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山の中
しおりを挟むドアを開けて外に出るとそこは山の中腹にあるコンビニだった。
声がした方を見ると、尾上さんがミニバンがバックするのを『オーライ、オーライ』と先導していた。
白線の内側に止まったバンからは、ばらばらと人が出てきた。
カメラやその他、見たことのない機材を抱えた人が慌ただしく動きはじめる。
その中、尾上さんは綺麗な女性と話しはじめた。
「おはようございます。晴れてよかったわ。こうみえても私、晴れ女なんですよ」
「湯山さんに逆らえるものなんてありませんよ。みんなそんな恐ろしいことはしませんからね」
「言ったなー。よーし経費を上乗せして請求するからね」
あははっと笑いがおきる。明るい人だなー。見ていたら尾上さんと視線があい、手招きされる。
「湯山さん同僚の渡辺です。渡辺、ご挨拶をして」
「はじめまして渡辺です。今日は見学させていただきますが、よろしくお願いします」
「あらいいのよ。こちらこそよろしくね。白蓉堂の湯山です」
にっこりと業界スマイルだ。眩しいくらい綺麗っ。
ゆるふわな髪はきちんとカットに行った計算された形だし、羽織っている鮮やかなオレンジのシャツも見るからに上質なもの。首に巻かれたストールでさえ繊細な織物だった。
まじまじと観察してしまったけれど、間近で足元まで見るのは失礼だと我慢する。
「ほら湯山さんに圧倒されて固まってますよ。普通の人間じゃ湯山さんと渡り合うなんて無理ですからね」
にっこり笑って尾上さんを見た高遠さんが、隣にいるアタシを見てびっくりしたように目を見開いた。
あ、気がついてくれた?
アタシを見て悪戯っぽく笑うと、お辞儀をして動き出した人の流れについて行く。
湯山さん、尾上さんがCMのイメージについて話しながら動いて行く。マネージャーも話には加わらないものの、どんなことを要求されるのか耳をそばだてて湯山さんと尾上さんに続いていく。その後に高遠さんが続き、最後尾がアタシだった。
すでにスタッフは撮影場所まで移動しているらしく、あたりには誰も居ない。
コンビニの駐車場から脇にそれて山に分け入ると、途端に寒い程の山の涼しさに見舞われる。
山の斜面にあるのは人一人やっと歩けるような道で、土を固めただけだった。
さすがにヒールの高い靴ではなく、スニーカーを履いて来ていたけれど歩き慣れない山道は早く進めない。
男の人である尾上さんやマネージャーならともかく、なんで湯山さんは早く歩けるんだろ。
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