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壱
お散歩
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「お兄ちゃん!見て!きれいな花畑だ!」
鬱蒼とした森を抜けると色とりどりの花が一面に広がっていてあたしは声を弾ませた。
「森を抜けるのに苦労したからこんなにきれいなのかなぁ・・・」と、うっとり呟くとお兄ちゃんは鼻で嗤った。「そういう花畑なんだよここは」
花に近づくなよ、とお兄ちゃんはあたしの襟首を掴んで肩に担いだ。突然のことだったのでぐえ、と蛙の潰れたような声がもれたがお構いなしで、まるで荷物のような扱いに口を尖らせるも文句は言わない。その代わりと言わんばかりに聞いた。
「なんでダメなの?」
「お前に害はないかもしれんが大抵の人間はあいつらに食われるんだ」
「え、く、食われる・・・?」
淡々と話す割には物騒な内容に驚いて花畑を一瞥するがきれいな花畑にしか見えない。うーん、うーん、と睨みつけているとお兄ちゃんがため息をついて簡単に話してくれた。
ここの花畑は「悪意」が大好物だから考える力のある人間や人間の近くに住み着いていた獣たちはあまり近づいてはいけない。
「え、あたしは食われたらイヤだから行くなって言ってくれるの?」
お兄ちゃんの優しさに感激していていたが返ってきたのはそれはそれは大きなため息だった。
「いま。お前は俺の連れだろう。目の前で食われるのを見るのは気分が悪いだけだ」
お兄ちゃんは黒い狐面で顔を隠していて表情は見えないが言わせるな、と少し照れているのがわかってなんとなく嬉しくなった。
「もーーー!お兄ちゃん好きーーーー!!!」
うるさい、なんて言われるが構わず担がれたまま首に抱きついた。しがみつくみたいな形になり、邪魔になったのか地面に落とされたがあたしは嬉しくてお兄ちゃんの周りをぐるぐると駆けた。
「ええい、なんだ鬱陶しい!」
お兄ちゃんが悲鳴をあげる。それを「悪意」と捉えたのか、花畑がより一層美しく輝いたように見えた。
鬱蒼とした森を抜けると色とりどりの花が一面に広がっていてあたしは声を弾ませた。
「森を抜けるのに苦労したからこんなにきれいなのかなぁ・・・」と、うっとり呟くとお兄ちゃんは鼻で嗤った。「そういう花畑なんだよここは」
花に近づくなよ、とお兄ちゃんはあたしの襟首を掴んで肩に担いだ。突然のことだったのでぐえ、と蛙の潰れたような声がもれたがお構いなしで、まるで荷物のような扱いに口を尖らせるも文句は言わない。その代わりと言わんばかりに聞いた。
「なんでダメなの?」
「お前に害はないかもしれんが大抵の人間はあいつらに食われるんだ」
「え、く、食われる・・・?」
淡々と話す割には物騒な内容に驚いて花畑を一瞥するがきれいな花畑にしか見えない。うーん、うーん、と睨みつけているとお兄ちゃんがため息をついて簡単に話してくれた。
ここの花畑は「悪意」が大好物だから考える力のある人間や人間の近くに住み着いていた獣たちはあまり近づいてはいけない。
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「いま。お前は俺の連れだろう。目の前で食われるのを見るのは気分が悪いだけだ」
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「もーーー!お兄ちゃん好きーーーー!!!」
うるさい、なんて言われるが構わず担がれたまま首に抱きついた。しがみつくみたいな形になり、邪魔になったのか地面に落とされたがあたしは嬉しくてお兄ちゃんの周りをぐるぐると駆けた。
「ええい、なんだ鬱陶しい!」
お兄ちゃんが悲鳴をあげる。それを「悪意」と捉えたのか、花畑がより一層美しく輝いたように見えた。
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