。」
「ディメルク・バッローです。お初にお目にかかります。このような機会を頂き有難く存じます。」
ライナーとディメルクが臣下の礼を取ろうとすると、王妃殿下がそれを制した。
「そのような固い挨拶はいりません。今日はジークライドの…いえジンの友人に会いに来たただのエリーです。さて、何故呼ばれたのか何となく分かりますね?」
「はい。ミュリエルとジークライド王子殿下のことですね。」
王妃殿下の言葉に対し、ライナーが真剣な顔で答えた。
「えぇ。その通り。ミュリエルの婚約者はジークライド、我が息子です。つまりミュリエルは未来の王妃です。と言っても本人にはまだ伝えてませんけどね?」
そう言って王妃殿下は扇子で口元を隠しながら笑った。
「伝えてないってどういうことですか?」
そうキャロラインが切り出すと、ことの全容を王妃殿下が話し始めた。
「ミュリエルちゃんに初めて会ったのは王家で行ったお茶会の時なの。その時私たちに挨拶をしたミュリエルちゃんは、焦ったのか自己紹介で噛んじゃってね?その後失敗したって顔をしたのよ~。その顔も可愛かったんだけど、挨拶が終わった後、ミュリエルちゃんってば手と足同じ方向を出しながら戻っていったのよ~。それはもう可愛かったわ!その後エドバンシー侯爵に注意されてる姿さえ可愛かったわ。この段階で私たちはかなりミュリエルちゃんのことが気になっていたの。その後うちの息子が変装してこっそりミュリエルちゃんに会いに行ってね?そこからはもうミュリエルちゃんしか見えなくなったのよ…。でもミュリエルちゃんって相手が王族だなんて言ったら逃げちゃいそうでしょ?だから逃げられないように外堀を埋めることにしたの。学園卒業の時にネタばらしする予定よ。だからそれまでは秘密にしてて欲しいの。」
「なるほど?ミュリエルは幼い頃からミュリエルって感じだったんですね?このことはミュリエルのご両親もご存知なんですよね?」
「当然。エドバンシー侯爵には脅…じゃなくて色々説明して納得してもらっているわ。ミュリエルちゃんとジンが何かをする度に謝罪の手紙が届くんだけどね…?そんなに気にしなくていいのにね…?」
そういうと王妃殿下はお茶に口をつけられた。
カップを戻されたタイミングでライナーは質問をした。
「それで私達は何をすればいいのでしょうか?」
ライナーの問に王妃殿下は優しく微笑まれた。
「特に何もと言いたいところなんだけど、ジンがジークライド王子殿下だということは黙ってくれるかしら?そして今まで通りの付き合い方をして欲しいの。来年度からジンとして編入してくるのだけど、ここでジークライド王子殿下っていう人物が居なくなったら不自然でしょ?だから来年度はジークライド王子殿下は公務が忙しいからという理由で班活動には参加しなくなるわ。あ、ジンはするけどね?来年度からのジークライド王子殿下は影武者が演じることになるの。だからジークライド王子殿下をよく知っている貴方達に、今まで通りのジークライド王子殿下として動けているか確認と指導をお願いしたいの。貴方達が中心に動くって訳じゃなくて、こっそり王家に連絡してくれたらこちらで指導するわ。影武者の子…ちょっと思い込みが激しいところもあってね…やらかさないか心配なのよね…。でもその子しか影武者として活動できなくて…瞳の色がね…ジークライドは珍しいから中々似た色の人っていないのよ…。影武者の子を今後も王家として雇い続けることにするのかどうかをここで見極めたいという思惑もあるのよ。あと影武者の子は本物のジークライド王子殿下が何処で何をしているか知らないわ。だからジンがジークライド王子殿下だということは影武者の子にも秘密にして頂戴。大丈夫そうかしら?」
王妃殿下の話を聞き終わったライナーは一呼吸置き、王妃殿下に声を掛けた。
「つまり、ジンとして過ごされるジークライド王子殿下を見守りながら、ジークライド王子殿下として動く影武者の行動に注意をすればいいということですね?
後全てミュリエルには秘密と…。」
「簡単にいうとそういう事。迷惑を掛けるけれどよろしくお願いね?あと三人には卒業後王宮で働いて欲しいのだけれど大丈夫かしら?」
王妃殿下からの発言に皆息をのんだ。
王宮で務める為にSクラスで頑張っていたと言っても過言では無いからだ。
「私は王宮で働きたいと思っていました。しかしそれは実力があってこそです。ミュリエルの友人だからという理由でしたらお受けできません。」
そう言ってキャロラインは頭を下げた。
ライナー達も同じ意見だったので同じように拒否をした。
そんな三人を見て王妃様は扇子を閉めると改めて三人に話しかけた。
「ミュリエルちゃんの友人でも実力のない人は雇う気はないわ。貴方達には十分実力が備わっていると思うから声を掛けているの。今すぐに返事しなくてもいいわ。ただ私たちは貴方達を認めている。それだけは覚えておいて。あと何故ミュリエルちゃんが私とジークライドの変装に気づけないのかのネタばらしもしておくわ。貴方達が分かったのにミュリエルちゃんは気づかないって不思議だったでしょ?これはミュリエルちゃんに特化した認識阻害の魔道具を持っているの。だからミュリエルちゃんは気づけなくて当然。だってミュリエルちゃん対策として複数の魔道具が動いているんだもの。ミュリエルちゃん以外なら私たちが安全だと…有能だと判断した人達にだけはこの認識阻害を見破る事ができるのよ。だからミュリエルちゃんがジンの正体に気付けなくて当然なの。さて、話が長くなってしまったわね。せっかくの学園祭なのに時間を取らせて申し訳なかったわね。それじゃあ、ミュリエルちゃんとうちの息子の事よろしくお願いね?また会いましよう。」
そう言って王妃殿下は部屋を後にされた。
残された三人は情報過多の為暫く動くことができなかった。
約10分後動き出すことができた彼らはため息をつくのだった。
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