48 / 54
第40章 王都への帰還
しおりを挟む王都への帰還
モートン領からの帰還
ルシアン、セリア、トマス、ミリアは、モートン領の炎上するキメラ工場から逃げ出した後、ミリアの商会が手配した馬車で王都ルミエールへ向かっていた。馬車の中は重い空気に包まれ、ルシアンは手に握った資料‥キメラ実験の記録、奴隷密売の履歴、モートン枢機卿の魔王の計画をじっと見つめる。セリアは目を赤くし、「クララ‥私がもっと早く動けてたら‥」と呟き、トマスが「セリア、ルシアン、俺たちのせいじゃねえ。あの工場を作った奴が悪いんだ」と励ます。ミリアは「この資料を王都に持ち帰れば、モートン枢機卿の陰謀を暴けるよ。クララを救うためにも、急ごう」と気丈に言う。
ルシアンは仲間たちに、モートン領で起きたことを話す。「クララが‥キメラにされてた。俺が‥俺がクララの腕を切り落としたんだ」声が震え、拳を握りしめる。セリアが「ルシアン、あれはクララを救うためだった。クララはまだ生きてる。私たちが助けるんだから!」と手を握る。トマスが「ハーシーも何か知ってるはずだ。モートン枢機卿の計画、全部ぶっ潰してやる!」と拳を叩く。ミリアが「王都に着いたら、皇太子殿下に連絡を取る。私の商会ルートで、密かに東門から入れるって伝言があったよ」と言う。ルシアンは「皇太子‥アレクシスなら信じてくれる。父上の無実とクララの救出、絶対に成し遂げる」と決意を新たにする。
馬車は夜を徹して走り、ルミエールの王都が見える丘にたどり着く。遠くにそびえる王宮の尖塔と、大聖堂の鐘楼が、朝焼けに映える。だが、ルシアンは「清教徒騎士団が王都にもいる。モートン枢機卿の影響力がどこまで及んでるか分からない」と警戒する。
王都東門の危機
馬車は王都の東門に到着。ミリアの商会ルートを使い、衛兵の目を盗んで入る予定だったが、門に近づくと異変に気づく。清教徒騎士団の兵士が門を固め、普段より厳重な警備態勢だ。トマスが「やべえ、なんか様子がおかしいぜ」と囁く。ルシアンが「皇太子の伝言通り、東門のはずなのに‥」と訝しむ瞬間、衛兵の隊長が叫ぶ。「ルシアン・ヴァルドール! キメラ製造の容疑で逮捕する! 降伏しろ!」
兵士たちが槍を構え、馬車を包囲。ルシアンは剣を抜き、「ふざけるな! ヴァルドールがキメラを作るわけない!誰の命令だ!?」と叫ぶ。セリアがルシアンの前に立ち、剣を構える。「ルシアンに指一本触れさせない! どいて!」と火魔法の魔力を高める。トマスが「やるしかねえか!」と拳を鳴らし、ミリアも短剣を手に「ルシアンを守るよ!」と続く。四人は背中合わせで兵士に立ち向かう準備をする。
兵士たちが一斉に迫る中、突然、馬車の蹄の音が響き、道を切り開く。金色の装飾が施された豪華な馬車が停まり、扉が開く。中から降り立ったのは、皇太子アレクシスの妹、リリアナ・ヴァルシア王女だった。金髪をなびかせ、青い瞳を輝かせ、凛とした声で叫ぶ。「お待ちしておりました、ルシアン様! かつて私の命を魔獣から救っていただいた恩、決して忘れておりません!」
ミリアム王女の介入
ミリアム王女は兵士たちを鋭く見据え、威厳ある声で宣言する。「ルシアン様を捕らえることは許しません! これはヴァルシア王家の総意です! 不服がある者は、事が終わり次第、私を裁判で裁きなさい!」王女の言葉に、兵士たちは動揺し、槍を下げる。清教徒騎士団の隊長が「しかし、モートン枢機卿の命令で‥」と反論するが、リリアナは冷たく言い放つ。「枢機卿の命令が王家の上にあると? その言葉、陛下の前で繰り返せますか?」隊長は言葉に詰まり、兵士たちは一斉にひれ伏す。
ルシアンは「ミリアム王女‥あの時の‥」と驚く。数年前、ルシアンが魔獣からミリアムを救ったことがあった。ミリアムはルシアンに近づき、微笑む。「ルシアン様、兄のアレクシスが王宮でお待ちです。ヴァルドール家の無実を証明する証拠、お持ちなのでしょう?」ルシアンは資料を握り、「はい‥モートン領でキメラの証拠を見つけました。クララも‥」と声を詰まらせる。
ミリアムはルシアンの震える手を見つめ、「お辛いことがあったのですね…。ですが、今は王宮へ。陛下と兄が、ルシアン様の話を聞きます」と優しく言う。彼女の手もまた、緊張でわずかに震えていた。セリアが「王女様、ありがとう!」と頭を下げ、トマスが「すげえな、王女の迫力!」と笑う。ミリアは「これで商会も一安心。ルシアン、行ってきな!」と背を押す。
ミリアムの馬車にルシアンとセリアが乗り王宮へ向かう。ルシアンは「モートン枢機卿の陰謀を暴き、父上とクララを救う。ヴァルドール家の誇りにかけて!」と誓う。
87
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる