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尾上さんてどんな人
しおりを挟む自社のCMに起用されなかったら、一般庶民のアタシは高遠さんと関わり合うことすらない。
もちろんアタシが手にしている物なんて、ここ数ヶ月の物だったけれど、資料の少なかった高遠さんを少しでも応援したことになったと思っている。
遥香に、ふいに聞かれた。
「……未也、尾上さんてどんな人……」
「誰にでも人懐っこいよ。苦手な人なんていないみたい」
じっと見つめてくる遥香の視線は感情が伺えない。
「……関わらないほうが…イイみたい……」
「どうして、だって高遠さんと会えるかもしれないのに…」
「…だからよ…」
ちゅっと音がしてストローは中味がないことを示した。すかさず遥香は容器を握りしめた。
「……なんかイヤ……」
「そんなことないって。遥香、尾上さん知らないんだから気のせいだよ」
「……何の打算も見返りもなくすることかしら……」
打算も見返りもない友情を持つ遥香らしからぬ言葉だ。
「……無闇に信用しないほうがいいわ……」
すっと立ち上がった遥香が、袋にまとめた容器をダストボックスに落とした。
あたしも慌てて散らかしていたホイルを集めた。気が付けば休み時間もあと5分になっていた。それでも遥香の後についてトイレに向かいながら、まだ遥香の言葉は理解できていなかった。
終業5分前に、尾上さんがアタシの部署にやって来た。
探すことなくアタシの席までたどり着くと、にっこりと笑った。
「急なんだけど、この後の予定はある」
「いいえー別にありません」
今日は比較的忙しくない日で、時間通りにあがる目処がついていた。
提出する書類の処理もすんで、あとはざっとデスクを片付ければ帰ることができる。
「なら良かった。この前の資料のお礼をさせて。報告だけ入れてくるから、10分後にロビーで待ってて」
うむを言わせず言い切ると、また踵を返してドアから出ていった。
ぽかんとしたアタシが背中を見送ると、向かい側の愛ちゃんが言った。
「なんか必死ですね、尾上さん。外から帰って直接こちらに見えたようですよ。まだ鞄を持ってましたから」
「そうだね。資料返してくれるのいつだっていいのに」
デスクに散らばったペンやクリップを片付けながら返事をする。
「メールで用が済むのに、わざわざ出向いたって、相当ですよ」
「アドレス交換なんてしてないからだよ。用があれば隣の部署にいるんだから」
がっくりと愛ちゃんの肩が落ちる。
「先輩ーヒドイ、悪女」
「なんで?仕事の付き合いしかないんだから、社内メールでもいいじゃない」
「社内メールは私用な要件では使いません。かわいそー尾上さん」
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