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結果
学校中がざわめいている。大きな門をくぐっても、廊下を通っても、教室に入っても。
ホッとしているようでピリピリしている空気が流れている。
当たり前だ。今日は大事なテスト結果の発表日。
プリントは返されて、自分が何位か分かり、さらには学年でトップ十位は廊下に張り出される。
それを見てやる気に燃えたり、諦めたり、様々だ。
「はわー、アレンシカ様いっぱい丸つきですー。」
テストが終わり、いつも通り自由席に戻った席で隣にいたプリムが返却されたアレンシカのテストをのぞき込んだ。
「ちょっと!勝手にアレンシカ様のテスト見るとか不届き者じゃないの!!」
「大丈夫だよ。見てもらえると気持ちを引き締められるから。」
「もー!ボクだって勝手になんてみないのに!」
「んーじゃあ私の見せてあげます、はい。」
「……ひえ。」
予想外のバツの数のテスト用紙が目の前に突き出されたエイリークは小さく悲鳴をあげた。
「なんでみんな悲鳴あげるんでしょ。ルジェ君もそうでした。」
「いや当たり前でしょ……。」
「はは……。」
次いで見せられたアレンシカも苦笑するしかない。とにかくとてつもないバツの数だった。
エイリークは信じられないものを見る目でプリムを見ている。
「お気楽だよねー、貴族って。そんなテスト貰っても通学続けられるんだから。ほんっとうらやまし……うらやましくないやボクなら恥ずかしくてもう顔見せできない。」
「それほどでもないですよー。」
「褒められたことじゃないんだけど。」
エイリークとプリムが話している間に、アレンシカはテストとともに返ってきた順位表に目を落とす。
(クラスではニ位、学年では……五位……これはウィンノル様の婚約者として……いえ、どうでしょう。僕は結構良く出来たと思うけど……婚約者としては、どうなんでしょう。)
そうこうしている間にクラス全員のテストは返し終え、授業が始まる。
学年の順位は昼休み中に張り出されるからもう少しだけ先だ。
(とりあえず安心、くらいには思っておこう。ウィンノル様の順位はどうだろうか。優秀だからとても良い成績はとっているはず。僕はウィンノル様に釣り合うでしょうか。)
教室はもとの静かさを取り戻す。
なんとなく隣りのエイリークを見ると、すでに教科書を開いて真剣な目をしていた。
いつもは賑やかな食堂も今日は人気が少ない。とうとう学年のトップ十が公開されたからだ。
事前に順位は分かっているものの、やはり貴族が集まる王立学園の生徒としてはやはり他者の順位も気になるというもの。
順位が気になって昼を食べるよりも先に貼り出し場所に来たものの同じ考えの者たちですでにごった返していた。
「あ、アレンシカ様。」
「ルジェ、来ていたんだね。」
「まあ……。」
エイリークと共にアレンシカと来てみれば、そこにルジェがいた。
「一年はこっちですよ。」
「ありがとう。あ、ルジェは十位なんだね。」
「ギリギリっすね。」
「とてもすごいよ。」
「アレンシカ様は五位ですね。さすがです。」
「いや……、え、」
アレンシカはルジェの名前を辿り、自分の順位を辿り、そのまま一位まで辿って止まった。
ウィンノルは学年で一位だった。さすが王族だ。皆の模範となるような素晴らしい成績を納めている。
そこは当然だ。素晴らしい。
だが、そのすぐ下の名前は。
「エイリ……。」
エイリーク・スプリンガード。
ニ位の欄に堂々とその字が輝くインクで刷られていた。
「あっ……。」
誰が言ったか、驚きの声を上げた後静寂が広がる。周りは賑やかだった。あいつは何位だ、あれは載ってない。そんな声で賑やかだった。
だけど自分達の周りだけ、静かだった。
「……お前すごいな。ニ位なのか。」
なんとなく困った空気を破ったのはルジェだった。純粋な賞賛の声のようにも戸惑いのような声にも聞こえる。
「……すごく頑張った、から。」
エイリークの声はただ静かだ。本当に、静かに事実を伝える声。堂々と自分の順位を伝える声。
「いやー、平民でここまでの成績残すやつ、初じゃないか?なんだかんだ幼少期から家庭教師に教わってる貴族ばっかだし……。」
確かに今までに何人も平民が入学しているとはいえ、ここまで順位が高い平民は初めてかもしれない。勉強に熱心な学園だ。そこまで高い成績の持ち主がいたら、外にまで噂になるはずだからだ。
「でも、初めてのテストですしね、まだ実力を隠してそうな人とかいるかもしれないし、油断できない。」
隣りで話す言葉も耳に入らず、アレンシカは順位表から視線が離せなかった。
ただそこにある二つ並んだ名前を見続けるしか出来なかった。
ホッとしているようでピリピリしている空気が流れている。
