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試練の理由
思わずユースは大きな音を立てて椅子から立ち上がった。
「そんな訳がないだろう!」
「本当です!伝書鳩により中継地点からの連絡が!」
「ありえない!確かにアレンシカはレイシーラにいると情報を得ているんだ!」
「ですがここには確かにアレンシカ様はいないと書かれております!」
部下が目の前に出した紙を手にとって見れば確かにアレンシカはいないと書かれていた。それどころか。
「エイリーク・スプリンガードもいないだと……?!」
アレンシカはそこにいると確証があったが、万が一帰宅を拒否された場合を考えてエイリークも抑えておくことを命じていた。一緒なら戻りやすいだろうと考えてのことだったが、まさかどちらもいないとは思わなかった。
「正しい情報は帰ってきてからか……。だが……。」
「そんな、本当にアレンシカちゃんは帰ってこないの?」
「とりあえずお前は情報を精査し、アレンシカが消えたことが本当なら逃亡先を探せ。」
「……かしこまりました。」
部下は礼儀正しくも慌ただしく執務室を出ていった。
「……どうしてアレンシカちゃんはいなくなったのかな……。」
「分からない……何故いなくなったんだ……どこに行ったのか……。」
「もうすぐ学園だって始まるのに?ウィンノルの側にいる以外にどこに行くってのさ!」
「確かな情報だったはずだ……アレンシカが心変わりしたのか……リリーベル公爵家が何かをしたか……。」
ユース達はプリムから情報を上手く聞き出せていると思っているが、実際にプリムは具体的なことは何も言っていないことに気づいていなかった。「仲良しの人のところ」は確実にエイリークのいる場所しかないと思っていたのに。
「……ウィンノル、大丈夫か?」
二人が慌てている中ずっと静かなウィンノルを見ると青い顔をしてただ俯いていた。
「……大丈夫です、でも……。」
「無理するな。まさかまたいなくなると思わなかったんだから。」
「やっぱりウィンノルが迎えに行ったほうが良かったんじゃないの。」
「いつからいなくなったのか分からないからな……、最初から違うという可能性もなくはないから、王子が遠出する訳にはいかなかっただろう。」
「そうだよね……。大丈夫だよウィンノル、ちょっと気まぐれでまだ帰る気分じゃないだけだって。」
二人が慰めようにもウィンノルは震える手を顔にやり、どんどんと落ち込んでいく。
「アレンシカは……アレンシカはそんなに帰るのが嫌なのか……。何がそんなに嫌なのか……。」
「何言ってるの?!ウィンノルが嫌とかそんな訳ないじゃん!」
「ウィンノル、大丈夫だ。アレンシカのことなら俺達が一番よく分かっているじゃないか。」
「そうだよ、しっかりしな!アレンシカちゃんはすぐ帰ってくる!そんな顔してちゃ駄目!」
フィラルが気合を入れようとウィンノルの肩を叩く。
嫌な予感が的中してしまい、アレンシカが戻ってこないことがショックだったがずっと落ち込んでいる訳にはいかない。アレンシカを戻す為にもウィンノルにはやることがある。
「……そうですね。俺がしっかりしないと。」
「そうそう!」
「ウィンノル、リリーベル公爵家に抗議を入れよう。もうすぐ学園も始まるっていうのにほっつき歩いて、王族の婚約者だって自覚が足りなすぎる。リリーベル公爵の過保護もいい加減にして貰わないと、困るのはウィンノルなんだから。」
「そうだよねえ、婿入りするのはウィンノルなんだから、これじゃウィンノルが可哀想。」
「アレンシカはウィンノルを放って一体何を考えてるんだか……。」
考えることはたくさんあるが、それでもここで考えていても解決しない。ウィンノルは気を抜けば落ち込みそうになる頭を振り払って、いつも通りの堂々とした王族らしさを取り戻した。
「兄上、まず父上に報告しないと、その後でリリーベル公爵家への王家から正式な抗議。虚偽の報告をしたならミラー子息の拘束もしなければ。」
「よし、自分を取り戻したな。」
ユースもウィンノルの肩をポンポンと叩いて励ました。
これからやることはたくさんあるが兄弟で協力すれば何でも乗り越えられる気がした。
「これが父さんのの言っていた試練なのかもしれないな。」
「え?」
「ほら、前に謁見した時にに父さんがお前に言っていただろう?この婚約関係はお前への試練だと。」
「……そうですね。最初に婚約した時も、この前にも言われました。」
「アレンシカがこうやって困らせてしまうのを父さんは見越していたんだろう。お前の王子としての度量を見せる為の試練だったんだ。」
ユースの言うとおり、ここ最近は特にウィンノルへ困難が襲いかかってきている。そして大抵の理由はアレンシカによって引き起こされていることだ。それなら国王が言った「婚約関係が試練」ということも納得がいった。
「そうか、これが……。」
「ウィンノル、お前の有能さと心の広さを見せてやれ。お前なら全て上手くいく。」
ウィンノルは試練の理由を知り、この婚約関係を必ず素晴らしいものにしなければならないとやる気に満ち溢れた。
