25 / 54
閑話 ドワーフの剣
しおりを挟む魔法の鳥と星々の剣
ノルド連邦の工房と魔法の鳥
エテルニア大陸の北、ノルド連邦の雪原と氷河に抱かれたドワーフの集落「ストーンクラフト」。その一角にある「ハンマーヴァイン工房」は、鍛冶師バリム・ストーンハンマー(70歳)と孫のダグニル・ストーンハンマー(17歳)が営む小さな工房だ。バリムは白髪と髭をたくわえた頑固な職人で、ドワーフの鍛冶技術はノルド連邦の狩猟民族にも名高い。ダグニルは祖父の才能と膨大な魔力を継ぎ、器用な手で工房の未来を担う若者だ。
ある朝、工房の窓に青い羽の鳥が舞い降りる。鳥の足には革紐で巻かれた手紙と小さな革袋が結ばれ、目は魔力で青白く輝く。バリムが手紙を開くと、ヴァルシア王国の貴族の手紙が入っていた。「バリム、旧友よ!俺の孫が学院の入試に挑む。特別な剣を打ってくれ。全属性の魔石を同封する。期限は輸送込みで半年、剣は王都ルミエールの俺に直接届けろ。」 革袋には火、水、風、土、雷、光、闇の全属性の魔石が輝く。
バリムは魔石を手に、目を細める。「あの野郎!懐かしいぜ。」 ダグニルが「じいちゃん、誰だよ?ヴァルシアの貴族?」と聞くと、バリムは笑う。「ワイバーンにさらわれた時に助けてくれた友さ。ダグニル、こいつは大仕事だ。気合い入れろ!」
ワイバーンと友情の始まり
バリムは40年前の記憶を語る。ノルド連邦の山で星鋼を求めていた若きバリムは、ワイバーンにさらわれ、巣に連れ去られた。そこには、同じくワイバーンに捕まったヴァルシア王国の貴族がいた。「ドワーフ、運が悪いな!」と笑う貴族は、実はわざとワイバーンに捕まり、近くの敵の砦を壊滅させる任務中だった。
貴族はバリムに言う。「お前の鍛冶道具を貸せ!ワイバーンを倒し、砦をぶっ壊す!」 バリムは巣の中で即席の槍を強化し、貴族と共にワイバーンを撃退。貴族は槍を手に砦を壊滅させ、バリムを救った。「ドワーフ、お前の技は本物だ。友になれ!」 その後、二人は互いの誇りを認め合う友人となり、貴族は王都ルミエールに戻った。
ミスリルの判断と剣の製作
バリムは魔石を手に、ミスリル使用を検討する。「全属性の魔石は魔力を極限まで引き出す。ミスリルなら神の領域の剣になるが、魔力枯渇で死ぬ危険がある。ダグニル、お前の魔力は並外れてるが‥リスクが高すぎる。」 ダグニルは、「じいちゃん、俺3回は死ぬと思う」バリムは髭を撫で、「若造、死ぬなアホ。友の孫に届ける剣だ。鋼なら魂を込めて十分だ。俺の判断だ、鋼で行く!」
工房の火炉が轟々と燃える。バリムは鋼を溶かし鋼を打つ。ある程度形になったら魔石を石留めする。
バリムはひたいの汗を拭いながら「よし!‥魔力をながせ!」
魔石の魔力は強烈で、ダグニルの魔力が吸われる。「うっ…鋼でもキツい…!」 バリムが叫ぶ。「ダグニル、俺の教えを思い出せ!剣は心だ。友の誇り、俺たちの魂を込めろ!」 ダグニルは祖父の言葉に奮い立ち、「じいちゃんの友、俺の魂で繋ぐぜ!」
魔力回路を構築しながら時間が過ぎていく。
5日5晩、火炉の炎が揺らぎ、ダグニルは魔力の限界に挑む。バリムはノルドの狩猟民から届いた燻製肉と酒で孫を支える。「ルミエールの貴族の孫が学院で輝く剣だ。やり遂げろ!」 ダグニルは歯を食いしばり、ついに剣を完成させる。
「スターブレイド」と名付けられた剣は、鋼の刃に七色の魔石の輝きが宿る。火の情熱、水の静けさ、風の迅さ、土の堅牢さ、雷の鋭さ、光の純粋さ、闇の深みが融合し、ノルドの狩猟紋様とドワーフのルーンが刻まれる。ダグニルは汗だくで笑う。「じいちゃん‥できたぜ‥!」は
王都ルミエールへの旅
バリムはダグニルに剣を託す。「ダグニル、お前が王都ルミエールに直接届ける。あの貴族が待ってる。期限はあと1ヶ月。盗賊や魔獣に気をつけろ!」 ダグニルはスターブレイドを革布に包み、背囊に背負う。「じいちゃんの友に、最高の剣を届けるぜ!」
ノルド連邦の雪原からヴァルシア王国の王都ルミエールへの旅は過酷だ。ダグニルはドワーフの戦鎚と魔力で、ノルドの盗賊団を雷と風の魔石で撃退。氷河の谷では魔獣「フロストサーペント」が襲来し、ダグニルは火と光の魔石を応用した魔法で焼き払う。「じいちゃんの技、俺の魂、負けるかよ!」
王都ルミエールにたどり着いたダグニルは、貴族の屋敷へ。ルミエールの街は石畳の通りと輝く宮殿が広がり、ノルドの雪原とは別世界だ。門番に「ハンマーヴァイン工房からの剣だ」と告げると、毛皮のマントをまとった壮年の男が現れる。「ドワーフ、よく来た!剣を見せろ!」 ダグニルはスターブレイドを差し出し、男は刃の七色の輝きに目を奪われる。「見事だ…!俺の孫が学院でこれを振るえば、ヴァルシアの誇りとなる!」
男は名を明かし、「俺がバルドリックだ。バリムとの約束、よく果たした。孫にこの剣を贈る。」 ダグニルは笑う。「じいちゃんの友、バルドリック卿か!孫に言っといてくれ。スターブレイドで、学院をぶちかませ!」
家族愛と工房の未来
ストーンクラフトに戻ったダグニルは、バリムに報告。「じいちゃん、ルミエールのバルドリック卿に剣を届けたぜ!コレが報酬だ!」金貨の袋をテーブルに置く。バリムは髭を撫で、「ダグニル、お前はハンマーヴァインの誇りだ。俺とあの男の友情、ちゃんと繋いだな。」
夜、工房の火炉を眺めながら、ダグニルは言う。「じいちゃん、俺、もっとすごい剣作りたい。次はミスリルに挑むぜ!」 バリムは笑い、「死なねえ程度にな!ストーンクラフトとノルド連邦、ヴァルシアとの絆、でっかくするぞ!」 祖父と孫は拳を合わせ、火炉の炎が二人の未来を照らす。
171
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる