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しおりを挟むお茶を飲んでなくて良かった。絶対吹き出した自信があったわ。
「失礼、もう一度聞いても良いかしら?」
「なんだよく聞け。私は恋をしたんだ、初恋だ。君にその相手に会って欲しい。」
そんな威張らなくても聞こえています。そうではなくて、
「失礼ですが、私がその初恋の方に会う理由を聞いても?」
「当然私の愛しい人が諍いに巻き込まれない様にだ。万が一彼女に何かあってもお互い顔を知っていればお前が守れるだろう?彼女にもそう伝えてある」
私の思った一言は
何言ってんだコイツは?
です。
というか私はお前のお母さんじゃなく一応婚約者ですが???何が悲しくてわざわざ愛人に会って尚且つ守らないといけないんです???
「つまり私とは婚約解消したいということで宜しいでしょうか?」
「いいや!君には私の両親の面倒を見てもらいたいからそれは無理だ」
「は???」
またまた何を言ってやがりますのコイツ?????
いつの間にか新しく淹れられていたお茶をこれまた音を盛大にたてて飲み干した男は続ける
「当然だろう。1番上の兄上は王都の屋敷で働き詰め、2番目の兄は子爵家に婿入り。私は領地で隠居した両親の世話。それは当然嫁である君の役目だ」
「はぁぁ??」
なにそれ?初めて聞きましたけどそんな事??
どうだとでも言わんばかりにニヤニヤする男を見て私は膝の上の右手を握り締めた。
その顔と永遠にサヨナラする覚悟はあるんだろうな???
と私が拳を振り上げる前にバタバタと応接間近付く複数の足音が聞こえ、何事も無かったように拳を開いた。危ない、うっかり私の有責になる所だった。
軽く戸を鳴らす音がして
「歓談中失礼」
と声を掛けて入室してきたのはひとりの男性。
このどうしようも無い男の3つ上の兄で他家に婿養子に出たカイン。私とこの男とを婚約させた張本人でもある。
「まあカイン様、お久しぶりです」
「久しいねユーナ嬢。ちょっと聞きたいんだが」
「何をでしょう?」
慌ててやって来たのだろういつもはきっちりと整えてある髪や服装が乱れに乱れているがそれには一切触れる事なく続きを促す。
「可愛い弟と君の婚約を白紙にする旨の書状が届いたのだが詳しくお聞きしても?」「なんだと!?俺は認めない!お前には両親の面倒を見てもらわないと困るんだ」
弟の言い分に流石に兄も驚いたのか呆然と弟を見ていた。
言った本人はとても満足そうだったと追記しておきますね。
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