「そんな訳がないだろう!」
「本当です!伝書鳩により中継地点からの連絡が!」
「ありえない!確かにアレンシカはレイシーラにいると情報を得ているんだ!」
「ですがここには確かにアレンシカ様はいないと書かれております!」
部下が目の前に出した紙を手にとって見れば確かにアレンシカはいないと書かれていた。それどころか。
「エイリーク・スプリンガードもいないだと……?!」
アレンシカはそこにいると確証があったが、万が一帰宅を拒否された場合を考えてエイリークも抑えておくことを命じていた。一緒なら戻りやすいだろうと考えてのことだったが、まさかどちらもいないとは思わなかった。
「正しい情報は帰ってきてからか……。だが……。」
「そんな、本当にアレンシカちゃんは帰ってこないの?」
「とりあえずお前は情報を精査し、アレンシカが消えたことが本当なら逃亡先を探せ。」
「……かしこまりました。」
部下は礼儀正しくも慌ただしく執務室を出ていった。
「……どうしてアレンシカちゃんはいなくなったのかな……。」
「分からない……何故いなくなったんだ……どこに行ったのか……。」
「もうすぐ学園だって始まるのに?ウィンノルの側にいる以外にどこに行くってのさ!」
「確かな情報だったはずだ……アレンシカが心変わりしたのか……リリーベル公爵家が何かをしたか……。」
ユース達はプリムから情報を上手く聞き出せていると思っているが、実際にプリムは具体的なことは何も言っていないことに気づいていなかった。「仲良しの人のところ」は確実にエイリークのいる場所しかないと思っていたのに。
「……ウィンノル、大丈夫か?」
二人が慌てている中ずっと静かなウィンノルを見ると青い顔をしてただ俯いていた。
「……大丈夫です、でも……。」
「無理するな。まさかまたいなくなると思わなかったんだから。」
「やっぱりウィンノルが迎えに行ったほうが良かったんじゃないの。」
「いつからいなくなったのか分からないからな……、最初から違うという可能性もなくはないから、王子が遠出する訳にはいかなかっただろう。」
「そうだよね……。大丈夫だよウィンノル、ちょっと気まぐれでまだ帰る気分じゃないだけだって。」
二人が慰めようにもウィンノルは震える手を顔にやり、どんどんと落ち込んでいく。
「アレンシカは……アレンシカはそんなに帰るのが嫌なのか……。何がそんなに嫌なのか……。」
「何言ってるの?!ウィンノルが嫌とかそんな訳ないじゃん!」
「ウィンノル、大丈夫だ。アレンシカのことなら俺達が一番よく分かっているじゃないか。」
「そうだよ、しっかりしな!アレンシカちゃんはすぐ帰ってくる!そんな顔してちゃ駄目!」
フィラルが気合を入れようとウィンノルの肩を叩く。
嫌な予感が的中してしまい、アレンシカが戻ってこないことがショックだったがずっと落ち込んでいる訳にはいかない。アレンシカを戻す為にもウィンノルにはやることがある。
「……そうですね。俺がしっかりしないと。」
「そうそう!」
「ウィンノル、リリーベル公爵家に抗議を入れよう。もうすぐ学園も始まるっていうのにほっつき歩いて、王族の婚約者だって自覚が足りなすぎる。リリーベル公爵の過保護もいい加減にして貰わないと、困るのはウィンノルなんだから。」
「そうだよねえ、婿入りするのはウィンノルなんだから、これじゃウィンノルが可哀想。」
「アレンシカはウィンノルを放って一体何を考えてるんだか……。」
考えることはたくさんあるが、それでもここで考えていても解決しない。ウィンノルは気を抜けば落ち込みそうになる頭を振り払って、いつも通りの堂々とした王族らしさを取り戻した。
「兄上、まず父上に報告しないと、その後でリリーベル公爵家への王家から正式な抗議。虚偽の報告をしたならミラー子息の拘束もしなければ。」
「よし、自分を取り戻したな。」
ユースもウィンノルの肩をポンポンと叩いて励ました。
これからやることはたくさんあるが兄弟で協力すれば何でも乗り越えられる気がした。
「これが父さんのの言っていた試練なのかもしれないな。」
「え?」
「ほら、前に謁見した時にに父さんがお前に言っていただろう?この婚約関係はお前への試練だと。」
「……そうですね。最初に婚約した時も、この前にも言われました。」
「アレンシカがこうやって困らせてしまうのを父さんは見越していたんだろう。お前の王子としての度量を見せる為の試練だったんだ。」
ユースの言うとおり、ここ最近は特にウィンノルへ困難が襲いかかってきている。そして大抵の理由はアレンシカによって引き起こされていることだ。それなら国王が言った「婚約関係が試練」ということも納得がいった。
「そうか、これが……。」
「ウィンノル、お前の有能さと心の広さを見せてやれ。お前なら全て上手くいく。」
ウィンノルは試練の理由を知り、この婚約関係を必ず素晴らしいものにしなければならないとやる気に満ち溢れた。
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