当たり前だ。今日は大事なテスト結果の発表日。
プリントは返されて、自分が何位か分かり、さらには学年でトップ十位は廊下に張り出される。
それを見てやる気に燃えたり、諦めたり、様々だ。
「はわー、アレンシカ様いっぱい丸つきですー。」
テストが終わり、いつも通り自由席に戻った席で隣にいたプリムが返却されたアレンシカのテストをのぞき込んだ。
「ちょっと!勝手にアレンシカ様のテスト見るとか不届き者じゃないの!!」
「大丈夫だよ。見てもらえると気持ちを引き締められるから。」
「もー!ボクだって勝手になんてみないのに!」
「んーじゃあ私の見せてあげます、はい。」
「……ひえ。」
予想外のバツの数のテスト用紙が目の前に突き出されたエイリークは小さく悲鳴をあげた。
「なんでみんな悲鳴あげるんでしょ。ルジェ君もそうでした。」
「いや当たり前でしょ……。」
「はは……。」
次いで見せられたアレンシカも苦笑するしかない。とにかくとてつもないバツの数だった。
エイリークは信じられないものを見る目でプリムを見ている。
「お気楽だよねー、貴族って。そんなテスト貰っても通学続けられるんだから。ほんっとうらやまし……うらやましくないやボクなら恥ずかしくてもう顔見せできない。」
「それほどでもないですよー。」
「褒められたことじゃないんだけど。」
エイリークとプリムが話している間に、アレンシカはテストとともに返ってきた順位表に目を落とす。
(クラスではニ位、学年では……五位……これはウィンノル様の婚約者として……いえ、どうでしょう。僕は結構良く出来たと思うけど……婚約者としては、どうなんでしょう。)
そうこうしている間にクラス全員のテストは返し終え、授業が始まる。
学年の順位は昼休み中に張り出されるからもう少しだけ先だ。
(とりあえず安心、くらいには思っておこう。ウィンノル様の順位はどうだろうか。優秀だからとても良い成績はとっているはず。僕はウィンノル様に釣り合うでしょうか。)
教室はもとの静かさを取り戻す。
なんとなく隣りのエイリークを見ると、すでに教科書を開いて真剣な目をしていた。
いつもは賑やかな食堂も今日は人気が少ない。とうとう学年のトップ十が公開されたからだ。
事前に順位は分かっているものの、やはり貴族が集まる王立学園の生徒としてはやはり他者の順位も気になるというもの。
順位が気になって昼を食べるよりも先に貼り出し場所に来たものの同じ考えの者たちですでにごった返していた。
「あ、アレンシカ様。」
「ルジェ、来ていたんだね。」
「まあ……。」
エイリークと共にアレンシカと来てみれば、そこにルジェがいた。
「一年はこっちですよ。」
「ありがとう。あ、ルジェは十位なんだね。」
「ギリギリっすね。」
「とてもすごいよ。」
「アレンシカ様は五位ですね。さすがです。」
「いや……、え、」
アレンシカはルジェの名前を辿り、自分の順位を辿り、そのまま一位まで辿って止まった。
ウィンノルは学年で一位だった。さすが王族だ。皆の模範となるような素晴らしい成績を納めている。
そこは当然だ。素晴らしい。
だが、そのすぐ下の名前は。
「エイリ……。」
エイリーク・スプリンガード。
ニ位の欄に堂々とその字が輝くインクで刷られていた。
「あっ……。」
誰が言ったか、驚きの声を上げた後静寂が広がる。周りは賑やかだった。あいつは何位だ、あれは載ってない。そんな声で賑やかだった。
だけど自分達の周りだけ、静かだった。
「……お前すごいな。ニ位なのか。」
なんとなく困った空気を破ったのはルジェだった。純粋な賞賛の声のようにも戸惑いのような声にも聞こえる。
「……すごく頑張った、から。」
エイリークの声はただ静かだ。本当に、静かに事実を伝える声。堂々と自分の順位を伝える声。
「いやー、平民でここまでの成績残すやつ、初じゃないか?なんだかんだ幼少期から家庭教師に教わってる貴族ばっかだし……。」
確かに今までに何人も平民が入学しているとはいえ、ここまで順位が高い平民は初めてかもしれない。勉強に熱心な学園だ。そこまで高い成績の持ち主がいたら、外にまで噂になるはずだからだ。
「でも、初めてのテストですしね、まだ実力を隠してそうな人とかいるかもしれないし、油断できない。」
隣りで話す言葉も耳に入らず、アレンシカは順位表から視線が離せなかった。
ただそこにある二つ並んだ名前を見続けるしか出来なかった。
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追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
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